謎の天体「暗黒彗星」。新たに7個が発見され合計14個に

まず、名前がかっこいいよね。

見た目は小惑星のようだけど、彗星のような動きを見せる「暗黒彗星」。現在、14個の暗黒彗星が確認されてますが、まだまだ謎の多い天体でもあります。

謎の天体「暗黒彗星」

暗黒彗星は、名前に彗星とついていますが、特徴的な“尾”が見られず、見た目は小惑星に近いという不思議な天体。ガス噴出などによる大きな加速をすることがあり、この動きは彗星に近いのです。

2024年12月9日、PNAS(米国科学アカデミー紀要)の論文にて、新たに7個の暗黒彗星が確認されたことが発表されました。これで発見された暗黒彗星は通算14個。サンプル数が倍になったことで、謎多き天体、暗黒彗星の性質は軌道と大きさによって、大きく2つのグループに分けられることが判明したのです。

最初の暗黒彗星が確認されたのは2016年。科学者らが、地球近傍小惑星「2003RM」の軌道が、一般的な宇宙の岩石としては少々奇妙であることに疑問を持ったことがきっかけでした。

NASAのジェット推進研究所の研究員で、今回の新しい研究の共著者でもあるDavide Farnocchia氏は2003RMについて

天体にこういった変動が見られる場合、その天体は通常、彗星であり、表面から揮発性物質がガス放出されて、わずかな推進力を与えていることを意味します…しかし、どんなに努力しても、2003RMに彗星の尾の兆候は見つかりませんでした。他の小惑星と同じように見え、ただの光点に過ぎませんでした。しばらくの間、2003RMは完全には解明できない奇妙な天体だったのです。

と声明で述べています。

その翌年、2017年に確認された恒星間天体「オウムアムア」は、発見当初は小惑星として認識されていました。しかし、内部から放出された水素ガスによる大きな加速が見られ、彗星のように太陽から加速して遠ざかっていることが明らかに。

科学者たちは、すぐさま2003RMとオウムアムアの関連性に気づいたそう。

私たちが星間空間から発見した最初の天体が2003 RMと似た動きを示したという事実は、2003 RMをさらに興味深いものにしました。

と語るFarnocchia氏。そして2023年までに、小惑星と彗星の両方の性質を持つ天体がさらに6つ特定され、研究者らによって正式に暗黒彗星と名付けられたのでした。

軌道と大きさによって2つに分けられる

今回、さらに7つの暗黒彗星が発見されたことで研究者らは、謎に包まれた天体の特徴の調査を開始する時期が来たと感じているようです。

ミシガン州立大学物理学部の博士研究員で新論文の主執筆者であるDarryl Seligman氏は、

暗黒彗星の数が十分揃ったので、それらを区別できる何かがあるかどうかを調べ始めることができました。

と声明で述べています。

まず研究者たちは、反射率と軌道を分析することで、太陽系内の暗黒彗星が2つのグループを分けられることを特定しました。ひとつは、木星族の彗星に似た偏心軌道上の外側を動く大型の暗黒彗星。もうひとつは、太陽系の内側をほぼ円形の軌道で周回する小型の暗黒彗星です。

地球上の水は暗黒彗星がもたらした?

2つのグループに分けられることが判明したとはいえ、この謎多き天体についてはまだ表面をなぞったにすぎないのかもしれません。最近の研究によると、地球周辺の天体の6割は暗黒彗星で、火星と木星の間にある太陽系の領域、主小惑星帯に存在するはるかに大きな天体の一部だったのでは?と考えられています。数十億年前の地球に水を運んできたルートのひとつかもしれないとする論文もあり、地球上の生命の起源に重要な役割を果たした可能性があるのです。

暗黒彗星は、地球に生命の発達に必要な物質をもたらした新たな可能性を秘めています。暗黒彗星について学べば学ぶほど、地球の起源におけるその役割をより深く理解できるようになります。

とSeligman氏は述べています。

タイトルとURLをコピーしました