CTV の広告費は鈍化傾向、オーディオは急成長。2023年のプログラマティックの進化は

DIGIDAY

プライバシー規制はターゲティング戦術に依然として大きな影響を及ぼしている。そんななか、コムスコア(Comscore)のブログラマティック部門であるプロキシマイク・バイ・コムスコア(Proximic by Comscore)が5月24日に発表した調査結果から、オーディオ広告が記録的な成長を遂げつつあることがわかった。

米国内の各業界で活躍するマーケター数百人を対象に行われた調査「 The State of Programmatic(プログラマティックの現状)」によると、プログラマティック広告を実施する企業各社は、多くの変化を伴う1年に向けて、準備を着々と進めているようだ。これが示すのは、マーケターは新たなターゲティング手法とデータパートナーに適応し、規制の変化に備えることが必要だということだ。

今回の調査からは、オーディオとポッドキャストの広告費が増加傾向にあるのに対して、CTVのそれは停滞していることもわかった。新規マーケターが投じる額は鈍化しつつあるものの、CTVは依然として、従来型TVやデジタル、ソーシャルと共に、クライアントのメディアプランの大部分を占めている。オーディオとポッドキャストは昨年、共に記録的な成長を遂げ、その他のチャネルと比較すると、前年比で過去最大となる利益を上げた。一方、2023年にはじめてCTVに予算を投じることが見込まれているマーケターの割合は5%だった。

オーディオはCTVに次ぐ存在に

今回のリポートによると、CTVに投資するマーケターのシェア全体に対する累積増加は、5%になることが見込まれているという。

プロキシマイク・バイ・コムスコアのマネージングディレクター、レイチェル・ガンツ氏は、こう語る。「プログラマティックテクノロジーのおかげで、近年、メディアとしてのCTVの利便性は向上してきた。したがって、CTV広告を導入するつもりだった多くのマーケターがすでにそうしていても、不思議はない」。

独立系エージェンシーのフィッツコ(Fitzco)でメディア部門の代表を務めるクレア・ラッセル氏は、CTVとオーディオを直接比較するのは難しいが、その成長のポテンシャルを考えると、オーディオの見通しは明るいと述べる。

「これには3つの大きな要因がある。パブリッシャーによるコンテンツへの大型投資、リスナー数の増加、そして測定の進歩だ」と、ラッセル氏は語る。「特に顕著なのがポッドキャストで、当社クライアントの興味の的になっている」。

オーディオがCTVに次ぐ存在であるという構図は、今後も変わらないと話す人々もいる。ノーバス(Novus)のデジタル部門を率いるバイスプレジデントのポール・ディジャーナット氏は、「オーディオがCTVを追い越しつつあるとは思っていない。事実、この半年のあいだに、CTVインベントリー(在庫)には新たな関心が寄せられるようになってきている」と語る。同氏によれば、自身の経験では、オーディオ予算の約70%が音楽関連コンテンツ、約30%がポッドキャストに投じられているという。

コンテクスチュアルターゲティングへの期待

グッド・アップル(Good Apple)のプログラマティック担当バイスプレジデント、ジョージ・ターノポススキー氏も、いまの段階では、オーディオがCTVを凌駕しつつあるわけではないと述べる。ただし「オーディオ広告の成長スピードは大きく加速している」と同エージェンシーは認識していると、同氏は語る。この加速の要因になっているのは、オーディオコンテンツに対するコンテクスチュアルターゲティングだという。

「いまや、フレーズやキーワードといった、エピソード内の実際のコンテンツに基づいて、より深いターゲティングが可能になった。これによって、オーディエンスを正確にターゲティングできる、新たで豊かなコンテクスチュアルシグナルの扉が開かれつつある」と、ターノポススキー氏は語る。

広告チャネル全体のなかで、マーケターにとって最重要のチャネルとして、いまなおトップの座にいるのがデジタルだ。2022年にデジタルに投資したマーケターは全体の約90%で、うち58%が、人気メディアは他にも現れてきているが、デジタルは広告戦略全体のトップまたは2番目の優先事項であると回答している。

しかし、プライバシーをめぐる状況が二転三転を続けるなか、マーケターはサードパーティデータとIDに基づくターゲティングに関する課題の数々に直面している。このターゲティング手法が支配的である状況は変わっていないが、その一方で、コンテクスチュアルデータがCookie依存型データを上回ることへの期待も寄せられている。このリポートによると、マーケターの47%が2023年内にIDフリー戦術を導入するつもりだという。2023年の広告費の約44%は、サードパーティデータベースのターゲティングを介して使われると見られている一方で、25%はファーストパーティデータを用いたオーディエンスターゲティングに投じられる見込みとなっている。残りは、IDレスのコンテクスチュアルセグメントに割り当てられる見込みだ。

ラッセル氏によれば、サードパーティCookieの廃止は数年前からいわれ続けており、この流れを受けて、フィッツコのターゲティングはすでにCookieレス化されているという。「時間は十分にあった。変化に順応し、新たな戦術をテストし、ユニファイドID 2.0(Unified ID 2.0)などの技術の進化について行ったおかげで、この変化する状況からクライアントを守れるようになった」と、同氏は語る。

プライバシー規制にいかに対応するか

ランドリー・サービス(Laundry Service)でペイドメディア部門の責任者を務めるニティン・シンハ氏も、同エージェンシーは、Appleが2021年にiOS 14に変更を加えて以来ずっと、IDを用いた戦術と用いない戦術の併用をクライアントに勧めてきたと話す。「TikTokやTwitchといった、比較的最近登場したプラットフォームは、Cookieや自社のIDベースの代替データに依存することなく、優れたターゲティング機能を提供している」と、同氏は語る。

「ファーストパーティデータは、いまも大半の広告主に非常に良い効果をもたらしている。戦術をバランスよく組み合わせることが、大半のクライアントに良い結果をもたらすはずだ」。

ディスティレリー(Dstillery)の「IDフリー(ID-Free)」などの他のツールを使って、Cookieを用いないソリューションを同様にテストしているエージェンシーもある。エクスベラス・メディア(Exverus Media)でプログラマティックマーケティング部門のアソシエイトディレクターを務めるショーン・エドワーズ氏は、こう語る。「近年進むプライバシーをめぐる変化という文脈のなかで、Cookieの終焉はどんどん迫ってきてはいるが、過剰には心配していない」。

また今回の調査から、マーケターは今後も、プライバシー法の改正と歩調を合わせる路線を取っていく見込みであることもわかった。回答者の30%が、プライバシー法が改正されれば、データパートナーを変えると回答。75%が、コンテクスチュアルやプレディクティブに目を向けて、Cookieを用いないターゲティングに切り替えていくと回答。54%が、これらの課題が持ち上がってくるのに合わせて、コンテクスチュアルデータの利用を増やしていくつもりだと回答している。

オーディオの優位性はますます高まる?

しかしその一方で、今回の調査から、マーケターはいまなお「シグナル喪失」に苦しんでいることもわかった。約18%が、Cookieを使わないターゲティングをどのように計画・実施していけばいいのか、よくわからないと回答。16%が、こうした戦略の採用やテストに賛成している社員はひとりもいないと回答している。

これらが積み重なって、プライバシー法の改正が進むことにより、オーディオが市場での優位性をさらに高めていくかもしれないことへの、もうひとつの理由を生み出している。コードスリー(Code3)のプログラマティック広告担当ディレクター、ケイティー・ケリー氏は、「Cookie依存型データがなくなっても、ポッドキャストやオーディオに影響はほとんど出ない。だからこそ、いまも出稿に申し分ない場所なのだ」と語る。

「リスナーに関する詳細なデータがなくなれば、アトリビューションの一部に変化は出てくるだろう。しかしそれでも、アトリビューションパートナーや広告主からのデータを用いれば、リスナーのプライバシーを犠牲にする必要はない」。

[原文:How programmatic advertising will evolve this year on the heels of audio growth and privacy changes

Antoinette Siu(翻訳:ガリレオ、編集:分島翔平)

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