iPhone 16 シリーズから登場した機能「オーディオミックス」は、本当に使えるのか?
初登場機能のため未知数なその実力を、今回は検証してみたいと思います。iPhone 16を購入検討中の方、あるいはすでに持っている方の参考に。
オーディオミックスって何?
オーディオミックスとは、iPhone 16、iPhone 16 Plus、iPhone 16 Pro、iPhone 16 Pro Maxで使える動画の音声を編集できる機能です。
その魅力は音声を聴きやすくできる点。この音声処理には、機械学習が使われているのが面白いところで、人の声を背後の要素から特定して分離し、編集できるようにしてるんです。
オーディオミックスを使うには、動画を空間オーディオで収録する必要があります。設定から「カメラ」、「サウンド収録」と進み、「空間オーディオ」を選択しましょう。
オーディオミックス機能は撮影中に使うものではなく、撮影後に適用するものです。任意の動画を選んで編集に進むと、オーディオミックスを適用できるようになっています。
ガラリと動画を変える3つの編集オプション
用意されているのは、「フレーム」、「スタジオ」、「シネマティック」という、効果が異なる3つの編集オプションです。
まず最初は、音声をどれぐらい聴きやすくできるのか検証するために、街の喧騒の中で撮った動画に、3種類の編集を施し、その違いを見てみます。ぜひ動画を見ながら実際に違いを感じてみてください。
元動画は、話者の声が喧騒に飲まれてかなり聞きにくい状況。オーディオミックスでどう変わるのか。
まずはフレームから。フレーム内に入っている人の声だけを捉える効果をもたらします。フレーム外の人の声は低減されるとのこと。
確かにフレーム内の人の声が目立つようになりました。周りの人の声や、車が行き交う音は抑えられています。ただ、話者の声がこもっている感じになりました。
誰かが喋っている場面を撮りたい時などに使えそう。
次にスタジオ。防音壁を備えたスタジオ内で録音した音声のように仕上げられるとのこと。
効果は、フレームとほぼ変わらない印象です。ただ、フレーム外の撮影者の声も目立つようになりました。
公式によると、被写体が少し離れていても口元にマイクがあるように聞こえるとされていましたが、街の喧騒の中では、離れている人の声と、近くの人の声で、音質に大きな差があるように感じます。
スタジオは、フロントカメラで景色を撮影しながら、声が入ってくるようなVlogの撮影で使えるかもしれません。
最後にシネマティック。こちらは、周囲の音も活かしながら、話者の声を引き立たせるモードです。
個人的に一番しっくりきました。元の映像より遥かに話者の声が聞きやすくなりながら、周りの音も聞こえて、最も自然。環境音があるために、声のこもりも気にならなくなり、1番実用的に感じました。
とりあえず、いずれのオプションでもオーディオミックスを使うと、大きな変化が生み出せることはわかりました。
後ろで電車が通っても、声は聞こえるか?
次に、実際にオーディオミックスの性能がどんなものなのか、もっとうるさい場所で撮った動画で検証してみます。
オーディオミックスでは、効果のかかり具合を0から100の間で選べます。スライダーで編集を行なえて、リアルタイムに変化を聞くことができるので便利です。
撮影場所は踏切。背後に電車が通った瞬間の映像なので、先ほどよりもはるかにうるさく、話者の声はほとんど埋もれてしまっています。
まずは、効果を50%適用します。電車の音につぶされてはいますが、それでもフレーム、スタジオは頑張って声を持ち上げています。このレベルのうるささだと、シネマティックでは太刀打ちできません。
では、75%だとどうか。だいぶ後ろの電車の音が抑制されました。100%にすると、ほとんど電車の音は聞こえません。話者の声だけになっています
これはすごい。AIで電車の音が判別され、声だけ抜き取られているってことなんでしょう。うるさいところで撮影してしまった動画でも、喋っている内容をちゃんと聞こえるようにしたい時に、一瞬で編集できちゃいますね。
すごいけど、まだ実用的ではないかも
検証の結果、確かにオーディオミックスに感動はしたものの、まだ実用的なレベルには達していない印象です。
というのも、環境音を抑えて声を強調してくれるものの、その肝心の声の音質があまり良くない。もちろん周囲のうるささにもよりますが、外で撮影した場合、現時点では使い物になる音質とは言い難いです。
なので、個人で撮った動画の声を少し聞きやすくする程度の、遊び感覚で使うのが適しているかと思います。仕事やクリエイティブな作業でも使えることを期待していたので、少し残念でした。
とはいえ、これはiPhoneにおける初の音声編集機能です。カメラ性能だけでなく、オーディオ性能にも注力し始めてくれたことはありがたい限り。これからのアップデートで、どんどん良くなっていくことに期待したい、面白い機能です。
Source: Apple