「対面での仕事が持つ力を信じている」:米 エデルマン CEOが提示する、60%のハイブリッド勤務

DIGIDAY

この1年間で、ワクチン接種率は上昇し、パンデミックへの恐怖心は一見、低下したように見える。これを受けて、雇用主はオフィスにスタッフを呼び戻し、対面での仕事を通じて企業文化を育み、創造性を発揮させようとしている。

リーダーの役職にある人々は、リモートワークを続けるか、対面に戻るかという判断は、バランスを取るのが難しいと述べている。重要なのは、パンデミックが終息したわけではないということだ。COVID-19がまた新たな波を持って猛威を振るうなか、エグゼクティブたちはオフィス再開について、何かを試して止めて、を繰り返すことを余儀なくされている。一方で、この2年間で完全なリモートワークが可能であり、収益を生むことすら証明された。つまり、直接顔を合わせる必要性を従業員に納得させることはさらに難しくなっている。

しかし、6000人以上の従業員を擁し、世界60カ所にオフィスを構えるPR会社大手のエデルマン(Edelman)は、少なくとも勤務時間の60%はオフィスにいるよう従業員に求めている。同社のアメリカのCEO、リサ・オズボーン・ロス氏によると、その60%をどう分割するかは、社員次第だという。

エデルマンは今年3月中旬にこのハイブリッド型の勤務形態に落ち着いたが、3月以前から公衆衛生や安全対策を導入した状態で、いくつかの都市のオフィスにおいて自主的な出勤を受け入れていた。これは企業文化のためだ、とロス氏は言う。米DIGIDAYは同氏にインタビューし、対面での仕事がなぜ重要なのか、オフィス復帰をスタッフにどう伝えたか、そして仕事の未来について語ってもらった。

このインタビューはわかりやすくするために少し編集してある。

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−−企業におけるリーダーたちは、対面での仕事に戻るという決定を含めて、必ずしも全員が喜ばない判断を下さなければならない、とあなたは述べた。それはどのように企業文化と結びついているのか

人々が持ってしまう期待値をコントロールすることが重要だ。私はよく人に「嬉しくないことを伝えなければならない。しかし、これから言うことは善意から、いい意図を持って発されるものであるということが重要だ。私がフィードバックを出さない時こそ、不安になる時だ」と言う。

このことは親切な文化、正直な文化、そしてダイレクトな文化を作ることを目的としている。フィードバックを提供することが必要となるからだ。そして、誰かが部屋にいない時に正直な発言が出てくるとすると、それはクールではない。

−−オフィス復帰における会話において、透明性は大きな役割を果たすことがある。あなたのチームにとって、その点はどうか

正直に言うと、私は対面での仕事が持つ力を信じている。私たちが話してきた方法は、目的を持って対面で仕事をすると言うことだ。しかし同時に、多くの人が、なかには子どもを持つ親が「5年ぶりに(リモート勤務のおかげで)子どもたちと一緒に夕食を食べることができている、それを手放したくはない」と言っていることも理解する。それに対する私の返事は、子供との時間を手放してくれ、と言ってるわけではないというものだ。

私自身は、人々が職場に戻ってくることを楽しみにしているが、あなたにとってはそうではない(それが現実だ)。しかし、あなたには他の人に学びを与えて欲しいと思っている。私は学習の文化を信じている。人というのは直接隣に座ったりしている時に最も良く学習ができる。人と一緒に歩き回ったり、ランチに行ったり、女性用トイレでおしゃべりをしたりするのが一番の学習環境だ。私はそのような状況に戻ることを楽しみにしている。

−−オフィス復帰には反発も出ている。人々はリモートでも仕事ができることを証明してきた。リーダーの役職にあるあなたは、対面での仕事の必要性をチームにどのように伝えているか

なぜ彼らを必要としているかを伝える。私は、問題解決や真の社会的変化につながるような、クリエイティブなアイデアやキャンペーンをもって、クライアントに最高のサービスを提供できる文化を築こうとしている。そして、その文化を作るには、コミュニティとして一緒に時間を過ごすのが一番だと思う。だから私はあなたに週に3日、仕事をするためにオフィスに戻ってきてほしい。これが大人相手のコミュニケーションだ。

子供相手であれば「これをしなさい」と言うだけだ。大人相手だから「これが私があなたにして欲しいことで、これが理由。そしてあなたにとってのメリットはこれで、これが責任であり、これが説明責任である」と伝える。

−−エデルマンのオフィス復帰計画はどのようなものか

COVID-19では、オフィスに戻ろうとしたときに何度も出だしで失敗することが多かった。なので今回のオフィス復帰の方針は、あなたが週に3日、または1カ月間60%の時間オフィスにいることを期待している。何時に退社しようと気にしない。出社しているかどうか、いちいち気にしない。私たちが合図したのは、60%の時間をオフィスで柔軟性を持って過ごすことと、目的を持って対面の仕事をする、という提示だ。

−−社内でそれに対する反発はあったか

まだない。今後あるかもしれないが、今はまだだ。従業員の価値提案は、気候変動、人種差別問題、COVID-19に関連して、この2年間で劇的に変化した。人々は目的を求めている。単なる給与だけではない。人々は柔軟性を求め、メンタルヘルスが私たちの重要で不可欠な部分であるという認識を求めている。

[原文:‘I believe in a present workforce’: Edelman U.S. CEO Lisa Osborne Ross on 60% return to in-person work

Kimeko McCoy(翻訳:塚本 紺、編集:黒田千聖)

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