「25年以内に太陽系外で生命が見つかる」と研究者が発言

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2020年に火星の地下に水が存在する可能性が示されたものの、それ以降も火星に存在するかもしれない生命の痕跡は見つかっていないままです。それでも生命が誕生するのに適した環境と考えられているハビタブルゾーンに存在する惑星を、人類は数多く発見しています。スイスのチューリッヒ工科大学で天体物理学者を務めるサーシャ・クアンツ氏は、同大学が進めている宇宙関連プロジェクトの記者会見の中で、「25年以内に太陽系外で生命が見つかる」と発言し話題を呼んでいます。

We can find life outside the solar system in 25 years, researcher says | Space
https://www.space.com/finding-life-outside-solar-system-in-25-years

Science could uncover alien life within 25 years, scientist says | The Independent
https://www.independent.co.uk/space/alien-life-discovery-25-years-exoplanets-b2165692.html

チューリッヒ工科大学は新しく「Center for the Origin and Prevalence of Life」(生命の起源と有病率に関するセンター)と呼ばれる、宇宙における生命の有病率とその出現につながるプロセスに関する基本的な問題に対処するためのセンターを開設しました。このセンターの開幕式が2022年9月2日に開催され、同日に行われた記者会見の中で、クアンツ氏は「宇宙空間に地球以外に生命が存在する惑星は存在しないのか?」という疑問に対する答えが間もなく見つかる可能性があると語りました。

「1995年、私の同僚でありノーベル賞の受賞者でもあるディディエ・ケロー氏が人類史上初めて太陽系外で惑星を発見しました。そして現在、人類が発見した太陽系外惑星の数は5000以上にまで膨れ上がっており、我々専門家は毎日太陽系外惑星を発見しています」と語り、人類が発見した太陽系外惑星の数は日に日に増加していると主張。

天の川銀河には1000億を超える惑星が存在しており、これらの惑星はそれぞれ少なくとも1つの伴星を伴っていると天文学者は考えています。つまり、記事作成時点で発見されていない太陽系外惑星はまだまだたくさん存在するということです。そして、このまだ発見されていない太陽系外惑星の多くが、「主星から適切な距離にあり、液体の水などが存在する」という生命が存在することを可能にする条件を満たしています。

クアンツ氏はこういった未発見の太陽系外惑星について、「我々は、これらの地球型惑星に大気が存在するかどうか、そしてこれらの大気が何で構成されているのかを把握していないため、これらの惑星の大気を調査する必要があります。大気を調査するには惑星の写真撮影を可能にするような観測アプローチが必要となります」と語りました。


このような太陽系外惑星の観測アプローチの手助けとなるのが、2021年12月に打ち上げられたハッブル宇宙望遠鏡の後継機であるジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡です。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の主なミッションはビッグバンが起きてから約2億年後以降に輝き始めるとされているファーストスターを初観測することですが、それと同時に、太陽系外惑星を観測し、その大気中で二酸化炭素や水を検出することにも成功しています。しかし、地球サイズの小さな惑星に液体の水が存在することを検出できるほど強力な宇宙望遠鏡ではありません。

クアンツ氏も「巨大なガス惑星である『HIP 65426』は、恒星から非常に遠く離れた軌道を回っています。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡はこのような太陽系外惑星の写真を撮影することはできますが、小さな惑星を撮影できるほど強力ではありません」とコメントしています。

そんなジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の弱点を埋めることを目的として、中間赤外線撮像分光装置(METIS)をクアンツ氏らのチームは開発中です。METISは、チリのアルマゾネス山に建設中の口径39メートルの次世代超大型望遠鏡である「E-ELT」の一部となる予定。なお、E-ELTは完成すれば世界最大の光学望遠鏡となります。


クアンツ氏はMETISについて、「METISの主な目的は、最も近い恒星の周辺に存在する、地球に似た環境を持つ可能性のある地球型惑星の写真を撮影することです。しかし、我々の長期的なビジョンは、数個の星を撮影するだけでなく、数十個の太陽系外惑星を撮影し、これらの大気成分を調査することです」と語りました。

太陽系外惑星の大気中の分子成分を調査することを目的とした「LIFE(for Large Interferometer for Exoplanets)」と呼ばれるミッションが、欧州宇宙機関(ESA)の支援のもと進められており、「ESAの科学プログラムの中で将来推進される大型ミッションの候補としてLIFEが検討されています」とクアンツ氏は語っています。

クアンツ氏は「野心的な目標ではあるものの、太陽系外で生命を発見するための期限として設定した『25年』という時間は決して非現実的なものではありません」と語りました。

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