ロレアル がバイオテクノロジー企業に投資。新世代の有効成分の発見がマーケティング戦略のひとつに

DIGIDAY

ロレアル(L’Oréal)のコーポレートベンチャー部門であるボールド(Bold)は、バイオテクノロジー企業のデビュー(Debut)と、そして最先端の研究室を活用して美容成分の新たな波をもたらす可能性に賭けている。

美容とバイオテクノロジーの融合に賭けるデビュー社

デビューは、6月1日、ボールド主導のシリーズB資金調達で3400万ドル(約47億円)を調達したと発表した。これには、ファインストラクチャーベンチャーズ(Fine Structure Ventures)、マテリアルインパクト(Material Impact)、GSフューチャーズ(GS Futures)、カヴァロベンチャーズ(Cavallo Ventures)、カルティヴィアンサンドボックスベンチャーズ(Cultivian Sandbox Ventures)、ACVCパートナーズ(ACVC Partners)らが参加した。デビューは、成分を発見し、その成分を大規模生産し、処方を作成し、臨床試験を実施する垂直統合型バイオテクノロジー企業だ。他社に成分使用許可を与えるほかに、年末までに自社ブランドを立ち上げる予定がある。デビューの創業者兼CEOのジョシュア・ブリトン氏によると、シリーズBの資金は製品パイプラインの構築、追加の雇用、成分スケーリング能力の拡大に充てられるという。

「当社は美容とバイオテクノロジー(を組み合わせること)のスタート地点に立ったばかりだ。この数カ月には真の革新が見られたが、デビューの目標は有効成分の製造プロセスを覆すことだ」とブリトン氏は語っている。「同じ古い有効成分を新しくアレンジして生産することにはまったく興味がない」。

2021年8月にマテリアルインパクトが主導したデビューの2260万ドル(約32億円)のシリーズAは、成分開発モデルの拡大、社内ブランドインキュベーターの確立、サンディエゴにある26,000平方フィート(約2415平方メートル)の施設を持つまでの成長に貢献した。2019年に設立されたデビューには現在60名の正社員がいる。ブリトン氏は、デビューは無細胞発酵を使って成分を開発していると述べ、無細胞発酵というのは、栽培、化学合成、農薬を必要とせず、より持続可能なソリューションになるとアピールしている。

ロレアルの研究・イノベーション・テクノロジー担当副CEOのバーバラ・ラヴァーノス氏は、プレスリリースで次のように述べている。「デビューは、従来の製造のみに依存することに伴う資源の大量消費や環境への影響を及ぼすことなくイノベーションを推進するという、美容業界の根本的な課題のひとつに取り組んでいる。地球の資源を保護しながら、有効性のある美容の傑出したイノベーションを生み出すためにデビューに投資し、デビューと提携する最初の美容リーダーになれることは最高にエキサイティングだ」。

テクノロジースタートアップに投資するボールド

「ロレアルの開発のビジネス機会(Business Opportunities for L’Oréal Development)」の略称であるボールドは、これまでにテクノロジーや科学にフォーカスした多くのスタートアップに投資している。同社の投資ポートフォリオには、パーソナライズ美容に特化した日本のスタートアップ、スパーティ(Sparty)、カナダで美容医療クリニックを経営するファンクショナラボグループ(Functionalab Group)などがある。また、1月には、ブランド、クリエイター、コミュニティ向けのサービスとしてのメタバースプラットフォームでNFTマーケットプレイスでもあるデジタルビレッジ(Digital Village)に投資している。

ほかのバイオテク美容企業の動向

最近、注目されているバイオテクノロジー美容企業はほかにもある。おそらくもっとも知られているのは、美容ブランドのバイオサンス(Biossance)の基盤となっている、サメ由来のスクワレンの代用となる持続可能な合成スクワランの開発を行ったアミリス(Amyris)だろう。アミリスは、さまざまなローンチや買収を通じて美容分野を構築し、時間をかけて事業を変革した。また、最近では2月にスクワラン事業をジボダン(Givaudan)に売却したが、現在でもスクワランメーカーとして活動している。また、スキンケアブランドのスポイルドチャイルド(Spoiled Child)とメイクアップブランドのイルマキアージュ(Il Makiage)を所有するオディティ(Oddity)は、ボストン拠点の美容バイオテクノロジー研究所、レヴェラ(Revela)を7600万ドル(約106億円)で買収した。

デビューと同様、レヴェラも美容ブランドを持っており、独自のフィブロキン分子を使った育毛セラム、眉毛セラム、アンチエイジングモイスチャライザーなどの外用製品4点を揃えている。これら4製品はスポイルドチャイルドのポートフォリオの下で再発売される予定である。

ブリトン氏からはまだ公表されていないデビューの新規ブランドが提供する製品数は共有されなかった。しかし、同氏は、デビューにはスクリーニングと検証が行われた250の成分のポートフォリオと、新成分の発見のための380万を超える臨床前データポイントの独自のデータベースがあると述べている。

新成分の発見がもたらす美容の新時代

特に、新しく斬新な原料を生成するバイオテクノロジーの能力に対する注力は、数十年前からある成分を使うことに特化したジ・オーディナリー(The Ordinary)やインキーリスト(Inkey List)のようなブランドとは相容れないものである。ジ・オーディナリーは、6月5日、同社最大の屋外キャンペーンを開始、レチノールや銅ペプチドなどの伝統的な成分は十分理解され、科学的に裏付けられており、手頃な価格であるという考えを強調している。美容業界では新成分はマーケティング戦略の1つとして活用されてきているが、成分の発見方法に関するこのような根本的な変化によって上述の2つの考え方の間にさらなる緊張が生じるかもしれない。

ブリトン氏は次のように述べている。「美容とバイオテクノロジーは厳密な科学的臨床データに裏付けられた新しい高性能な成分と密接に関係している。ビタミンCとレチノールが主力成分だった時代は過去のものとなるだろう。5年後にまたこのような会話をするとしたら、(そのときには)このような成分を使って事業を行うブランドや企業は存在しないと思う。新時代が到来しつつある」。

[原文:L’Oréal invests in biotech firm, betting on a new generation of active ingredients

EMMA SANDLER(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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