ナイキOBたちが企業リーダー職にこぞって採用されている理由:期待されるオムニチャネル、ブランド構築、テクノロジー分野での経験

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小売業界が組織図の再編成を行うなか、ナイキ(Nike)での勤務経験者たちが上級職の最有力候補に挙がっているようだ。

過去20年間にわたってナイキで各種の役割を果たしたマイク・ブルーワー氏は、2月から家具小売のクレート&バレル・ホールディングス(Crate & Barrel Holdings)の最高執行責任者に任命された。一方でザ・ノース・フェイス(The North Face)は9月に、ナイキの元幹部2人を、最高マーケティング責任者と最高商品およびマーチャンダイジング責任書に指名したことを明かした。ザ・ノース・フェイスの発表は、同社が、16年間ナイキで活躍したニコル・オットー氏をグローバルブランドのプレジデントに起用したわずか数カ月後のことだ。

各ブランドは、オムニチャネルの小売業、ブランド構築、テックの知識があるリーダーシップチームのメンバーをますます強く探し求めるようになっている。このような特性は、ナイキが自社ビジネスを運営する方法に明らかに示されていると、業界の専門家は述べる。ナイキはマルチチャネルのブランドであり、近年になってファーストパーティーデータを効果的に収集し、堅牢なD2Cビジネスを開発している。ナイキが提供できるさまざまな分野の専門知識は、成長を求めるブランドにとって、より魅力的なものとなった。

大胆な戦略を実行してきたナイキ

ナイキはトップブランドの地位を維持するため大胆な行動に踏み出してきた。特に注目すべきなのは、2021年、当時は同社の売上の多くを卸売が占めていたにもかかわらず、自社のD2C戦略を進めるため、DSW、アーバンアウトフィッターズ(Urban Outfitters)、オリンピアスポーツ(Olympia Sport)など多くの小売業者で商品の販売を停止すると述べたことだ。第2四半期は、厳しい経営環境のなかでも、D2C事業は良い業績をあげた。第2四半期の収益は、前年同期比17%増の、133億ドル(約1兆8100億円)だったと報告した。

小売代理店レコンリテール(Rekon Retail)のマネージングパートナーであるレベッカ・コンドラット氏は次のように述べている。「情勢を俯瞰し、ナイキの軌跡を広く見回したとき、ナイキの経営幹部から得られるものは多い。同社は景気後退も、売上が非常に好調だった時期も体験し、再建のための努力を実際に行ってきた。消費者のあらゆる行動を考慮すると、単一チャネルの専門家のみを有することはもはや適切ではない」。

これらの役割の多くは、たとえばサプライチェーンや顧客のロイヤルティなど、業界をむしばんでいる共通の問題を解決することに重点を置いている。

たとえば、ブルーワー氏はナイキで調達、生産、サプライチェーンの役割を担っていたが、現在はクレート&バレルのポートフォリオ全体における運用の監督を行っている。家具小売業者である同社で、ナイキの経営幹部が、経営役員の役割に任命されたのは同氏がはじめてではない。同社は、ナイキで15年間にわたってさまざまなテック関連の役割に就いていたジェイスン・ブース氏を、2021年後半に最高テクノロジー責任者として採用した。

ローティスブルーコンサルティング(Lotis Blue Consulting)のパートナーで、小売収益の成長実践を主導するトム・ヒル氏は、小売業者は特に、顧客のブランドへのロイヤルティを深める方法を開発できる経営幹部を探していると語る。「小売業者は、ナイキのような特定の商品やサービスに特化していない小売企業に、斬新な発想を求めている」と、同氏は述べる。これらの企業は、「顧客について、より総体的に考えられる」シニアリーダーを求めていると、同氏は付け加えている。

時代とともに変化 幹部職に求められる要素

ザ・ノース・フェイスがソフィー・バムバック氏とジェニファー・イングラフェア氏を、それぞれ最高マーケティング責任者と最高商品およびマーチャンダイジング責任者として採用したのは、まさに消費者中心のリーダーを求めてのことだったようだ。同社は、この2人の経営幹部を採用したことで同社の事業が加速し、グローバルマーケティングおよび商品開発のイニシアチブが向上することに期待していると述べた。

ナイキの退職者の多くと同様に、イングラフェア氏はナイキで18年以上勤務し、キッズも含めて多くのカテゴリーのマーチャンダイジングを扱ってきた。一方、ザ・ノース・フェイスのニコル・オットー氏は、ナイキで16年以上を過ごし、ITディレクターから、ナイキダイレクトノースアメリカ(Nike Direct North America)のバイスプレジデントまで、幅広い役割を務めた。ルルレモン(Lululemon)が最近、シニアバイスプレジデント兼グローバルクリエイティブディレクターに任命したフィル・ディキンソン氏はナイキで15年間勤務し、スポーツウェアの責任者を務めていた。

ブランドが特定の企業の経営幹部を採用することに興味を示すのは珍しくない。しかし、これらの好みの一部は時間とともに進化してきたようだ。

ほんの数年前、各ブランドはターゲット(Target)に在籍しているような、プライベートブランドとマーチャンダイジングの深い知識を持つ専門家を探し求めていた。大手小売業者のベッドバス&ビヨンド(Bed Bath & Beyond)は2019年、ターゲットの最高マーチャンダイジング責任者だったマーク・J・トリットン氏を、同社のプレジデント兼CEOに指名した。ファッションブティックのエバーイブ(Evereve)は2017年後半、ターゲットの価格設定およびプロモーション担当バイスプレジデントだったクリステン・マックベイ氏を、最高マーチャンダイジング責任者として招いた。

見出し

幹部社員がひとつの企業でどのような実績があっても、新たな企業で同じ業績を挙げられるとは限らない。トリットン氏はベッドバス&ビヨンドに任命されてから3年以内で、同社の転換作業が要求される結果を達成できなかったため、退任した

ナイキのような企業で勤務すると、幹部社員たちは、ほかのブランドよりもはるかに多くのリソースを与えられるため、理想的な成長イニシアチブを実現できると、インシトコンサルティンググループ(Incito Consulting Group)のプレジデント兼CEOを務めるイジー・ガリシア氏は述べる。これらの幹部社員がほかのブランドで作業を行うときは、アスレチック大手であるナイキと比べていくつかの制限があることを理解し、適応する必要があると同氏は述べている。

「ブランド自体の認知度だけでも大きな影響力がある」と同氏は述べる。幹部社員は、「ほかのそうした企業では、多少の変更と、多少のキャッチアップを行う必要があることを認識しなければならない」と、同氏は付け加えている。

[原文:Why brands are obsessed with hiring Nike alums for leadership roles]

Maria Monteros(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Nike

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