「ニホンリス」がシカの骨をかじる意外な理由とは?

テキサスのリスが骨をかじっていた理由もこれかも?

リスといえば、ひまわりの種やくるみなどの実を頬ばったり、土に埋めたりする愛らしい姿が思い浮かびます。ところが、リスが動物の骨をかじることもあるみたいですよ。骨をかじると聞いてちょっとグロ系かとも思いましたが、その理由を知ると納得でした!

カルシウムなどのミネラルを補給

今回、神戸大学理学部教授の末次健司氏と、写真家の五味孝一氏がFrontiers in Ecology and the Environmentに発表した研究では、長野県茅野市で観察されたニホンジカの骨をかじるニホンリスについて、その理由を考察しています。

骨をかじっているところを観察された個体の多くがメスであることから、動物の骨をかじることで、繁殖期や授乳期にある母リスがカルシウムやリンなどの子育てに必要なミネラルを補給している可能性があると末次教授はIFLScienceの取材に答えており、X(旧Twitter)にも同じ内容を投稿しています。

研究は「骨を摂取することで、リスの生殖適応度が上昇するかどうかを調査する価値はあるでしょう」としています。

論文では、1940年にも妊娠中や授乳期のヒガシコノリス(Sciurus carolinensis)が骨を食べていたという報告がされています。人間があまり目撃していないだけで、自然界では珍しいことではないのかもしれないですね。

また、リスがシカ以外の動物の骨をかじっている様子も観察されているとのことで、末次教授は次のようにコメントしています。

「カルシウムの供給源として、骨は最も優れているかもしれません。私たちは以前、ニホンリスが小動物やヘビの骨をかじっているのを見たことがあります。」

そして、愛らしいリスの姿からは連想できないようなものから栄養摂取しているらしいことについて、末次氏はIFLScienceにこう答えています。

「動物たちが思いもよらない方法で環境に適応する様は実に興味深いです。リスが骨をかじる行動をとっても、動物たちが栄養を摂取するためにクリエイティブな手段を見つけられることをよく表しています。」

筆者が住むテキサス州では、いたるところにリスがいて、さまざまな表情を見せてくれます。思い起こしてみると、フライドチキンの残り物らしき骨をかじったり、土に埋めたりしているリスを見かけた記憶があるのですが、もしかすると母リスだったのかもしれないですね。

Source: Suetsugu and Gomi 2024 / Frontiers in Ecology and the Environment

Reference: Carlson 1940 / Science, IFLS

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