「アサシンクリード」のUbisoftから従業員が「大脱出」を試みている

GIGAZINE



アサシンクリードシリーズなどでおなじみの大手ゲームパブリッシャー・Ubisoftから、従業員が「大脱出」を試みていると海外メディアのAxiosが報じています。

Inside Ubisoft’s unprecedented “exodus” of developers – Axios
https://www.axios.com/ubisoft-assassins-creed-great-resignation-aef86e61-75a8-4446-8ad6-f2c58bd0b730.html

Assassin’s Creed and Far Cry maker Ubisoft facing developer ‘exodus’ – Polygon
https://www.polygon.com/22847176/ubisoft-developer-exodus-axios-report

Axiosによると、ゲーム業界最大規模の2万人近い従業員を抱えるUbisoftから、過去18カ月間で多くの従業員が退社し始めているとのこと。Axiosに情報提供した人物によると「Ubisoft社内の一流の才能が多数流出している」そうで、社内ではこの大規模退社を「大脱出」と呼んでいる模様。

実際、2021年10月に発売された「Far Cry 6」に携わったトップの開発者のうち、すでに5人がUbisoftを離れてしまっているとのこと。また、2020年に発売された「アサシン クリード ヴァルハラ」の開発に携わったトップ開発者50人のうち、12人がUbisoftを退社しているそうです。


また、Ubisoftがカナダで運営していた大規模なゲームスタジオは、人員が減少するにつれ中堅あるいはそれ以下の規模になりつつあるとのこと。また、ビジネスSNSのLinkedInをチェックしたAxiosは、「Ubisoftのモントリオールおよびトロントのスタジオで、過去6カ月で少なくとも60人以上の従業員が退社している」と報じています。

加えて、Axiosに情報提供したUbisoft社内の匿名の従業員は、「Ubisoftで大規模な離職が起きたことで、ゲーム開発プロジェクトが停滞あるいは遅延している」とも語っています。さらに別の開発者によると、ゲームシステムを熟知した人材がいないため、Ubisoft社内の従業員がゲームの問題を解決するために退社した元従業員に連絡しているとのことです。

AxiosはUbisoftの12人の従業員にインタビューを行っており、大脱出が起きている理由としては「低賃金」「豊富過ぎる競争機会」「クリエイティブディレクションへの不満」「職場の不正行為」「スキャンダルに対する不安」などが挙げられています。また、Ubisoftで10年以上働いてきた従業員は、「Ubisoftが抱える無数の問題を考えると、他社の採用担当者にとってUbisoftは恰好のカモ」だと語っています。


AxiosがUbisoftに問い合わせたところ、経営陣から「離職率は上がっている」という回答が得られたそうですが、同時に「2021年4月以降、2600人以上の労働者を雇用している」というコメントも得られました。また、Ubisoftの人事部長であるAnika Grant氏は「離職率の増加は数パーセントポイント程度であり、まだ業界の基準値内です」と述べています。なお、Ubisoftは具体的な離職率を明らかにしていませんが、LinkedInのデータによると同社の離職率は12%に達しており、ライバル企業であるElectronic Arts(9%)やTake-Two Interactive Software(8%)、Epic Games(7%)よりも高く、セクハラや性差別などで揺れるActivision Blizzard(16%)に近い数字となっています。

また、Ubisoftを離れたゲーム開発者の中には収入を3倍にすることに成功した人物もいるそうです。そのため、Ubisoftはカナダのゲームスタジオで働く従業員に全面的な昇給を提供した模様。そして、この昇給により離職率を下げることに成功したとGrant氏は語っています。ただし、カナダ以外で働く従業員は「自身がいつ昇給するか」にイライラしているとAxiosは報じました。

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