インスタグラム の「ショップ」タブの変更に対するブランドの反応

DIGIDAY

インスタグラムはショップを立ち上げてからわずか2年ほどでそのホームページから「ショップ」タブを削除することになった。

タブの変更とショップ機能からの撤退

インスタグラムは、1月9日(月曜日)、フィードから「ショップ」タブを削除し、そこに「リール」タブを配置し、「投稿」ボタンを以前「リール」があった中央に移動するという変更を2月から実施すると発表した。

インスタグラムの担当者は、「フィードやストーリー、リールや広告などを通じて人々やビジネスに最大の価値を提供するショッピング体験への投資は継続されるので、インスタグラムで引き続きショップを設定して運営するのは可能だ」と述べている。しかし、ジ・インフォメーション(The Information)のレポートによると、インスタグラムは今後数か月以内に「ショップ」フィードのトップからパーソナライズ推奨を削除するなど「ショップ」からのさらなる撤退が予定されているという。その代わりにこれからの数カ月でコマースよりも広告をもっと優先するという。

インスタグラムショップはeコマース全体の売上が大幅に増加していたパンデミックの真っ最中の2020年にローンチした。同社代表のアダム・モッセーリ氏は当時eコマースがインスタグラムの未来になるだろうと語っていた。

大手ブランドからあまり利用されなかったショップ機能

しかし、インスタグラムのサービスはこの2年間、特に大企業のあいだではインスタグラムが狙っていた方法で受け入れられることはなかった。レイバン(Ray-Ban)、ヴィクトリアズシークレット(Victoria’s Secret)、アンソロポロジー(Anthropologie)などはインスタグラムショップでのプレゼンスを定期的に宣伝し製品カタログを定期的に更新していた大手ブランドであるが、ショップ機能は主に小規模なブランドや個人セラーによって占められている。

大規模なブランドは該当データをもっと綿密に管理できる自社オンラインチャネルを通して販売するほうを好んでいる。2022年4月に実施されたハブスポット(Hubspot)の調査によると、(インスタグラムショップでの)販売ごとに5%の手数料がかかることに加えて、ブランドが販売から受け取るデータは直販チャネルと比較して不足しているということが、インスタグラムのeコマースツールに関する主な不満の1つであることが判明している。

2021年、インスタグラムは「ショップ」タブ上の広告を購入できる機能を追加した。同社はコマース事業の具体的な売上高を公表していないが、Glossyの姉妹サイトであるDIGIDAYは、昨年、インスタグラム、Facebook、TikTokなどの米国企業が期待はずれの結果ゆえにソーシャルコマースから撤退するだろうとレポートしている。一方、中国版のTikTokである抖音はソーシャルコマースで成功を収めており、2022年上半期には30億ドル(約3837億円)以上を売り上げている。

「メタ(Meta)は、インスタグラム上の詳細なデータにより、ユーザーがインスタグラムを通じてコマースにどのように関与しているかが確認できる。『ショップ』ボタンは十分利用されていなかったために削除されたのかもしれない」と述べているのは、データ会社のデータai(Data.ai)の市場インサイト担当シニアディレクター、ランディ・ネルソン氏だ。「軽量化することはインスタグラムにとって必須だ。インスタグラムのリーダーシップは、コンテンツをより速く、より直感的に共有できるようにアプリを作り直す意向を表明している」。

年間売上高が10億ドル(約1279億円)を超えるオンラインブティックのジェーン(Jane)は、タリーブ・ノアモハメド氏がCEOに就任した2020年以降インスタグラムショッピングを幅広く使用している(ノアモハメド氏はその後ジェーンを去り、カナダの国会議員になった)。昨年、ノアモハメド氏はインスタグラムショップを主に顧客の獲得と発見のためのツールと見なしているとGlossyに語っている。なぜなら、「人々は購入するつもりでインスタグラムを見てはいないからだ」。

ショップをインスタグラムを中心とした発見とマーケティング戦略の延長と見なしているジェーンのような大規模なブランドに対してはインスタグラムの変更の影響はないと予想される。だが、収益をインスタグラムショップに依存している個人セラーやソルドス(Soludos)のような小規模なブランドは調整の必要があるだろう。

インスタグラムショップを利用し続けるブランドの意見

ブランドの中には引き続きインスタグラムショップを利用すると述べているところもある。

美容ブランド、コパリ(Kopari)のマーケティング・コマース担当バイスプレジデント、トラル・パテル氏は次のように述べている。「当社はメタとインスタグラムとのパートナーシップを非常に高く評価している。現時点ではショッピングはメタの主要な優先事項ではないかもしれないが、インスタグラムが発見やインスピレーション、学びのための優れたプラットフォームであることには変わりがない。当社はそのためのコンテンツの作成に引き続き注力する」。

[原文:Brands weigh in on Instagram’s Shop tab update

DANNY PARISI(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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