メタ、お得な情報を紹介する新ツール「プロモーショナル広告」発表:広告主によるキャンペーン最適化を可能に

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メタ(Meta)は「プロモーショナル広告(Promotional ads)」という機能をテスト中だ。この機能により、買い物客はブランドが提供する季節ごとのセール、初回購入割引、ホリデープロモーションを簡単に利用できるようになるとテック大手である同社は主張している。

これにより、ユーザーはFacebookで特別なプロモーション付き広告を目にした場合、クリックして特典を申請することができる。割引コードが自動的に適用されるため、チェックアウト時に手作業で入力する必要はない。メタが行ったデモンストレーションでは、ユーザーがFacebook上のスポンサー付き投稿(Sponsored Post)をクリックすると、商品リストが表示される。リストの右下には、たとえば「15%割引を受ける」と書かれた割引ラベルが付いている。このツールは現在、米国、英国、カナダ、インドの一部の広告主に対して、試験的に提供されていると、同社は述べている。

これとは別に、同社はコンディショナルクエスチョンズ(Conditional Questions)という新機能をリードジェネレーション(生成)ツールに追加するテストも行っている。これは、広告主の質問と回答のフォームを、顧客の回答に基づいて自動的に更新するものだ。これらの新しいツールは、同社が人工知能(AI)を搭載した多数の新広告商品をテスト中であることを発表した1週間後に登場したものだ。具体的には、同社が取り入れたAIサンドボックス(AI Sandbox)は、ジェネレーティブAIの試験場と呼ばれており、さまざまなテキストや画像の背景を作成できるツールと併用される。これらのツールはすべて、テック大手である同社のiOS 14以降の戦略として、広告主がキャンペーンを最適化するために人工知能やその他のツールを活用できるようにするという方向性の一環だ。

たとえばコンディショナルクエスチョンズでは、広告主がユーザーについての情報を収集し、ユーザーの好みに基づいて絞り込みを行うことができる。たとえば教育機関なら、このツールを使用して「どの学位に興味を抱いているか?」といった質問を問いかけることができる。回答に基づいて、その後の質問を動的に更新し、ユーザーに特定のプログラムに関する詳しい情報を案内することができる。

インスタントフォーム機能による情報取得

Facebookの親会社である同社は、各ブランドが同社のアプリ内ブラウザーを使用して、自社のインスタントフォーム機能を自社ウェブサイトにオーバーレイするオプションを近日中に提供する予定であると述べている。インスタントフォーム(Instant Forms)を使用すると、メタの広告を閲覧した人々から、名前やメールアドレスなどの情報を取得することができる。インスタントフォームとコンディショナルクエスチョンズは現在、どちらも米国市場においてFacebookでテストしており、今夏には全世界で利用可能になると同社は説明している。

「iOS以前もiOS以降も、このプラットフォームで広告を配信したことがある人なら誰でも知っていることだが、自社の顧客が誰なのか、どこから来ているのか、どの商品に関心を持っているのかを詳しく把握するのは非常に困難だった。そのため、ブランドが情報を見とおせるようになるようなツールならなんでも素晴らしいと思う」と、カリフォルニアの広告代理店であるビディコ(Biddyco)のクリエイティブディレクター兼パートナーで、マジックスプーン(Magic Spoon)や、ブルーム(Blume)、ジューンシャイン(JuneShine)などを手がけるメレディス・ショーエンバーガー氏は語る。

しかし、ショーエンバーガー氏は、それによって「利ざやが十分でないブランドは、絶え間ないセールのサイクルに追い込まれる」ことがプロモーショナル広告に関する同氏の大きな懸念だと、すぐに付け加えた。「すべてのブランドが毎月セールを行えるわけでもなく、そうすべきでもない。このようなプロモーショナル広告型のハブについて心配なのはその点だけだ。小規模なブランドは、この枠組みの中で競合力を保つために必要なプロモーションを実行し続けることができないかもしれないという点を気にしている」と、同氏は述べている。

「そして、キャンペーンにおいて、これらの割引を行うことで生まれる売上、関心、推進力を当てにするようになると、それから抜け出すことが困難になるだろう。購入を促すための広告やそのほかの出資に加えてセールを行うのは、ブランドにとって多大なコストになる」と、同氏は述べている。

それでも、同氏はメタのリードジェネレーションのパイロット実験を称賛しており、ブランドがカスタマイズして顧客が購入する可能性がもっとも高い商品に誘導できるなら、それらは「素晴らしいもの」になり得ると述べている。

「これは非常にクリエイティブな方法で、クイズの機能を代替できるようなものだと思う。そして、顧客を短時間で商品カテゴリーや特定の商品に誘導することができる」と、同氏は述べる。

クリエイティブの重要度と新ツールの課題

代理店のデジショップガールメディア(Digishopgirl Media)の創設者兼CEOを務めるキャティヤ・コンスタンティン氏によると、高いレベルで見ると、メタは今年、広告パフォーマンスにおいて極めて重要な分野である「クリエイティブを強く推し進めた」という。

同氏は、AIサンドボックスが「ブランドや代理店が、より機敏に、デザインリソースに依存しないようにするためのもの」と語る。さらに同氏は、「サンドボックスのようなAIツールと、同社が運用開始しているほかのツールは、広告主がデザインに依存することなく、より効率的にメタを活用できるようにするものだ。また、広告の観点から見れば、クリエイティブはおそらくもっとも重要な要素のひとつだろう」と続けている。

「現在の経済環境において、ブランドは適切な顧客を見つけること、人々は最良の割引を見つけて同じ金額で買えるものを増やすことが重要だ」と、メタの商品管理担当シニアディレクターを務めるヘレン・マ氏はメールの声明に記している。「そのため、当社はリード広告の能力を拡大し、この新しいプロモーショナル広告形式をテストして、人々がブランドの商品やサービスについてより多くの情報を入手するとともに、資金の節約に役立つような割引にアクセスできるようにしている」。

メタが新たに取り入れたすべての広告の変更にもかかわらず、その広告サービスには依然としてギャップがあると、コンスタンティン氏は指摘する。同社には、「Facebookで動画が極めて重要であるにもかかわらず」動画を生成できる広告ツールがなく、一方でライバルのGoogleにはYouTubeの広告アセットの作成を効率化するツールがあると、同氏は述べている。

さらに、ビディコのショーエンバーガー氏は、メタがAIを組み入れる方向性は正しいものの、これらのツールはまだ十分に進歩していないと述べている。「AIサンドボックスツールは、広告主やブランドが2023年向けのクリエイティブや広告を作り上げるためのツールではなく、AIのトレンドに飛び乗っただけという感じがする」と、同氏は述べる。「今ではみんな、クリエイティブのパフォーマンスについては大きく揺れるということをよく理解してる」。

[原文:Meta announces new ‘Promotional ads’ tool to highlight deals]

Vidhi Choudhary(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Meta

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