うるさい&排ガスがひどい。全米で落ち葉ブロワ禁止の動き

落ち葉を風で吹っ飛ばす庭掃除の強い味方、ブロワ。

アメリカらしい発明品だとずっと思ってたら、日本の発明品でした…。除草機を発明した共立農機が1970年代に発売。芝生が中流家庭の象徴となったアメリカで普及が進んで、秋の風物詩となったもの。でも、ここにきて急に禁止の動きが広まっています。

理由はもちろん騒音、そして排ガスです。ブロワを1時間使うだけで、ロサンゼルスからデンバーまで約1,770kmの距離を、トヨタ カムリを運転したのと同じくらいのスモッグ系汚染物質が出ちゃうらしいんです!!!

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Image : California Air Resources Board

なんですって! 「トヨタ カムリ!?」…と記事に反応してしまいましたが、カムリというのはFast Companyがわかりやすく置き換えた例えであって、州政府の図(上)を見てみたら、単に「乗用車」とあるだけでした(笑)。

いまだに2ストなのか…

なぜこんなに不完全燃焼のガスが出るのかというと、リーフブロワって今も圧倒的に多いのが2ストロークエンジン。オイルを混ぜて燃やすタイプのエンジンで、燃料の3分の1は不燃のエアロゾルになって、空中に吐き出されちゃうんです。そこには発がん性物質も混じってるらしい…。

先進国ではブロワくらいしか出番がなくなった2ストだけど、東南アジア、アフリカ、インドなどでは安くて馬力が出るってことで、まだバイクなどに広く使われています。タイのトゥクトゥクも2スト。アジアでは大気汚染の源になっていると米政府の報告書には書かれています。

もっとも米国でも、これだけ芝生だらけでブロワだらけだと影響は大きいです。2011年に出た発がん性ベンゼン年間総排出の内訳を政府が調べてみたら、なんと4分の1が芝刈り機やブロワなどの芝生関連でした。芝生が「緑の砂漠」と呼ばれるのも納得ですよね。

乗用車はどんどんクリーンになっているのに、ブロワは旧態依然の2ストエンジンのままで、EV化が進むカリフォルニア州では、とうとう発動機や工事用車両といった乗用車以外のオフロード小型エンジンから出る排ガスの方が、州内全乗用車1400万台から出る排ガスを抜いちゃったって話もあります(州政府調べ)。

そこまでじゃないけど、マサチューセッツ州の最新調査でも、2020年にガソリン駆動の芝生造園機器から排出されたCO2は60万トンで、クルマ約13万5000台分という結果が出ています。いくら車をクリーンにしても、これじゃあね…。

落ち葉を必死に吹き飛ばして山にしても、突風が吹いたり、大型トラックがゴオオオーと通ればまた元の木阿弥で、働いてる人がかわいそう。もう放っといて落ち葉を腐葉土にした方が環境にはいいっていう人も増えてきました。熊手という便利なものもありますし。

すでに首都ワシントンDCとマイアミビーチなどでは使用が禁止・制限されててうらやましいです。カリフォルニア全州でガソリン駆動のブロワが販売禁止になるのは来年から。

Source: Fast Company, Washington Post

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