「高尚な サステナブルなブランド として時代をリードしていきたい」:イヴォルブトゥギャザー シンシア・サカイ氏

DIGIDAY

この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy」の記事です。 ここ3年で、自身のキャリアパスを見直した人々は多い。シンシア・サカイ氏もそのひとりで […]

ここ3年で、自身のキャリアパスを見直した人々は多い。シンシア・サカイ氏もそのひとりで、パンデミックの最中にファッション業界からパーソナルケア業界へと転身した。

「ファッション業界に長らく携わってきたが、何かが欠けていた。十分に力を発揮できていない、何か変化をもたらすようなことをしていないと感じていた」とサカイ氏は、Glossyビューティ・ポッドキャストの最新エピソードで語る。「美容やウェルネスの領域は、消費者として私はずっと好きだった。だが、別のブランドを立ち上げるためだけに、ブランドを作りたいと思ったことは一度もなかった」。

ジュエリーブランド「ヴィタフェデ(Vita Fede)」を立ち上げたデザイナーで米ファッション協議会(CFDA)のメンバーでもあるサカイ氏は、2020年にそれまでとは打って変わって、医療レベルのマスク「イヴォルブトゥギャザー(EvolveTogether)」を発表した。マスクはアリアナ・グランデやジャスティン・ビーバーなどセレブの間で人気を博し、その売上がパーソナルケア製品へと拡大するための資本となった。水溶性の袋に入った洗顔パウダーや、ガラスのボトルと生分解性の保管袋に入った手指消毒剤(リフィルも可能)など、ジェンダー・ニュートラルで、革新的なサステナブルなパッケージに収まった製品があり、ベストセラー製品はリップバーム、ハンドクリーム、デオドラントだ。

「今日の消費者は高機能でデザインが美しく、人と地球に優しい製品を求めている」。

そして、サステナビリティだけでは売上に直結する要因として不十分とも付け加える。「消費者の行動を変えることは期待できない」と同氏。「だから、人々がまず製品を愛してくれるブランドを作りたかった。機能をとても気に入ってくれて、たとえサステナブルでなくとも再び購入してくれるようなブランドだ」。

イヴォルブトゥギャザーでは今後1年で、キャンドルやボディケアなど新製品の発表を予定している。資金調達も行う予定だと、サカイ氏は話す。

以下はポッドキャストで語られた内容を読みやすさのために要約し、編集を加えたものである。

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サステナビリティと高級リテールの融合

「ロックダウン期間中だったのでD2Cブランドとしてスタートし、卸売は昨年から始めたばかりだ。ラグジュアリー・ファッション出身の私たちにとって、流通と販売場所は常に意識したいと思っていた。そして、ラグジュアリーなビューティーショップやプレタポルテショップ、ホスピタリティのある店舗を訪れたとき、それほどサステナブルなものが見当たらないということも、とても興味深かった。これは私たちが挑戦し続けてきたことで、『ラグジュアリー系の小売店や最高クラスの店舗で扱ってもらい、認めてもらうにはどうすればよいか』と問い続けてきた。接客サービス業ではアマンリゾーツ(Aman Resorts)と協業し、さらに美容業界ではジョアンナ・チェック氏(Joanna Czech)とも提携し始めたばかりだ。今月末にはニーマン・マーカス(Neiman Marcus)での販売が始まり、マックスフィールド(Maxfield)など全米各地の美しくて気分を高めるような小売店に出店している。私たちは、気持ちを高揚させるサステナブルなブランドとして時代をリードしていきたい」。

セレブやインフルエンサーのマーケティングを超えて

「私たちの事業は、常にクチコミによって成り立ってきた。(私たちが最初に取り組んだ)マスクは、ルールが非常に厳しかったため、ペイドメディアを使うことはできなかった。そのため事業が拡大してからも、ペイドメディアを考慮したことはあまりなかった。パーソナルケア事業では、ペイドメディアは非常に高額なため、スタートアップブランドには結局合わなかった。パーソナルケアの打ち出し方については、ジュエリーやマスクのプロモーションとは考え方を変えるか、方向転換する必要がある。セレブがリップバームをもり立て、それをパパラッチが写真に撮ることなどないからだ。それでも、私たちの製品を自ら進んで愛してくれるセレブリティーやインフルエンサーが多くいて、製品について投稿し、(広めようという)ミッションを愛してくれている。人々に愛される製品を作り、自分たち自身に正直であれば、人々は見つけてくれるのだと強く実感している」。

サステナビリティの目標

「最終的には、フットプリントがゼロになる環境に負荷をかけない製品を本当に作ることができたら、それが目標だ。ふたつめの目標としては以下となる。リサイクルや堆肥化に実際に時間をかけている人は、そうでない人よりもはるかに人数が少ないので、サステナブルな製品を作るときには、まずこのように考えている。『サステナビリティを重要視していない人のための製品を、どう作ればよいか? もし誰かが私たちの製品を車から投げ捨てたとしたら、どのような感じなのだろうか? 捨てられた場所に、何千年も残ることになるのだろうか? そうならないために、私たちが使える素材とは?』と。そして思考プロセスの2段階目では、『製品を無駄にしないよう、最後まで使い切ってもらうには?』、3段階目では、『消費者はこれをどのように処分できるだろうか? また消費者に廃棄方法を適切に伝えるため、私たちはでき得る限りのことをしているだろうか?』と」。

[原文:EvolveTogether’s Cynthia Sakai: ‘We want to lead the way as an elevated sustainable brand’

JILL MANOFF(翻訳:田崎亮子/編集:山岸祐加子)


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