未来の看板料理?まかない情報集めました

デイリーポータルZ

オムライス、つけ麺、チキン南蛮……。
これらは今やみんなが知っているうまい料理だが、元々は従業員用の料理「まかない」だったという。

世の中にはすでにおいしい食べ物で溢れているが、まだ我々が気づいていない「まかない生まれの未来の看板料理」があるかもしれない。

飲食店で働いていた人にアンケートをお願いし、集めた情報をまとめました。
質問は、料理名と作り方、勤め先、働いていた時期、まかないにまつわる思い出など。
商機を感じたまかないは、実際に作ってみた。

※ご提供いただいた情報は、一部体裁を整える程度の編集をしたうえで、掲載させていただきました。

愛知県出身、東京都在住のデザイナー。イラストを描き、写真撮影をして日々を過ごす。
最近は演劇の勉強に熱中。大きなエビフライが好き。

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看板料理までもう少し?再現可能なまかない

自宅やお店でも作れそうなまかない料理をピックアップした。
限られた食材で工夫されたものや、既存メニューのコラボレーションなど、試してみたくなるラインナップ!

飲食店のオーナーになったつもりで読むべし。

カルビラーメン/焼肉屋さん 

からーいラーメンに焼いたカルビをぶちこむ
辛くておいしい!クセになる味。

働いていた時期:高校三年生のころ
(1人水龍敬ランド さん)

完成された料理を融合した、アレンジ精神溢れる一品。シンプルだけど絶対うまいやつだ。
バーベキューでの一品として人気が出そう。肉を焼きながらカップ麺を啜る未来がくるぞ。

ごはんに余った刺身をのせたもの(名前はなし) / 小さな居酒屋

前日の営業で余った刺身をごはんにのせてできあがり。
余り物の刺身なのであまりおいしくなかったけど、店長が怖いのでおいしいと嘘をついていました。

働いていた時期:20年ほど前
(はま乃っち さん)

イベント派遣のバイトで、お昼休憩に牛タン丼が出たことを思い出した。
なぜか常にキレている現場リーダーを横目に食べた丼は、味がまったくわからなかった。

何が言いたいかというと、おいしくなかった原因に、店長の恐ろしさも含まれていた可能性はありませんか、ということ。ちょっと悲しいまかない。

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海鮮丼みたいなのにあまりおいしくないのか……。(※画像はイメージ)

ねぎしお飯 / 回転寿司屋

酢を混ぜる前の米を確保します(酢飯でも可)。炙り用のネギ塩タレをかけて食べます。
ラッキーな日は、端材(廃棄される部分)をフライヤーで素揚げして丼にしていました。

寿司屋でバイトしてても寿司は食べられません。
働き始めたころは「寿司、食べれないんだ……」としょげていましたが、慣れると貧乏飯がなぜかクセになってました😂
バイトは月120時間入ってたので概ね毎日食べてました!

働いていた時期:2010〜2016年
(こりん さん)

 実質ご飯とタレだけ!これだけでは切ないけれど、サイドメニューの片鱗がうかがえる。ネギ塩タレってなんにでも合うし。素揚げ丼もおいしそう。

うなタレ丼 / 回転しない寿司屋

丼ごはんに好きなだけ揚げ玉を乗せて秘伝のうなぎタレをかけます。足りない量を補うものでしたが、男子高校生には絶対のうまさでした。

女将さんがおかずを用意してくれて、ご飯は食べ放題。
大量に食べたくてこの作戦を発明しました。

働いていた時期:1987〜1993年ぐらい
(よっぴ先生 さん)

「うなぎは苦手だが、うなぎのタレは好きな層」がよろこびそうなアレンジ。筆者がそうです。

それはそれとしておかずを用意してくれる女将さんがいるバイト先、金曜8時のドラマに出てきそうでいい。

天かすごはん / そば屋

ごはんに天かす乗せて天丼つゆをかける。
近年でいう悪魔のあれなので、揚げ物×甘じょっぱいによりごはんが進みます。

働いていた時期:90年代中頃。高校生でした
(masa770506 さん)

汁かけごはん三連発。これは貧乏飯として食べたことがある。
気づかなかったが、たしかにローソンで売っていた「悪魔のおにぎり」だ。

masa770506 さんがこのまかないを食べていたのは、90年代中頃。悪魔のおにぎりが実際に販売メニューとなる約25年前だ。
そう考えると、未来の看板料理を探してるはずが、タイムカプセルを掘り起こした気分になった。

こんにゃく入りカレー / 民宿

当時十代だった自分、カレーの具といえばルゥのパッケージに書いてあるものだけしか知らなかったのに、そこにこんにゃく。歯ごたえが違和感ありまくり。
今になっても思い出すインパクトのある具でした。

(きりもち さん)

実家ごはんのあるあるパターン「謎の具が入ったカレー」が、まかないでも発生することが明かされた。

こんにゃくは「違和感」だそうだが、闇鍋ならぬ闇カレーとして余った食材を消費しつつアトラクションっぽさを出せば人気が出るだろう。

ミートソースカレーと呼んでました / カラオケボックス

当時主人が経営していた、カラオケ屋のまかないです。
大衆的なイタリアンぽい店も経営していたのですが、人気のミートソースを多めに仕込んでも、ぜんぜん出ない日が続きました。

仕方がないので、それをそのままカラオケ屋のまかないへと転用。
同じものじゃ飽きるからと、翌日にはみんな大好きカレー粉を投入してみたところ、深みがあるキーマカレーができましたw

フロアに漂うカレーのにおいに常連さんも食べたがり、隠れメニューにもなりました。
お店では○○風(店名)キーマカレーって案内してましたが、常連さんは元ミートソースとは知りませんw

働いていた時期:15年まで
(もきゅ さん)

余り物がまかない料理となり、さらにパワーアップして客席デビューする。まんがの王道ストーリーで胸が熱くなった。
「市販のミートソースでもかまいません。」とのことなので、カレーの日に試してみたい。

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思い出のまかない

再現はむずかしい、職場の思い出がつまったまかない情報もあつまった。「料理は、誰と食べるかが大切」という言葉があるが、まかないも例に漏れないらしい。
味が想像できない・再現できないものもある。存分に羨ましがろう。

残りカレー / 和食レストラン

客に出す料理のために用意したものの、余った野菜がぜんぶ入ってました。スパイスが効いてておいしかった。

このまかないを作ってくれていた板前さんが好きでした。

働いていた時期:平成の中ごろ
(りん さん)

野菜がたっぷり入ったスパイシーなカレーというだけでも最高なのに、作ってくれた人が想い人であればなおさらおいしかったことでしょう。 

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恋とスパイス(※実在するカレー屋さんの名前。言いたくなっただけ)

まかない / カフェバー

基本的にはランチバイキングで残ったものがまかないとして出されました。一番好きだったのはオイルパスタ。おいしかったです。

ランチバイキングが終わるころの時間帯を見計らって、キッチンスタッフに追加で作ってもらっていたんです。
「なくなりかけてるんで、この料理をちょっとだけ追加お願いします」と言って。

働いていた時期:2004〜2006年
(fmmzk さん)

ずるい!週1くらいという絶妙な頻度もずるい! 

ステーキ / ラーメン屋

作り方:店長がパチンコで勝つ。

松坂牛のA5ランクのステーキなんでおいしいです。

働いていた時期:学生
(ミゼットおじさん さん)

これもずるい!!!書き方からして現在進行形で勤めているんじゃなかろうか。清々しく淀みのない自慢である。  

まかない / ハワイアン系ダイナー

ロコモコやハンバーガー、ステーキなど、その日のランチメニューの残りがまかないになることが多かったです。
基本的に食べたいものを食べさせてくれるので、うまい!の一言に尽きます。
比較的ヒマな時は仕入れた食材を使って、シェフが特別メニューを作ってくれました!
一番おどろいたまかないはラーメンww

オープンから入った時は、シェフが朝食用にサンドイッチをこっそり作ってくれることもありました。とても嬉しかったです。

働いていた時期:大学1〜4年
(ルーン さん)

外食の報告かと思った。バイトに行くのが楽しみになりそうなくらい豪華なまかない。
メニューにはない物を作ってくれるあたり、シェフも乗り気で作っていたのかもしれない。

 

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アットホームな雰囲気のダイナーが脳裏に浮かんだ。みんななかよし。

/ スーパーマーケットの肉屋さん

当時、新たに進出してきたスーパーでバイトしてたのですが、食文化が違うのか、わりと高級な肉が結構売れ残ってたんです。
その肉を、毎晩のようにごちそうになっていました。

精肉部門の主任が「こんなにおいしいのになんで売れないのかなあ」と言いながら、バックヤードにあったホットプレートで焼いていましたね。

もう40年近く前になるんですが、あのとき食った肉はおいしかったなあと懐かしく思い出しました。

その後、無許可でバイトしてたことが学校にバレて、結構エライ目にあったのも合わせて思い出しました。

働いていた時期:高校二年生の冬
(チャーリー浜岡GP さん)

スーパーのアルバイトも、店によっては豪華なまかないに恵まれるという発見。
味の感想に「すげーおいしかった」と書いてあった。素直。でも私もこの立場になったらきっと同じことを言う。

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これが未来の看板料理だ!

最後は、これぞ!と感じた将来有望なまかない、ラーメン屋さんの「チャーシューめし」を紹介する。さらに実際に作ってみたので見てください。

チャーシューめし / ラーメン屋

どんぶりにライスを半分盛り、チャーシュー(客に出せない切れ端部分)を乗せる。

さらにライスを盛り、一分ほど置いて脂が溶け出した頃に、ラーメンの「かえし」をたらす。
※営業終了後に余った食材で作るので、量はまちまち。

チャーシューの切れ端にはタレがよく染みていて、客に出す綺麗なスライスより断然うまいです。ラーメンより米に合う味です。

週3,、4日バイトして仕事終わりに食べていたので、辞める頃には体重が三桁の大台に乗りました。でもあの味を思い出すと、今でも悔いは無いです。

(きこり さん)

絶対おいしいやつじゃん。食べなくてもわかる。

ラーメンを一から作るつもりで覚悟しながらスーパーに走ったが、ラーメン用に加工された食材も売っていた。よかった。軽やかな気持ちで作ろう。

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パックのチャーシューを適当にカットして小盛りの白米に乗せた。この上にさらに米をかぶせる。もううまそう。
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「かえし」には小袋のスープを使用。スタンダードなラーメン感を期待して、醤油味をチョイス。
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使用方法を堂々と無視する。​​​
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そして米ベッドに肉布団をドーン!スープドバー!

 食いしんぼうが見る夢のような、まかない料理が完成だ!

ラーメンのタレに濡れたごはんを、チャーシューで包む。口いっぱいに頬張ると、フワ〜〜っと頭全体を覆うような錯覚が起きた。

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五目ご飯を炊いている最中の炊飯器になった気分だ。ラーメン味の五目ご飯である。
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「ガツン」と襲いかかる濃い旨味に、脳が喜び、踊り、狂う。
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たしかに体重が三桁に達する味。でもうまい〜!

 ラーメン汁ご飯(ラーメンの残り汁に米を入れるご飯)に近いようだが別物である。
チャーシューの存在感とタレのパワーが強烈で、別の料理に例えるなら汁ご飯はトマトリゾットで、チャーシュー丼はピザ。

食べ終えたあとも、思い出しただけでよだれが出る。全国のラーメン屋さんの定番メニューになることを毎晩祈りたい。

ビジネスチャンス

現在飲食店でバイトをしている学生の妹にもまかないを聞いてみた。彼女の職場では「炊き込みご飯のオムライス」が出るという。おいしそう。

面倒くさそうに対応されたので深くまで聞かなかったが、なんとなく、客に提供する料理と、まかない料理とでラインを引いているように感じた。

まかないは、勤務先のルールや事情に揉まれて生まれる発明品。
軽い気持ちでメニューに加えて欲しい。まずは常連客限定でもいいから!

まかないを教えてくれたみなさん、ありがとうございました!

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「チャーシューめし」をラーメンに寄せてみた。
見た目も香りもラーメンなのに、丼。見た目と実際に食べた印象のギャップが楽しい。

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