創業10年となるセザンヌ、パリジェンヌのスタイルで成長するビジネスを築いた方法

DIGIDAY

創業10年目を迎えたパリジェンヌのクールガールブランド、セザンヌ(Sézane)は、米国でのさらなる展開を目指している。

2013年にローンチしたサステナビリティ重視のこのファッションブランドは、創業者モルガン・セザロリー氏が自身のウェブサイト、レコンポザン(Les Composantes)でヴィンテージの服を販売するというアイデアから誕生した。個性的なアイテムへの需要が高まるにつれて、彼女はヴィンテージのエッジの効いたアイテムを自分でデザインするようになり、それがセザンヌへと発展した。2015年には米国の投資ファンド、サミットパートナーズ(Summit Partners)がセザンヌの約20%の少数株式を購入。3年後、さらに20%をプライベートエクイティ大手のゼネラルアトランティック(General Atlantic)が買い取り、現在は45%の株式を保有していると言われている。直近では、2022年9月にテティスインベスト(Téthys Invest)がセザンヌの株をわずかながら購入している。

ファッションブランドとして初のB-Corp認証を取得

セザンヌの魅力のひとつに、同ブランドの生産の3分の2以上を占めるヨーロッパにおける工場との密接な関係がある。そのため、セザンヌは競合他社よりも低価格でプレミアムな製品を提供できるのだという。またブランドのベストセラーカテゴリーのひとつである靴に関しては、高品質の素材と職人技を最優先している。

セザンヌは、2021年にファッションブランドとして初めてB-Corp認証を取得したブランドのひとつだ。2022年までに、同ブランドはカーボン・フットプリントの合計を22%削減した。また社内に広範囲におよぶリサイクルプログラムがあり、これまでに1万3000着以上がリサイクルされている。もっとも重要なのは、セザンヌが少量生産に重点を置いていることで、余分な在庫の排除に貢献している。

認知度を高め、新規顧客を獲得するために、セザンヌは以前からコラボレーションに力を入れてきた。2月、同ブランドはニューヨークのファッションブランドであるシー(Sea)とのコラボレーション第2弾をローンチし、24時間で完売した。

また最近ではポップアップにも力を入れる。2022年4月、セザンヌはロサンゼルスのコミュニティショッピングセンターのプラットフォーム(Platform)にスペースを借り、オープンから5カ月間で1万人以上のユニークカスタマーを獲得した。その後2022年9月にポップアップをサンフランシスコに移し、12月にそのスペースを常設店にすると決定している。アムステルダム、ブリュッセル、バルセロナ、マドリッドの4都市で、各都市へのオマージュを込めた「アムール(Amour)」ツアーを行うなど、セザンヌはヨーロッパのポップアップストアにも注力している。

以下では、セザロリー氏がいまでもD2Cモデルを信じている理由、そしてセザンヌの米国での最初のポップアップから学んだこと、米国での拡大など現在の計画について語った。

ーーこの10年間でD2Cはどのように変化したか。また、現在のブランドの戦略やマーケティングには何が有効か。

「D2Cがつねにセザンヌにとって唯一の方法だと考えている。顧客とつながり、ブランドの成長とともにその関係を育んでいくにあたって、いちばん簡単な方法だからだ。私が最初にeBay(イーベイ)で(洋服を売り)始めたとき、小さなコミュニティと毎週のように集い、それが毎月どんどん大きくなっていって、セザンヌの生涯の友を作るのに役に立った。私と顧客との関係は、たとえブランドが成長していっても、いつでも驚くほどオーガニックだ。

当ブランドのインスタグラムのアカウントは、最新のコレクションや商品を展示するプラットフォームとして捉えているが、乳がん研究財団(Breast Cancer Research Foundation)との活動のように、重要なメッセージを広め、よいことを行って変化を起こすことも私たちの義務だと感じている。

ブランドの成長に関しては、ロサンゼルス、サンフランシスコ、アムステルダム、バルセロナなど世界の主要都市でポップアップストアを展開する戦略を実施してきた。そのおかげで新たなオーディエンスへのリーチに成功し、ブランドの成長とコンバージョンを加速させている。それぞれの空間は私たちの視点で考え抜かれたデザインで、インテリアから製品、環境にいたるまで自宅のようにくつろげるようにして、セザンヌの美学に触れるきっかけを作り出している」。

ーーロサンゼルスとサンフランシスコでのポップアップでは、どのような成果があったか?

「サンフランシスコのパシフィックハイツ地区でのポップアップは、地元のコミュニティのあいだで非常に好評だったので、顧客が新しいアイテムのコレクションを次々発見できるように、常設の小売店舗に変更することを決定した。オープンから数週間経っても店舗の前には行列ができていて、シーズン中の新しいスタイルやカラーを見るために顧客が引き続き何度も訪れてくれた。

2022年4月にプラットフォームで、夏のポップアップをオープンしたときのロサンゼルスもまったく同じ状況だった。そのポップアップは大成功で、オープニングの週末には1000人以上の顧客が店舗を見にやってきた。数年前、ロサンゼルス初のポップアップをグローブ(Grove)で行ったが、それも非常に成功したので、最終的に少し延長することになった。また戻ってくると発表したとき、顧客はとても喜んでくれた。現在は、次のポップアップのオープンに向けて、最適な場所を探すことに投資している。ヨーロッパと米国のいくつかの都市にすでに目をつけており、2023年の10周年にはぜひオープンしたいと思っている」。

ーーなぜ米国はセザンヌにとってよい市場だと思うのか。

「米国は、どのブランドにとってもエキサイティングな市場だ。その広大さはチャンスでもあり、チャレンジでもある。私たちは主要な都市に狙いをさだめ、地元の顧客に会うためにポップアップストアをオープンしてきた。一生ものとなる高品質な製品を提供し、顧客のニーズに耳を傾けることで、つねに顧客を第一に考えることを心がけている。

米国にはセザンヌの大きな顧客基盤があるため、巨大な市場であることはわかっている。フランスに次いで2番目に大きな市場だ。戦略はほかの市場とはそれほど異なってはいなくて、それはいつも仕事では「coup de coeur(一目惚れ、ときめき)」を大事にするというものだ。パリに初めて出店したときも、毎日歩いていたその場所が大好きだったから。出店の際は、いつも自分の直感を信じている。セザンヌにぴったりだと思う都市を狙って完璧な場所を見つけたら、その都市に拠点を作るようにしている」。

[原文:10 years in: How Sézane built a growing business on Parisian style]

ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

Source

タイトルとURLをコピーしました