プライド 広告に対する反発のなか、マーケターは「本気であることを示す」必要がある

DIGIDAY

プライド月間である6月を迎え、マーケティング予算もプライド関連に注がれることが見込まれる。近年のマーケターたちは、LGBTQIA+のインフルエンサーとともにさまざまなプライド関連のキャンペーンを展開したり、プライド関連の商品を制作したりしてきた。

しかし、今年のプライド月間は一部の広告が「ウォーク」(意識高い系。近年では保守層を中心に過度なポリティカルコレクトネスを批判するための用語として使われる)とレッテルを貼られ反発を受ける、という困難かつ極めて政治的なマーケティング環境のなかで到来することになった。

先日のマーケティング・ブリーフィング特集で取り上げたように、バドライト(Bud Light)、ミラーライト(Miller Lite)、アディダス(Adidas)などのブランドは、よりインクルーシブ(包括的)なマーケティングキャンペーンを発表したり、もしくはほかの「woke」とみなされうる取り組みをした結果、反発やボイコットの脅威に直面したりしている。包括的なマーケティング活動が「政治的なメッセージだ」とみなされるようになると、リスク回避型のマーケターのあいだでより慎重な対応が求められる可能性がある。

支援のためか、それとも金儲けのためか

このような困難なマーケティング状況において既に、ターゲット(Target)がプライド関連の商品を実店舗の棚から撤退させるに至っている。本来はプライド月間を祝う衣服から、ドラァグクイーンの格好をした鳥のぬいぐるみまで、幅広い商品がプライド関連として販売されていた。同社の声明によると、プライド関連の取り組みに対する反発のなかで、店舗で働く社員が脅威に直面している、とのことだ。ターゲットはまた、「LGBTQIA+コミュニティへの継続的なコミットメントを進めていき、プライド月間だけでなく年間を通して彼らとともに立つ」とも述べている。

マーケターや広告代理店のエグゼクティブたちは、プライド関連の取り組みが政治色を強く帯びる現状において、「本当にLGBTQIA+コミュニティを支援することに真剣に取り組むブランドと、プライドをただ年間のマーケティング支出のひとつとしてしか見ていないブランドとを分ける可能性がある」と言い、「レインボーウォッシング」(マーケティング目的でLGBTQIA+コミュニティの支援をしているよう演出すること)をしていたブランドを明確に見分けることができるだろうと、話す。

POVエージェンシー(POC Agency)のマネージングパートナー兼COOのピラール・テリー氏は、「プライド月間が目前に迫り、LGBTQ+コミュニティは6月、もしくは年間を通じて活動を行っているブランドにより注意深く目を向けるだろう」と述べ、「金儲けのためにコミュニティにいるのか、それとも本当に支援のためにコミュニティにここにいるのか、という問いが投げかけられる」と話した。

また、「支援に真剣に取り組んでいるマーケターは、本当に支援努力をしていることを証明し、そしてそれがプライド月間だけでないことを示すことが求められるだろう」とし、「これは人の目を気にしてのフリだけでなく、支援に対するさらなる決意を見せることを求める(コミュニティからの)招待だ」と続けた。

ANAの包括的かつ多文化的なマーケティング同盟(以下、AIMM)」の共同創設者であるカルロス・サンティアゴ氏は、「マーケターは現在、困難な環境のなかで恐怖と(反発者からの)暴力的な脅しの影響を受けて決定を下している」と説明し、「『このブランドはwokeだ』という抗議が起きるたびに反応して逃げるようになったら、状況はどこまで悪化してしまうだろうか」と問いかけた。

これらの脅しに屈してしまうと、今後インクルーシブなマーケティングの取り組みへの反発がさらに助長されることが伺える。

ブランドマーケティングのご法度は態度を二転三転すること

5月の初め、ANA AIMMはUSAトゥデイ(USA Today)に声明を出した。そこでは、包括性の重要性を指摘し、マーケターたちがインクルーシブな対象を恣意的に選ばないよう呼びかけた。また、サンティアゴ氏はマーケターたちがLGBTQIA+コミュニティの支援に使う予算は、広告予算のほんの一部でしかないことを指摘した。

なお、AIMMの2022年の「マイノリティによって所有されている広告支出」に関する調査によると、「ブランドによるすべての広告費のうち0.2%しか、LGBTQのオーナーもしくはLGBTQが読者ターゲットのメディアに投資していない」となっている。

マーケターや広告代理店のエグゼクティブたちは、ブランドは今年もプライド月間に合わせて取り組みをし、真にLGBTQIA+コミュニティを支援し、潜在的な反発に備える必要があると述べている。

「ブランドとしての(ターゲットである)消費者が誰であれ、ブランドマーケティングで最もやってはいけないことは態度を二転三転することだ」と、ワイルドファング(Wildfang)の創設者兼CEOであるエマ・マクイルロイ氏は語る。

ジェンダー規範に新しいアプローチで取り組むアパレルブランドである同社だが、LGBTQIA+コミュニティの自殺予防活動に焦点を当てた非営利団体であるトレヴァープロジェクト(the Trevor Project)の資金調達のために、7月にポートランドで48時間にわたる連続ドラッグショー開催を計画している。「(ブランド)がひとつのことに賛成すると決めた後で態度をコロッと変えてしまうと、それは何を意味しているのか。(マイノリティたちが)ただ商品のような存在でしかないことを意味している」。

「現在の環境を考えると、今年プライドに参加するマーケターたちは『本気』であることを示す必要がある」と、ザ・アンド・パートナーシップ(The&Partnership)北米担当CCOであるハンナ・フィッシュマン氏は言った。また、「プライドという言葉は非常に重要だ」と、AIMMの共同創設者であるリセット・アルスアガ氏は言い、「LGBTQコミュニティを支援する企業は、LGBTQコミュニティを支援することを誇りに思うべきだと思う。困難な時期が訪れたとき、彼らは堅実に支援を変えないことを誇りに思うべきだ」と続けた。

[原文: Marketing Briefing: As Pride approaches, marketers should be truly invested as marketing backlash continues ]

Kristina Monllos(翻訳:塚本 紺、編集:島田涼平)

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