こちらは、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です
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もともとマグネット式つけまつ毛で知られていた美容品ブランド、グラムネティック(Glamnetic)は、2020年の末にネイルチップのカテゴリーに手を広げた際、着想を得るためファストファッションに目を付けた。
同社は変化する消費者の需要に対応するため、常にトレンドのデザインを打ち出したいと考えていた。そのため同社は、毎月のように、新しいデザインやテーマで新しいコレクションを発売している。これまでに11種類のコレクションを発売し、ネイルのデザインは合計で95種類にのぼる。
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トレンドの最先端を維持しようと試みるブランドは多いものの、実際にその地位を維持できる力を持つブランドは少ない。グラムネティックの場合、新しいラインの商品を矢継ぎ早に発売するのが有効であることが証明されていた。この戦略により、同社はこれまでに150万種類以上のネイルチップを販売してきた。同社によると、ゴールディガー(Goal Digger)や、ヘイリー(Hailey)、キャビア(Caviar)といったベストセラーのデザインは常に売り切れ状態だという。
「常にトレンドの最先端のデザインを発表しているブランドは存在せず、当社はそのようなブランドになりたいと考えた」と、グラムネティックの創設者でCEOを務めるアン・マクフェラン氏は述べている。同氏は、グラムネティックの手法を「トレンドの最先端でハイエンド、かつ高品質なネイルのファストファッション」と表現している。
2022年には380%成長
同ブランドがネイルチップのコレクションを発売したのは2020年のことで、非接触の方法でネイルを行うことへの需要が高まったためだった。継続的なコレクションをドロップする背景にあるコンセプトは、人々がトレンドのネイルデザインをネイリストに見せて施術してもらう傾向があることから生まれたものだ。同社は収益について具体的な数字を明かしていないが、自社のネイル部門が2021年から2022年に380%成長したと述べている。2023年にはこの成長が倍増することを見込んでいる。同社が新しいコレクションを継続的に発売しはじめたのは、昨年1月のことだ。
同社は、消費者がより安い価格でネイルを維持する新たな方法を模索していることから、今年は自社商品への需要が急増すると予想している。同社のネイルチップは現在セフォラ(Sephora)やアルタ(Ulta)を含む2000店舗で販売されている。グラムネティックのネイルチップ・コレクションは、同社のウェブサイトでも購入できる。同社のコレクションはオンラインで入手できるほか、いくつかのスタイルは小売企業の店舗やウェブサイトでも販売されている。
「一度でも試してみた人は、ずっと使い続ける傾向があることがわかっている。ネイルはつけまつげとは異なり、昼夜付け続けるものなので、使い続けられる傾向がさらに高い商品だ」と、マクフェラン氏は述べている。
ソーシャルメディアでの販促
毎月発表されるコレクションは、毎回異なるテーマに沿っている。最近では、ベルベットクラッシュ(Velvet Crush)ネイルコレクションをリリースした。このコレクションは、煌びやかな仕上がりの7つのスタイルを特徴としている。その前の月には、6つの遊び心があるネイルのデザインを集めたチェーシングレインボーズ(Chasing Rainbows)コレクションをリリースした。
同社には14人の社内デザインチームがあり、5カ月間ほどでコレクションを完成させる。また、GoogleやAmazonの上位の検索用語や、顧客からのフィードバックを活用して、次にリリースするスタイルを決定する。
新しいコレクションの情報を広めるため、同社はソーシャルメディアで商品を強く宣伝している。インスタグラムのフォロワー数は50万人を超えており、TikTok、Snapchat(スナップチャット)、Facebookなどさまざまなソーシャルプラットフォームでも広告を配信している。また、ソーシャルメディアで商品をプロモーションするだけでなく、ネイルチップの正しい外し方など教育的なコンテンツも投稿している。
最新のスタイルと適切な品質の維持
ブランドがネイルのような美容品のカテゴリーで成功するには、人々が求める最新の美学やスタイルに常に対応し続ける必要があると、デジタルコンサルタンシー企業のCI&Tで小売戦略ディレクターを務めるメリッサ・ミンコウ氏は述べる。ネイルチップを販売しているほかのブランドとは異なり、グラムネティックはネイルサロンとも競合しているため、人々に多くの選択肢を与えることは不可欠だと、同氏は述べている。
「同社にとって、適切な品質を実現することは極めて重要だ。これはロイヤルティを左右する部分だ。それによって消費者が忠誠心を持ち、そのブランドからリピート購入するようになるチャンスがある」と、同氏は述べている。
さらに、多くのオプションが存在することには利点があるが、在庫の維持が困難になる可能性があると、ミンコウ氏は語る。
グラムネティックのマクフェラン氏は、同社が次の成長段階の一部として、採算の取れていない一部のSKU(在庫管理単位)については扱いを取りやめることを計画していると語る。同社は重複を避けるため、十分に差別化された商品を提供したいと考えている。同社は新しいネイルチップのデザインを提供し続ける計画だが、新しいネイルアクセサリーやネイルケア商品の発売も検討しており、それによって買い物客の平均注文価格が増加することに期待している。
「最初の頃は、とにかく事業の拡大にだけ注力していた。現在では、何のうまくいき、何がうまくいっていないかに注目し、磨きをかけている」と、マクフェラン氏は述べている。
[原文:Inside Glamnetic’s ‘fast-fashion’ approach to press-on nails]
Maria Monteros(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Glamnetic