スマホゲーム「マリオカート ツアー」に仕込まれた課金モデルに海外ユーザーが不満を漏らす

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任天堂がAndroid・iOS向けに配信しているスマートフォン用ゲーム「マリオカート ツアー」は、基本プレイ無料・アプリ内課金ありという現代のモバイルゲームによくある課金モデルを採用しています。しかし、マリオカート ツアーの課金モデルには問題があると、製品デザインの分析を専門とするルイ・ザビエル氏が指摘しています。

6 Ways Mario Kart Tour Triggers You Into Gambling Your Money
https://growth.design/case-studies/mario-kart-revenue-model

「マリオカート ツアー」はスマートフォン向けゲームということもあり、これまでに制作された「マリオカート」シリーズとは異なるデザインが施されています。例えば、ユーザーが最もよく目にするメニュー画面には「ニュース」や「コイン」といったさまざまな情報が表示されています。


このデザインはもちろん無規則に並べられたものではなく、できるだけ多くのノイズを誘発するように仕組まれたものだとザビエル氏は指摘。その意味を知るためには、まずこのゲームの「ランキングシステム」について知る必要があります。

マリオカート ツアーでは、ポイントを多く稼いだユーザーのスコアランキングが全ユーザーに表示されるようになっています。マリオカート ツアーはマリオカートシリーズの例に漏れず「レースゲーム」であり、単純にプレイヤーの腕前を評価するならば「速さ」が基準となるはずです。しかし、マリオカート ツアーでは、レースを通して稼いだ「ポイント」で優劣を付けています。


このポイントを効率よく稼ぐには、強いキャラクターと強いカート、強い装備品を使う必要があります。これらを持っていないと、たとえレースに勝利したとしても、ランキングに載れるとは限りません。


強いキャラクターやカートのほとんどが「課金」で手に入ります。しかし、ただ課金すればいいというわけではありません。課金をしてマリオカート ツアー内で最も価値の高い通貨「ルビー」を手に入れ、そのルビーを使って「ガチャ」を回すというのが基本になるとのこと。


この「ガチャ」システムについてザビエル氏は「ギャンブル依存症を引き起こすもので、政府も注目し始め、賭博法で規制することをすすめています」とコメント。子どももプレイするゲームがギャンブルの温床になってしまっている点を問題視しています。

また、マリオカート ツアーでは「ガチャ」を引くたびに特別な演出が表示されます。このことについて、ザビエル氏は心理学用語の「シェーピング」という言葉を紹介しました。シェーピングとは、「目標となる行動のために簡単な動作から始めることで、最終目標を達成しやすくする」というプロセス。マリオカート ツアーでは「ガチャを引くために画面をスワイプする」という動作をユーザーに行わせることでガチャに慣れさせる狙いがあり、非常に詐欺的な手法であるとザビエル氏は指摘しています。


また、マリオカート ツアーで課金を行うメニュー画面、いわゆる「ショップ」と呼ばれる画面についてザビエル氏は「期間限定や日替わりであることを強調し、必ずしも価値があるとは限らないアイテムに希少性という価値を高めているのは明らかです」として不満を漏らしています。


ちなみに、ザビエル氏が目を付けた強いキャラクターをガチャで手に入れるには、単純計算で3400ドル(約46万8000円)以上を費やさなければならない可能性があるとのこと。


マリオカート ツアーには、「ルビー」より価値の低い通貨である「コイン」も存在します。コインはゲームをプレイすることで獲得できるほか、ルビーを消費することでも入手できます。しかしながら、ルビーとコインという分かりにくい仮想通貨に現実のお金を置き換え、お金の本当の価値を隠すというこのモデルは、ユーザーからお金をむしり取るような構図をしているとザビエル氏は非難しています。


また、ゲームをプレイすることで手に入るコインも1日の獲得数に上限があります。このシステムについてザビエル氏は「プラットフォームに戻ってくるようユーザーを誘導していますが、ただ努力に対する報酬の支払いを止めてしまっているだけ」と指摘します。

ザビエル氏は続けてゲームに「ボット」が紛れ込んでいるとも指摘し、ボットの存在が競争心をあおり、よりギャンブルへの依存度を高めている点を問題視しました。


全体的に、マリオカート ツアーはPay-To-Win(課金者有利)なゲームであり、子どもたちがプレイする親しみやすいゲームの資格が本当にあるのかどうか、ザビエル氏は疑問を呈しています。

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