針葉樹でも広葉樹でもない、中間の木が見つかった

これは地球温暖化対策に期待大!?

新たな研究により、針葉樹でも広葉樹でもない中間微小繊維構造の存在が明らかに。「ミッドウッド」と名付けられた木は成長が早く、かつ多くの二酸化炭素を蓄える効果があるため、炭素隔離に非常に効果的だそうです。

針葉樹でも広葉樹でもない中間の木

木は大きく2種類に分類されます。被子植物は一般的に広葉樹、裸子植物は針葉樹と呼ばれますが、この区別と木材の密度とは関係がありません。種子の特徴によるもので、広葉樹は果実や殻に包まれた種子(例:オークやカエデ)で、針葉樹の種子は露出しています。構造においても異なり、広葉樹の細胞壁には狭いマクロフィブリル( macrofibril:木材の剛性と強度を与える細胞壁内の構造)が含まれます。

今回New Phytologistで発表された論文によれば、電子顕微鏡下でさまざまな種類の木のサンプルを調べるなかで、広葉樹のマクロフィブリルは、直径が約15nm(ナノメートル)であるのに対し針葉樹のマクロフィブリルは直径25nmであることが判明。モクレン科の「ユリノキ(Liriodendron tulipifera)」と「シナユリノキ(Liriodendron chinense)」の、マクロフィブリルが直径20nmであることが判明しました。

ユリノキは、カナダやアメリカの一部で生息し、高さ45mまで成長します。これに対して、シナユリノキは40mまで成長し、中国やベトナムに生息しています。また観賞用として、ヨーロッパや北アメリカでも栽培されます。

当時の環境に適応するために独自に進化

研究の筆頭著者、ヤギェロン大学のヤン・ウィチャコフスキ博士は以下のように声明内で述べています。

ユリノキ属の木で、針葉樹や広葉樹のどちらの構造ともかなり異なっている、中間的なマクロフィブリル構造の存在を示すことができました。ユリノキ属は約3000万から5000万年前にモクレン属の木から分岐したものですが、これは大気中の二酸化炭素が急激に減少した時期と一致しています。このことが、ユリノキが、炭素貯蔵に非常に効果的である理由を説明できていると言えます。

ユリノキは成長が早く、大量の炭素を貯蔵できるように進化しました。CO2を空気中から取り除く特性により、この「ミッドウッド」は気候変動対策の貴重な要素になる可能性があります。ユリノキは、炭素を固定するのに非常に効果的であることが知られており、拡大されたマクロフィブリル構造は、大気中の炭素の供給が減少していた時期に、より大量の炭素を容易に獲得して貯蔵できていた可能性があり、炭素獲得プランテーションに有用である可能性があります。

今回の研究は、ケンブリッジ大学の植物園の33種の樹木を対象に、マクロフィブリル構造がどのように進化したかを探る研究のひとつとして行なわれました。

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