今年5月のApple Eventでその登場が予告されたApple初のプロ向けカメラアプリ、Final Cut Cameraがついに登場しました。
現在、サードパーティ製カメラアプリの代表となったBlackmagic Cameraを使っていた自分としては、このアプリの登場に驚いたのですが、早速触ってみました。
Final Cut Cameraの特徴
まず最初に、メイン画面ですがAppleのアプリらしく非常に見やすくてシンプルなUIです。
左上から設定、fps(24、25、30、60、60FPSのみライブマルチカム使用時選択不可)、画素数(720p、1080p、4K、HEVC選択時のみ720p選択可)、HDR or SDR or Log(ProRes選択時のみLog選択可)、HEVC or ProRes、そして個人的にこのアプリの目玉であるライブマルチカム設定画面を選択することが出来ます。
設定画面を開いて環境設定ページでも上記の設定を変更することができます。手ぶれ補正や前面カメラのミラーリングのON/OFFの切り替えも可能。
ツールページではグリッドやアスペクト比のガイド、露出オーバーインジケータやフォーカスを合わせる時に必要になるフォーカスピーキングのON/OFFの切り替えが可能です。
また、一番右側にはマイクなどを接続した時のオーディオの設定項目もあります。
メイン画面に戻って、右側には一番右側から下に向かってセルフカメラ切り替え、画面上下左右向き切り替え、オートフォーカス&マニュアルフォーカス選択、露出、ホワイトバランス、レンズ、そしてズームを選べます。
ここまでで思ったのは、設定できるカメラとして最低限の機能がそろっていると同時に、UIがとてもカメラ初心者に対して親切なデザインをしているなという点。前述したBlackmagic Cameraは使いやすいアプリではあるのですが、カメラにあまり慣れていない人だと使いこなすのが少し難しい印象があります。
一方、このFinal Cut Cameraはとてもシンプルなデザインで、みんなが慣れ親しんだApple純正カメラアプリの発展系のデザインでもあるので、とても分かりやすいです。
しかし、いつもiPhoneにNDフィルターなどのアクセサリーを装着して撮影している人間としては、少し機能が物足りない印象を受けます。たとえば、このアプリではApple Log ProResで撮影をする際に、Log特有の色調がフラットな画面の状態で撮影をすることになりますが、Blackmagic Cameraでは仮のLut(色調整)を画面に当てることができ、実際に目で見ている景色と同じ色をすぐに確認出来るため、どこが露出が飛んでいてどこが暗すぎるかというのが目に見えて分かりやすい。
色々とこのアプリを使ってみた感じ、実はこのアプリの本当の狙いは別にあるのではと思ってきました。
このアプリの本当の狙い
それは、映像を志す学生やビギナーなのではないかと。このアプリにあってBlackmagic Cameraにないもの、それはiPadのFinal Cut Pro 2を通してのライブマルチカム。
これはiPadのFinal Cut Pro 2にiPhoneのFinal Cut Cameraを通して最大4台のiPhoneのカメラを接続する機能なのですが、最近のiPadは学生に向けてのマーケティングが多いことを考えると合点が行きます。プロとしての撮影はBlackmagicに任せるので、Appleとしては学生や映像の初心者の人にiPhoneとiPadを同時活用してほしいというようなAppleからのメッセージに聞こえます。
もちろん、Blackmagic Cameraも映像を志すビギナーの人たちにとって、特に同社のBlackmagic Pocket Cinema Cameraなどの使い方を勉強するものとして有効な教材ではあるのですが、必ずしもみんながみんなそこまでの知識が必要かと言うとそう言うわけではないですもんね。
ですが、自分が本格的にiPhoneで映像を作り始めた2年前と比べると本当にいい時代になりました。Final Cut Cameraは無料です。