DIGIDAYリサーチ: パブリッシャー は大手も中小もファーストパーティデータにリソースを注入

DIGIDAY

パブリッシャーはすでに何年ものあいだ、サードパーティCookieの廃止に備えてきた。彼らが見据える次のステップはファーストパーティデータだ。そしてその動きは、大手パブリッシャーにも中小規模のパブリッシャーにも共通している。

これはDIGIDAYが2023年第2四半期に、70名以上のパブリッシャー関係者を対象に実施した調査結果からわかったことだ。

この調査によると、サードパーティCookie終焉に向けたパブリッシャーの準備状況は、この2年間で概ね変わりはない。Cookie廃止という変化に対して自社の事業はすでに積極的な備えをしていると思うかと尋ねたところ、「大いに」あるいは「ある程度そう思う」と回答した関係者の割合は、2021年第1四半期の63%からわずかに上昇し、2023年第2四半期の調査では69%であった。

また、サードパーティCookie廃止の動きに積極的に備えているとは「まったく思わない」または「あまり思わない」と答えたパブリッシャー関係者の割合も、この2年間で大きな変動はない。2021年第1四半期には18%が「思わない」と回答していたが、2023年第2四半期はわずかに低下して14%であった。

このデータをもう少し掘り下げてみると、注目すべきは「積極的に備えていると思う」と答えたパブリッシャーのなかで、「大いにそう思う」と「ある程度そう思う」の2つの回答のあいだでほぼ2分されている点だ。2023年第2四半期のDIGIDAYの調査では、自社の事業は積極的に備えていると「大いにそう思う」と答えたパブリッシャー関係者の割合が35%であるのに対し、「ある程度そう思う」は34%であった。

また、調査ではサードパーティCookie廃止に向けた積極的な備えに関して、大手パブリッシャーと中小規模パブリッシャーとのあいだに大きな違いがあることがわかった。

具体的には、大手パブリッシャー(2022年の収益が5000万ドル[約65億円]以上)関係者の78%が、自社の事業が積極的に備えていると「ある程度」または「大いに思う」と答えているが、中小規模のパブリッシャー(2022年の収益が5000万ドル未満)関係者の場合、その割合は56%である。

そして大手パブリッシャー関係者の半数近く(47%)が、自社の事業はCookieのない未来に積極的に備えていると答えている一方、中小規模パブリッシャー関係者で同様の回答をしたのは4分の1未満(22%)にとどまっている。

では、サードパーティCookie廃止後の世界に移行するために、パブリッシャーは具体的にどのような準備をしているのかについてみてみよう。

全体としてパブリッシャーは、ファーストパーティデータこそサードパーティCookieの先に進むための主たる手段だという考えで一致していることが、DIGIDAYの調査から読み取れる(ブランドマーケターも同様の考えを示しているが、エージェンシーはそうではない)。サードパーティCookie終焉に備えて、現在ファーストパーティデータを使っていると答えたパブリッシャー関係者の割合は82%で、2022年の77%(こちらもかなり大きな割合ではある)からはわずかに上昇した。

パブリッシャーの半数近くが、ファーストパーティデータに関連したアクションも起こしていると回答している。ユーザーに登録を義務付けている(すなわちファーストパーティデータを収集している)パブリッシャーが44%、ファーストパーティデータセグメントをDSPに統合していると答えたパブリッシャーは43%であった。

また、Cookieなき世界に備えて、「アドテクで構築したCookieの代替手段を使用」しているパブリッシャーが半数近く(46%)に上ることや、イベントやライセンスなど「そのほかの収益手段への依存度を高める」と「サブスクリプション収益への依存度を高める」との回答が、それぞれ32%あったことも注目すべき点である。

大手パブリッシャーと中小規模パプリッシャーを比較すると、ファーストパーティデータが今後進むべき道筋であることは明らかだ。Cookie廃止後に備えてファーストパーティデータを利用することは、規模の大小にかかわらずパブリッシャーが最も重視する準備ではあるが、その程度は大きく異なっている。

調査結果によると、大手パブリッシャーの関係者のほぼすべて(94%)がCookie終焉に備えてファーストパーティデータを利用していると回答した。一方、中小規模パブリッシャーの場合、その割合は3分の2程度(66%)にとどまっている。

興味深いのは、大手パブリッシャーではアドテクによって構築されたCookie代替手段を利用すると回答した関係者が2番目に多かったことだ。61%が、Cookie廃止後への準備として自社の事業にこれを取り入れているという。イベントやライセンスなど、「そのほかの収益手段への依存度を高める」も42%と、大手パブリッシャーのあいだでは高い割合を示している。「ファーストパーティデータセグメントをDSPに統合する」は58%、「ユーザーに登録を義務付ける」は47%だった。

中小規模パブリッシャーでは、Cookie終焉への準備としてサブスクリプション収益への依存度を高めると回答した関係者の割合が41%で、2番目に多い。また、「ユーザーに登録を義務付ける」も同じ割合で多かった。「ファーストパーティデータセグメントをDSPに統合する」は、中小規模パブリッシャーではわずか25%であった。

[原文:Digiday+ Research deep dive: Publishers large and small put their resources into first-party data

Julia Tabisz(翻訳:SI Japan、編集:島田涼平)

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