DIGIDAYリサーチ:ブランドもエージェンシーも依然 インフルエンサーマーケティング への投資に積極的

DIGIDAY

ソーシャルメディアをめぐる情勢は、相変わらずマーケターにとってジェット・コースター状態だ。Facebookインスタグラムへの信頼は揺らぎつつあるが、マーケターは依然としてこれらのプラットフォームに支出を続けている。

ブランドとエージェンシーは最近のTikTokを理解するのに苦労しており、またTwitterへの支出は不安定だ。

それでも、ブランドとエージェンシーは依然として、こうしたプラットフォームを支配するインフルエンサーを、投資する価値があるマーケティングチャネルだと見なしている。これが、今回のDIGIDAYリサーチで138人のブランドおよびエージェンシーの関係者を対象におこなった調査の結論だ。

増加傾向のインフルエンサーマーケティング

同調査により、エージェンシーのクライアントとブランドはいずれも、昨年同時期と比べてインフルエンサーマーケティングへの投資を増やしていることがわかった。2022年第1四半期には、エージェンシー関係者の69%が、クライアントはマーケティング費用の少なくともごく一部をインフルエンサーに投資していると回答した。この割合は、2022年第3四半期には79%に増加し、2023年第1四半期にも76%と高水準を保った。

ブランドによる昨年の投資も傾向は同じだった。2022年第1四半期には、ブランド関係者の62%がマーケティング予算の少なくともごく一部をインフルエンサーに投資したと回答。この割合は、2022年第3四半期には72%に増加し、2023年第1四半期にも73%とほぼ横ばいだった。

エージェンシー側では、クライアントがインフルエンサーに投資するマーケティング予算の割合を「小さい」とする回答者の割合は、徐々にだが減少傾向にある。2022年第1四半期には、エージェンシー関係者の27%が、クライアントがインフルエンサーに投資するマーケティング予算の割合は「小さい」としたが、この数字は2022年第3四半期には26%、2023年第1四半期には24%と減っている。

一方、クライアントがインフルエンサーに投資するマーケティング予算の割合を「中程度」とする回答の割合は、過去1年間にわたって増加傾向にある(ただし、こちらも極めてスローペースだ)。2022年第1四半期にはエージェンシー関係者の15%が、クライアントがインフルエンサーに投資するマーケティング予算の割合を「中程度」としたが、2022年第1四半期には16%、2023年第1四半期には18%に増加した。

さらに、クライアントがインフルエンサーに投資するマーケティング予算の割合を「非常に大きい」とするエージェンシー関係者の回答は、全体のごく一部にすぎないものの、この割合も昨年第1四半期から増加傾向にある。2022年第1四半期には、エージェンシー関係者の2%が、クライアントはインフルエンサーマーケティングに「非常に大きな投資をしている」と回答したが、同様の回答の割合は2022年第3四半期には3%、2023年第1四半期には4%となった。

ブランド勢も「小さい」割合だが投資

ブランド側に目を移すと、こちらもインフルエンサーマーケティングへの投資が広くみられるものの、依然として全体に占める割合は小さいようだ。米DIGIDAYの調査で、インフルエンサーに投資するマーケティング予算の割合を「小さい」としたブランド関係者の割合は、昨年第1四半期(13%)から第3四半期(28%)までの半年間で急増した。

2023年第1四半期もこの傾向は継続し、ブランド関係者の27%がインフルエンサーに投資するマーケティング予算の割合を「小さい」と回答。また、インフルエンサーマーケティングに予算を支出しているブランドのあいだでは、インフルエンサーに投資するマーケティング予算の割合は「小さい」とする回答が最多となった。

なお、インフルエンサーに投資するマーケティング予算の割合を「非常に大きい」とするブランドの回答が、今回の調査ではゼロだったことも特筆に値する。昨年第3四半期には4%が、昨年第1四半期には3%がこのように回答していた。

エージェンシーのクライアントおよびブランドのインフルエンサーマーケティングへの投資の背景には、インフルエンサーが持つマーケティングの成功をもたらす力を、これらのグループが信用している事実が見てとれる。エージェンシー関係者の79%は、インフルエンサーによる彼らのクライアントのマーケティングの成功をもたらす力を「多少なりとも信用している」と回答した(この割合は過去1年間を通じておおむね一定だった)。

また、インフルエンサーによるマーケティングの成功をもたらす力を「多少なりとも信用している」と答えたブランド関係者の割合も、同じく79%だった(こちらも過去1年間にわたり横ばい)。

エージェンシーのインフルエンサーに対する信用は、昨年第1四半期からほとんど変化していない。2023年第1四半期には、インフルエンサーマーケティングを「ある程度信用している」と回答したエージェンシー関係者の割合が、全体で最多となる29%を占めた。

これは、2022年第1四半期および第3四半期からの変化として挙げられる。前回の調査では、インフルエンサーマーケティングの成功を「少しは信用している」とする回答が最多(それぞれ31%、28%)であったためだ。

信用度が高まるインフルエンサーマーケティング

一方、インフルエンサーマーケティングを「信用している」と回答したエージェンシー関係者の割合は、2022年第1四半期の16%から、2022年第3四半期には25%に増加したものの、2023年第1四半期には再び15%に減少した。

また、ブランド勢は、インフルエンサーマーケティングを「少しは信用している」という回答の割合が、昨年の時点ですでに減少傾向にあったものの、過去6カ月で大幅に減少した。具体的には、2022年第1四半期にはブランド関係者の28%がインフルエンサーマーケティングを「少しは信用している」と答えたが、2022年第3四半期にはこの割合は21%に減少し、さらに2023年第1四半期には12%になった。

このほか、インフルエンサーマーケティングを「ある程度は信用している」、あるいは「信用している」と回答したブランド関係者は昨年を通じて徐々に上昇している。2022年第1四半期に、ブランド関係者のちょうど25%がインフルエンサーマーケティングを「ある程度は信用している」と回答したが、2022年第3四半期には31%、2023年第1四半期には33%に上昇した。

さらに、インフルエンサーマーケティングを「信用している」というブランド関係者の回答は、昨年第1四半期には全体の20%だったが、昨年第3四半期には21%、今年第1四半期には27%と増加傾向を示している。

[原文:Digiday+ Research: Brands, agencies say influencer marketing is still a worthwhile investment

Julia Tabisz(翻訳:的場知之/ガリレオ、編集:島田涼平)

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