10年以上前、ダン・ロス氏は伝統的なジャーナリズムの世界を離れ、ビジネス中心のソーシャル・プラットフォームであるリンクトイン(LinkedIn)にエグゼクティブ・エディターとして入社した。ロス氏は元Fortune.comの編集長という経歴を持つ。リンクトインに入社して11年と少しの時を経て、現在は編集長兼バイスプレジデントとして、同プラットフォームのニュースオペレーションに伝統的なメディアの特徴をいくつか組み込んで、発展させた。
「私はこの会社が生み出せるものについて強く信じていたが、それがどう実現されるかはわからなかった。そして、何が自分を待ち受けているのかも全くわからなかった」とロス氏はDIGIDAYポッドキャストの最新エピソードで述べた。
ロス氏の下で、リンクトインのニュース部門は、ニュースレターからポッドキャストやビデオまで、よりオリジナルなコンテンツの制作に着手している。9月には、元CNNのエグゼクティブであるコートニー・クープ氏を、オリジナル番組の最初の責任者として雇用したことを発表した。このことは同社がオリジナル・コンテンツに関して抱えている野心を予兆しており、今年初めに設立されたリンクトイン・ポッドキャスト・ネットワーク(LinkedIn Podcast Network)によって既に動きを見せている。
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ロス氏は、「コートニー・クープを採用したことは、よりプロフェッショナルな方法で、オリジナルのビデオとオーディオコンテンツを制作の方向にプッシュすることを目的としている」と述べている。「リンクトインには約180人の編集チームがいる。しかし、そのチームの半数はビジネス・ジャーナリズム出身であり、ビジネス・ジャーナリズム出身者のほぼ全員が主に執筆業出身である。テキスト主体のチームなのだ。音声を作成したり動画を作成したりするとき、コンテンツ制作には独特なものがある」。
以下は、読みやすさのために若干の編集を加えた、いくつかのハイライトである。
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リンクトインの音声・動画オペレーション
社内には非常に優秀なビデオチームがある。彼らはフォーチュン(Fortune)やブルームバーグ(Bloomberg)の出身者であり、あらゆる企業に雇われて撮影を行ってきた独立プロデューサーたちからなる。
ポッドキャストの専門家たちもいる。また、2015年にLynda.comを買収して設立したリンクトイン・ラーニング(LinkedIn Learning)もあり、ロサンゼルス郊外のカーピンテリアには巨大なキャンパスがあり、サウンドステージや学習コースを録音するための素晴らしいスタジオがある。私たちは、自分たちが行っているほぼすべての業務において、そのチームを大きく活用している。
プロとして制作すること
私たちがリンクトイン・ラーニングを買収した時、ちょうど1カ月後に同施設の責任者が私の拠点であるニューヨークに来て、私たちのスタジオを見た。当時はエンパイアステートビルに小さなスタジオを持っていた。この時はまだ、ビデオとオーディオ事業をどうしたら良いか、試行錯誤をしている真っ最中だった。
私たちはつまずきながら、自分達の道を切り開こうとしていた。そこに見学にやってきて、「これは何だ。プロのスタジオはこんなやり方ではない。音声や動画ファイルが正しく保存できていない。アセットはどのように管理しているのか。機器はどのように管理しているのか」とあらゆる指摘をしてくれ、プロセスをすべてプロレベルにしてくれた。今のコートニーが抱えているチームは、私が最初にローンチしたときのレベルと比べると何光年も先を行っている。
ビデオの重要性
リンクトインを理解するのに良いアプローチの一つに、我々がビジネスの世界の鏡となっている、という視点がある。つまり、人々がそれぞれの勤務オフィスで特定のトピックについて話している場合、リンクトインでもそのトピックについて話している。オフィスで特定の方法でコミュニケーションを取っている場合、リンクトインでも同じ方法でコミュニケーションを取っている。ビデオに関しても同じことが言える。
ビジネスでは人々が皆、この2年半、ビデオでコミュニケーションを取ってきた。今ではそれがビジネスのやり方になっている。そのため、リンクトインはビデオのための一流のプラットフォームを持つことができなければならない。
動画の力、と人々を引き寄せる能力
ビデオ形式では、テキストでは得にくいストーリー性が得られる。撮影方法、グラフィック、ペースやBGMを駆使すれば、他の種類のコンテンツでは本当に得られない感情的なつながりを通して、強力なメッセージを伝えることができる。これを実現するには真の専門知識が必要だ。ビデオというのは記憶に残るもので、それを他の人と共有し、話し、考え続けるものだ。
[原文:Why LinkedIn is stepping up its original video and audio content ambitions]
Tim Peterson(翻訳:塚本 紺、編集:分島翔平)