シマウマは白黒のしま模様が特徴的な動物ですが、進化の過程でしま模様を獲得するに至った明確な理由は明らかになっていません。イギリスのブリストル大学の研究チームが実施した研究では、シマウマの模様が「アブよけ」に役立っていることが突き止められました。
Why don’t horseflies land on zebras? | Journal of Experimental Biology | The Company of Biologists
https://doi.org/10.1242/jeb.244778
Experts have discovered how zebra stripes work | University of Bristol
https://www.bristol.ac.uk/news/2023/february/zebra-stripes.html
シマウマがしま模様を持つ明確な理由は明らかになっておらず、これまでに「捕食者から隠れるため」「体温調節を効率化するため」といった多様な説が提唱されてきました。そんな中、ブリストル大学の研究チームは2019年に「しま模様のないウマにしま模様のコートを着せる」という実験を実施、しま模様にアブを避ける効果があることを明らかにしました。
シマウマがしま模様なのはなぜか?という理由がついに解明されつつある – GIGAZINE
by Magda Ehlers
上記のようにしま模様にアブよけ効果があることは明らかになっていますが、「アブがしま模様を避ける理由」は明らかになっておらず、「白黒のコントラストが影響している」「アブが目の錯覚を起こしている」「アブは、『偏光フィルターを通った光が反射する場所』に集まる」といった仮説が立てられていました。研究チームはこれらの仮説を検証するべく、「しま模様を含む多様な柄のコートをウマに着せさせ、一定時間にアブが体にとまる回数を数える」という実験を実施しました。
具体的な実験の手順は以下の通り。まず、「チェック柄」「白黒の正方形のランダムに並べた柄」「黒い三角形を並べた柄」「白い三角形を並べた柄」「グレー単色」「樹皮柄」という6種類の柄が描かれたウマ用コートを用意し、それぞれのコートを着用した際の「一定時間にアブが着地する回数」を調査しました。
実験の結果、「グレー単色」のコートは最も多くのアブを寄せ付け、「黒い三角形を並べた柄」や「白い三角形を並べた柄」のコートを着た場合は「グレー単色」のコートを着た場合よりアブの着陸回数が少なくなることが明らかになりました。また、「チェック柄」や「白黒の正方形のランダムに並べた柄」が、三角形を並べた柄よりも高いアブよけ効果を持っていることも確認されました。
研究チームは実験の結果から、「しま模様やチェック柄のような白黒のコントラストが強い模様」にアブを避ける効果があると結論付けています。
一方で、目の錯覚が発生しやすい「チェック柄」と発生しにくい「白黒の正方形のランダムに並べた柄」で大きな差が見られたなかったことから、「アブが目の錯覚を起こしている」という説は否定されました。さらに、偏光フィルターを通して「黒い三角形を並べた柄」「白い三角形を並べた柄」を撮影した結果、白い部分が光をよく反射することが判明。このため、「アブは、『偏光フィルターを通った光が反射する場所』に集まる」という説も否定されています。
今後はシマウマ以外の動物でしま模様が発達しなかった理由について研究を続けるとのことです。
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