iPhoneもAndroidも「アプリ閉じると電池長持ち」は嘘

マジで⁉

よく、使わないアプリをせっせと閉じるの習慣にしている人いますけど、あれってあんまり意味なくて、やるだけ時間の無駄らしいですよ?

「えーでもバックグラウンドで動作してたら電池もったいないじゃん!」

「そうそう。閉じたほうが、スマホの動作は早くなるって、みんな言ってるよ?」

「閉じないと、こっちの動きを追跡されそうで、それも怖いし…」

…と今の今までなんとなく思っていました。でもこれが大きな勘違いで、実言うと、バックグラウンドのアプリは閉じても閉じなくても負荷はあまり変わりません。どっちみち動作していないんです。

閉じてもバッテリーの節約にはならない

閉じてもバッテリーの節約にならないことは、2016年、AppleのiOS開発トップのクレイグ・フェデリギ氏が9to5mac読者からの質問に、CEO代理で答えるかたちでキッパリと明言してもいます

技術的な話になりますが、使っていないアプリはバックグラウンドで凍結状態になります。システム上は動いているように見えますが、あれは最後に使った状態をスクリーンショットで保存して表示しているだけなので、電池に負担はほとんどかかっていないんです。

これはAndroidでも同じ。というかこちらは、閉じると、開いたまま放置するよりもっとバッテリーを食うって話もあります。最後に使った状態を“バックグラウンド”に保存しておくより、終了して再起動するほうが電力を消費するからです。

「閉じないと動作が重くなる」も都市伝説

気になる処理性能についても「バックグラウンドのアプリを閉じてもスマホの処理性能には何らプラスにならない」というのがフェデリギ氏の公式見解です。理由はバッテリーとほぼ同じ。

iOSでは最大限省電するようRAM(メモリ)を管理する初期仕様になっているので、手動で閉じても別に何の改善にもならないってことです。

閉じてもトラッキングは止められない

プライバシーに関しても、アプリを強制終了したぐらいのことでは、開発元による行動追跡が止まらないことがWashington Postの調べでわかっています。閉じてからでも開発元はユーザーからデータを集めていますし、これは強制終了しても変わりません。

いちおう「Appのバックグラウンド更新」機能(下)をオフにすれば止まるので、それがいつの間にか「強制終了すれば追跡が止まる」という、よくある勘違いになっちゃったのかもしれませんね。

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Apple

誤解のはじまり

よくある非常識の出元を辿ったら、初代iPhone発売1週間後の2007年7月5日付けでもうAppleのフォーラムに「Safariって使わないときでも動作してるの?」というトピが立っていました。以下はそのときのやりとり。

「これってホームボタン押してからも、バックグランドで動作してバッテリー食い続けるの?」

「全部バックグラウンドで動作してる、間違いない」

同様のやりとりは、あちこちのフォーラムで展開されていました。人気のStack Overflowでも同じことが言われていたので、もう最初からあった勘違いと言ってもいいでしょう。まあ、説得力ありますもんね。パソコンではタブやアプリが山のように開いてるとバッテリー浪費しますし。パソコンの常識がそのままスマホでも広まってしまったのかなと思いますが、スマホのOSはパソコンとは根本から違って、iPhone上ではアプリは「ずっと開いている」のが大前提。いつでもすぐ呼び出して使える造りになっています。そろそろ発想を変えないと。

バックグラウンドのアプリを閉じるとスマホの性能が上がるとは公式もひとことも言ってません。あまり大きな声では言わないけど、Appleのサポートページには一貫して「アプリを終了したほうがいいのは、アプリが反応しなくなったときだけです」と書かれています。

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