電源ボタン以外は完璧:新Mac mini 2024レビュー

前のハーフサイズ。なのにパワフル。

今年のM4搭載Mac miniは、去年のM2 Mac miniに比べるとほぼ完全無欠です。大きさは半減し、重さもかつてない軽さ。M4プロセッサのおかげで、パワー的にもApple(アップル)がこの4年で出した製品のなかでも群を抜いています。

macOS Sequoiaもうれしいアプデ満載なら、Apple IntelligenceのAI機能で仕事も遊びもはかどるし、何より助かるのが、最安10万円切るお得感満載プライス。変な場所に移動した電源ボタンくらいしか、ほんとに欠点が思いつきません。

M4 Mac mini

これは何?:電源ボタンが底部に移動したことで世界を驚嘆させた、Apple新型デスクトップパソコン

価格:9万4800円~(税込)

好きなところ:軽量コンパクトなデザイン、ポートが豊富、 グラフィックスや全体の処理性能、割と安い

好きじゃないところ:死ぬほど押しにくい電源ボタン

M4 Mac miniのデザインと機能

新Mac miniは次の4モデルから選べます。

M4チップ(10コアCPU 、10コアGPU)

9万4800円(米599ドル):メモリ16GB、SSDストレージ256GB

12万4800円(米799ドル):メモリ16GB、SSDストレージ512GB

15万4800円(米999ドル):メモリ24GB、SSDストレージ512GB

M4 Proチップ(12コアCPU、16コアGPU)

21万8800円(米1,399ドル):メモリ24GB、SSDストレージ512GB。

足りないならメモリは32GB、SSDストレージは2TBまで増量したり(プラス12万円)、ギガビットのイーサネット専用ポートを加える(プラス1万5000円)ことも可能。

ちなみにM4 Pro版のほうは14コアCPU、メモリー64GB、SSDストレージ8TB、ギガビットのイーサネットを盛り盛りで71万8300円です。

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Photos: Sherri L. Smith / DreamSmith LLC
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Photo: Adriano Contreras / Gizmodo US
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Photo: Adriano Contreras / Gizmodo US

サイズ的には、もともと小っちゃかったのが(昨年版は197×197×35.8mm)、さらに縮小(127×127×50m)。重量も去年の1.17kgの約半分である0.67kgになりました。ほんとにコンパクトでスペースをとりません。

なのにポートは増えていて、USB-Cポートが2基あって、前面にヘッドフォンジャック、背面にThunderbolt 4ポート3基とHDMI、Ethernetという構成になっています。M4 Pro搭載版を選ぶと、 Thunderbolt 4ポートの代わりに、その後継の次世代規格Thunderbolt 5のポートが3基ついてきます。

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アンボックス動画
Video: Gizmodo/YouTube

Appleらしいミニマリストデザイン。上とサイドはシルバーのアルミ。コーナーは角がとれて丸くなっていて、上にはグロッシーなAppleのロゴ。

完璧だ…と思ってひっくり返すと、電源ボタンが底部についてます。「1回押したら、しばらく押さないだろう」というApple樣の配慮でこんな場所に移動になったのはわかるんですが、去年の背面のままで別によかったじゃん…と正直思います。

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Photos: Sherri L. Smith / DreamSmith LLC

OSは全モデルともmacOS Sequoiaです。仕事はもちろん、ビデオ会議、セキュリティ、ゲームの能率を高める機能がいっぱい。

そのひとつが「iPhoneミラーリング」。これはMac miniからiPhoneの操作が可能になる機能。やってみたら設定は割とすぐ終わって、デスクトップからiPhoneのアプリすべてにアクセスできました。Studio Displayの画面上に通知も入るので、スマホとPCを行ったり来たりが激減です。

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メモが計算機がわりになります
Photos: Sherri L. Smith / DreamSmith LLC

仕事で使う「メモ」アプリでうれしいのは、音声文字起こしに対応したことですかね。会議や説明会で重宝してます。さらに、式を書いて「=」と入力すると、メモが計算して答えを出してくれる新機能。これも助かってます。

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アドレスバーから要約を頼むと…
Photos: Sherri L. Smith / DreamSmith LLC
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さっとまとめてくれる
Photos: Sherri L. Smith / DreamSmith LLC

SafariブラウザもReaderが新デザインになって、Viewerも新しくなるなどの変化が見られます。機械学習を活用した「ハイライト機能」では閲覧中のWebページの概要を要約したり、道順、楽曲・TV番組・映画のデータなど重要なポイントがハイライトされます。

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Webページで見たくないものを指定すると
Photos: Sherri L. Smith / DreamSmith LLC
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消えます。これがディストラクションコントロール。
Photos: Sherri L. Smith / DreamSmith LLC

また、ポップアップ広告や気が散る素材をブロックしてくれる「ディストラクションコントロール」機能が加わって、前より閲覧に集中できるようになりました。

さらにアプリ開きまくる自分みたいなユーザーがむせび泣くのが、ウィンドウをタイル状に並べられる機能です。使用中のウィンドウを全部並べて見れるし、横に並べたり、画面の隅に移動したりアレンジも自由。

ビデオ会議も洗練度UPで、「プレゼンタービュー(発表者ビュー)」機能もできたので、ZoomやFaceTime開始前にぜひ使ってみて。全員にどう見えるかチェックできますよ。競合のビデオ会議アプリでもできることだけど、背景の画像はAppleが用意した写真セットや手持ちの写真から選べます。メッセージも大幅改善で、新しい文字エフェクトや絵文字が追加になったほか、「Tapback(タップバック)」機能で楽しくリアクションを表現できます。

詐欺対策でパスワードをちょくちょく変えてると忘れてしまったりしますが、「パスワード」機能を使うと、全パスワードを一元管理できます。入力内容はエンド・ツー・エンドで暗号化されているので安心。

ゲームデベロッパー向けに出た「Game Porting Toolkit 2」 は、MacとiOSの全端末にゲームを移行できるツール。Appleはもっとたくさんのゲームタイトルをプラットフォームに乗っける計画なので、重要な布石となります。

Apple IntelligenceのAI機能

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Photos: Sherri L. Smith / DreamSmith LLC

まだベータの開発段階とはいえ、Mac miniにおいてもApple IntelligenceのAI機能は注目の的です。

Siriも、前より文脈を読んでおしゃべりを楽しむ感じになると言われています。少し前に相談した内容も覚えていて、あの件はどうだっけ?みたいな質問にも答えられるそうです。

新しくなったSiriでいいなと思ったのは、言葉に詰まったり、口ごもったりしても、そこで会話が終わらないこと。口にするのが憚られる質問は、手で入力できるのも◎。

重要なメールや論文で筆が進まないときには、「Writing Tools」を使えばスラスラ~っと書けちゃうし、校正、要約、書き直しもお手のもの。このツールはAppleのアプリのみならず、サードパーティのアプリからでもアクセスできます。

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Photo: Sherri L. Smith / DreamSmith LLC

メールとメッセージ、通知にもApple Intelligenceの波はきていて、情報をサックリまとめてくれます。当意即妙な返事を自動で用意してくれる「Smart Reply」機能もあれば、同じアプリから通知が複数たまると要点を短く書いてくれたりもします。

自然言語のクエリに対応したことで、動画や写真の検索はかつてないほど簡単になりました。探した写真の修正も簡単なら、長ったらしい動画から見たいところを探すのも一発です。Google(グーグル)の消しゴムマジックみたいに、iPhoneやデジカメで撮った写真から邪魔ものを消す「クリーンアップ」機能もできました(使い方はこちら)。

最後に挙げたいのが、集中の妨げになるものをブロックする「Reduce Interruptions」。これも便利です。集中モードに切り替えると、Apple Intelligence側の判断で、重要そうなものだけに通知を絞ってくれるの。内容を読んで。使いたい人は、集中モードにするときに「Intelligent Breakthrough & Silencing」を選んでみて。

M4 Mac miniの処理性能

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Photo: Adriano Contreras / Gizmodo US

今年もApple純正チップは競合を凌駕する完成度です。同社旧製品との比較で「M4はM1の1.8倍高速、GPUは2.2倍、NPUは3倍の処理速度に進化している」(Apple)とのこと。

試しにChromeで60個タブ開いて、Googleドキュメント、Googleプレゼンテーション、Googleスプレッドシート、YouTube数本、SNS数個開いた状態で、DaVinci Resolve 18アプリで10分の動画を編集して負荷をかけてみたんですが、Mac miniちゃん、ビクともしませんでした

去年のM2 Mac mini(8コアCPU、10コアGPU、メモリ8GB、SSDストレージ256GB)と比べてみたら、M4 Mac miniは旧モデルからブレーキを外したかのように速い。

CPU性能を見るGeekbench 6のベンチマークでは、シングルコア3,822、マルチコア14,622という結果(M2搭載昨年モデルはそれぞれ2,599/9,740)。

Blenderの画像レンダリングテストでは、M4 Mac miniのCPUは所要時間2分46秒で、GPUは36秒(昨年モデルはそれぞれ4分28秒/1分27秒で差は歴然)。

Cinebench 2024のベンチマークテストでは、M4側がシングルコア175、マルチコア974( 昨年モデルはそれぞれ588/122)。

3Dアドベンチャーゲーム『Myst』を初期設定の解像度(5,120×2,800)のまま高設定で10分プレイして64fpsという感じでした(M2搭載昨年モデルは同じ設定で42fpsが限界だった)。

Apple Mac Mini 2024は買い?

毎年のように進化しているのはAppleさすが、と言わざるを得ません。M4 Mac miniでは、去年より遥かに小さなボディにM4を乗っけて、ポートも増やす離れ業を見せてくれました。昨年モデルが霞んでしまう進化です。

macOS SequoiaでApple IntelligenceのAI機能も加わったほか、仕事やセキュリティ、Web閲覧、ビデオ会議をスムーズにする新機能も着々と増えています。

冒頭でも書いたけど、底部に移動した電源ボタンぐらいしか欠点はありません。こればかりはAppleがどう言おうとおかしいし、ほかに置き場所あると思うんすよね。大筋で見たら些末なことだけど。

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