スタグウェルの社内コンペで約1億3500万円を獲得した AI プラットフォーム とは

DIGIDAY

マーケティング企業のスタグウェル(Stagwell)は、第5回になる社内イノベーション・コンペティション(人気ビジネスリアリティ番組「シャークタンク[Shark Tank、日本でのマネーの虎的番組]」形式)を終えた。このコンペティションはこれまでにARやAI分野における新プロダクト開発を生み出してきたもの。

その最新回となる第5回においてコンペティション最優秀賞に輝いたプロダクトは、AIプラットフォーム「スマートアセット(Smart Assets)」。受賞者には賞金として100万ドル(約1億3500万円)が授与された。

スマートアセットの3つの特徴

スマートアセットは、AIを使用してブランドのクリエイティブ・ライブラリのアセットをカテゴライズし、パフォーマンスデータを通じて広告の影響を測定するというもの。これは、スタグウェルが抱えるブランド・パフォーマンスネットワーク(Brand Performance Network)の一部である、多言語コンテンツおよびメディアコンサルティング会社のロカリア(Locaria)によって開発された。

スマートアセットを開発したチームの一員であるロカリアのCOOリンジー・ホン氏によると、スマートアセットには3つの主要な要素があるという。それは、AIによるアセット管理、パフォーマンス分析、そして素早いクリエイティブ調整だ。

「ちょうどよいタイミングですべてがまとまった」と同氏は米DIGIDAYに語り、「パフォーマンスに関する情報を、クリエイティブのポストプロダクション処理に活用することで、単にコンテンツのためのコンテンツではなく、重要なアセットを作成する機会があることに気付いた」という。

アセットやコンテンツの量が増え続け、チャンネルの数が増えるなかで、同氏は「すべての制作チーム、スタジオ、クリエイティブスマーツをまとめて支出とメディアを管理することが課題だ」と述べた。目標は、今年後半にチームを結成し、プラットフォームの構築と反復を開始することである。

「今は本当に(事業案として)強力な案件にまで洗練させようとしている」と同氏は続け、「既にこのことに興味を持っている既存のクライアントがいるため、マーテック(マーケティング・テクノロジー)エコシステム全体のなかでクライアントにとって最も価値が生まれる場所を正確に理解するために、彼らと密接に連携している」としている。

AIがソーシャルメディア・フィードの最適化に寄与

スマートアセット全体でのデータ分析に基づいて、クリエイティブな要素に即変更を加えられる点が同プロダクトの機能のひとつだ。たとえば、ユーザーがTikTokで赤い服を見ることを好み、インスタグラムでは青い服を見ることを好むかもしれない。それを受けて、リアルタイムでそれらの変更を加えることができる、といった具合だ。

多くのソーシャルプラットフォームがAIによるコンテンツ・レコメンデーションに依存している。インフルエンサーマーケティング代理店であるビリオンダラーボーイ(Billion Dollar Boy)のアメリカ担当クリエイティブ・アソシエイトであるエミリー・アンドラス氏は、「AIがソーシャルメディア・フィードを最適化するためにますます使用されている」と述べた。

「プラットフォームたちは、AIによるコンテンツ推奨を活用してフィードを生成。ユーザーエンゲージメントを促進し、ユーザーによる視聴といいねを獲得しようとするだろう」と同氏は続けた。

メディアパフォーマンスを向上させる可能性

スマートアセットでは、AIがブランドのライブラリのコンテンツを読み取ってアトリビューションを分類し、パフォーマンス・データを使用してクリエイティブを最適化し予測する。目的は、データ主導型の分析・情報を提供し、ブランドとエージェンシーがクリエイティブとメディアチームで密接に連携できるようにすることで、全体的なメディアパフォーマンスを向上させることだ。

「マーケティング組織のなかで、パフォーマンス側とクリエイティブ側のビジネスのあいだに乖離(かいり)があることは現実に非常によくある」と、スタグウェル・マーケティング・クラウドのCMOであるエルスペス・ローラート氏は言う。「スマートアセットを見たときにすぐにわかったことのひとつは、パフォーマンス側を理解している人たちと、ブランド・パフォーマンス・ネットワークが繋がっていないことだ」。

なお、2023年のコンペティションは今年後半に始まり、2024年初頭に勝者が発表される。過去の勝者には、2021年に受賞したブランド向けピアツーピア・テキストソリューションであるワンダーケイブ(WonderCave)、2020年に受賞したスポーツチームやライブイベントと提携しているARプラットフォームのアラウンド(ARound)、2019年に受賞したコンテンツ作成用の生成・予測AIツールであるプロフェット(PRophet)、2018年に受賞したブランド管理ソフトウェアのハリスブランドプラットフォーム(Harris Brand Platform)などが含まれる。

[原文:Stagwell awards $1M in funding to AI platform Smart Assets to optimize media execution

Antoinette Siu(翻訳:塚本 紺、編集:島田涼平)

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