ロレアルグループは2023年の第1四半期の売上高を発表。110億ドルを超え、同一基準ベースで前年同期比13%の成長率だった。プレスリリースでは「傑出した」業績のダーマトロジカル ビューティーとコンシューマー プロダクツ事業本部をはじめ全部門で売上が増加した結果が共有された。
ロレアルグループ(L’Oréal Group)は、4月19日水曜日、2023年の第1四半期の売上高を発表。110億ドル(約1.5兆円)を超え、同一基準ベースで前年同期比13%の成長率だった。
ダーマトロジカル ビューティーの躍進
このプレスリリースではこの期間はふたたび市場を上回った四半期として位置付けられており、「傑出した」業績のダーマトロジカル ビューティーとコンシューマー プロダクツ事業本部をはじめ全部門で売上が増加した結果が共有された。これらの部門のブランドには、マニキュアのエッシー(Essie)、ロレアル パリ(L’Oréal Paris)、ガルニエ(Garnier)、マトリックス(Matrix)、レッドケン(Redken)などがある。ダーマトロジカル ビューティー事業本部は前年比で30.6%、コンシューマー プロダクツ事業本部は14.7%の成長を見せた。ロレアルグループのこのプラス成長の発表の数週間前には、ナチュラ・アンド・カンパニー(Natura & Co)からイソップ(Aesop)を12億ドル(約1610億円)で買収するという発表があった。ロレアルグループは2月に報告したように、2022会計年度を同一基準ベースで前年比10.9%の成長、約420億ドル(約5.6兆円)の収益で締めくくっている。
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ロレアルグループCEOのニコラ・イエロニムス氏は声明のなかで次のように述べている。「非常にダイナミックな美容市場においてロレアルは力強い勢いの成長を維持して優れた第1四半期を記録した。この業績は、中国の再開からの恩恵はまだ受けていないが、ロレアルのバランスの取れた多極モデルの強さを示すものだ」。
メイクアップが最速で成長しているコンシューマー プロダクツ事業
コンシューマー プロダクツ事業本部はヨーロッパと北米で好調であり、新興市場、特にインド、メキシコ、ブラジル、タイで力強い成長を継続している。ロレアルによると、同部門のグローバルブランドはそれぞれ2桁の成長を記録しており、メイクアップはもっとも速く成長しているカテゴリーだという。主な製品として、ロレアル パリのテレスコピック・リフト・マスカラ(Telescopic Lift Mascara)、NYXプロフェッショナルメイクアップ(NYX Professional Makeup)のベア・ウィズ・ミー・ブラーティントファンデーション(Bare With Me Blur Tint foundation)、メイベリン・ニューヨーク(Maybelline New York)のスーパーステイ・ビニールインク(Superstay Vinyl Ink)リップスティックの「ヌード」が挙げられた。Glossyとローンチメトリックス(Launchmetrics)のデータによると、MIVに基づく2023年3月の人気マスカラトップ5にはメイベリンのマスカラ2点とロレアル パリのテレスコピック・リフト・マスカラがランクインしている。MIVとはメディアインパクトバリューを表すローンチメトリックス独自の指標である。MIVは、インフルエンサー、印刷メディア、セレブリティ、公式サードパーティパートナー、ブランド独自のメディアチャネルの影響を追跡している。
プロフェッショナル部門を牽引したケラスターゼ
プロフェッショナル部門は、米国とeコマースにおけるサロンや卸売業者、サロンセントリック(SalonCentric)ネットワークを含むすべての流通チャネルで成長を実現した。その主な牽引力だったのは、1月にシンビオース(Symbiose)のフケ防止シリーズを販売したケラスターゼ(Kérastase)と、メタル・デトックス(Metal Detox)トリートメント製品を擁する、ロレアル プロフェッショナル(L’Oréal Professionnel)のセリエ エクスパート(Série Expert)である。過去のGlossyレポートによると、投資銀行のパイパーサンドラー(Piper Sandler)が米国全土の専門サロン150カ所を対象に調査を実施したところ、オラプレックス(Olaplex)のボンドビルディング製がケラスターゼに切り替えられていることが判明している。以前、オラプレックスを使用していたサロンの13%が現在ケラスターゼ製品を使用しており、そのあとにK18、レッドケン、ケビンマーフィー(Kevin Murphy)が続く。
新興市場の健闘
上記とは別に、ラテンアメリカ、南アジアと太平洋、中東、北アフリカ、サハラ以南のアフリカを含む地理的な新興市場の売上高は同一基準ベースで前年比で20%以上増加した。全体としては北アジアを除く全地域で2桁の成長が見られた。北アジアは年初に中国本土での利用可能な在庫が減少したため、同地域の成長は2%未満だった。中国経済は、厳格なコロナ対策の終了により企業と消費者がパンデミック以前の日常活動を再開できるようになったため、第1四半期に予想を上回るペースで成長した。4月18日火曜日に発表された中国の国立統計局のデータによると、国内総生産は今年の最初の3カ月で前年同期比4.5%増加、前四半期の2.9%よりも速い増加を見せている。これは、アナリストによる4.0%の拡大という予測を上回り、年間でもっとも強い成長を記録した。しかし、トゥー・フェイスド(Too Faced)、フダビューティ(Huda Beauty)、ザ・フェイスショップ(The Face Shop)などの美容ブランドがこの12カ月間で中国本土市場から撤退している。以前のGlossyレポートによると、専門家は、急速に変化しているマーケティングルールと消費者の好みにより競争が激化していることが市場の美容ブランドにとって最大の課題であると述べている。
イエロニムス氏は次のように述べている。「現状は不確実性であることに留意しつつも、(世界の)美容市場の展望については楽観的で、将来に意欲的であり、市場を上回る業績を継続して、2023年も増収増益を達成することに自信を持っている」。
[原文:L’Oréal reports a first-quarter sales boost of 13% year-over-year]
EMMA SANDLER(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)
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