スレッドアップ、再販プログラムの外販を拡大中:「重要なのはインパクトを与えることだ」

DIGIDAY

こちらは、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です
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再販プラットフォームのスレッドアップ(ThredUp)は、自社の「リセール・アズ・ア・サービス(再販サービス)」プログラムで、メイドウェル(Madewell)やトミーヒルフィガー(Tommy Hilfiger)といったブランドと提携し、小売業でのリーチを拡大しようとしている。

スレッドアップは、2019年に開始したこのプログラムを、小売業者が加工やフルフィルメント、価格設定を自分たちで行わなくても再販を開始できる方法として販売している。小売業者は自社店舗で顧客にクリーンアウトキット(Clean Out Kits)を提供し、顧客はキットに品物を入れてスレッドアップの配送センターに送ることができる。さらに小売業者は、スレッドアップを通じて、オンラインの再販ショップを設置できる(2021年から開始されたサービス)。また、キャッシュアウトマーケットプレイス(Cashout Marketplace)という第3のオプションもあり、顧客は自分のスレッドアップでのクレジットを、ブランドのギフトカードに変換できる。スレッドアップはすべての品物を12段階の品質検査で評価し、合格しなかった品物はリユースやリサイクルに回されるか、スレッドアップのミステリーボックスにより割引価格で再販される。同社はこれまでに、リセール・アズ・ア・サービスによって、200万個以上のクリーンアウトキットを配布し、170万点以上の品物を再循環したと推定している。

2021年末の時点でスレッドアップにのリセール・アズ・ア・サービスのクライアントは28社だった。その後、この数は50%近くも増え、2022年末には、約40社のクライアントを抱え、そのなかには、トリッド(Torrid)、パックサン(Pacsun)、ホットトピック(Hot Topic)といった新しいクライアントが含まれている。1月初めには、Jクルー(J. Crew)との最新のパートナーシップを発表した。同社は2023年にもさらに多くの小売業者をこの名簿に加えることを期待している。

スレッドアップは、プログラムに参加するパートナーに対し、使用量に基づく手数料を徴収する。再販ショップの場合、販売した品物への収益の一部が徴収され、クリーンアウトキットの場合は小売業者への支払いに関して手数料を徴収する。スレッドアップの決算発表では、同社がプログラムからどれだけの収益を得ているかが明確にされていないが、9月30日までの第3四半期における合計収益は6790万ドル(約87億6000万円)で、前年同期に比べて7%増えた。同社の純損失は2370万ドル(約30億6000万円)で、前年同期は1470万ドル(約19億円)だった。

中古衣料への需要は、特にZ世代やミレニアル世代のあいだで、世界的に増えてきている。ザ・リアルリアル(TheRealReal)、ポッシュマーク(Poshmark)、デポップ(Depop)などのサイトが人気を博し続ける一方で、ザ・ノース・フェイス(The North Face)やルルレモン(Lululemon)などいくつかの小売業者は、自社の再販プログラムを開始した。再販が市場に占めるシェアが増えてきている状況で、米モダンリテールはスレッドアップのリセール・アズ・ア・サービスのマーケティング担当シニアディレクターを務めるジャッキー・ボーカー氏と、ブランドを取り込む際のプロセスについて対談した。

以下の対談内容は、簡略化と明確化のため編集を加えたものである。

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このプログラムに関心を持ってもらうために、小売業者とどのようにコミュニケーションをとっているのか、そしてその会社との提携を決定したあとで、その関係はどのようなものになるのか?

再販は非常に刺激的な分野で、ブランドや小売業者は、より循環性があり持続可能になる方法を探し求めている。当社は各ブランドや小売業者とのあいだで、この点について多くの対話や会話を行い、これがパートナーとの関係のはじまりになる。

当社は、自社のリセール・アズ・ア・サービスについて、いくつかの異なるモジュールを提供している。そのひとつがクリーンアウトキットだ。これは、ブランドや小売業者が、自社の顧客にあらゆるブランドの衣服を送ってもらうためのものだ。当社は、そこから舞台裏で起きるすべてを実際に処理する。まず、受け取った品物を処理する。その在庫や衣類を、ほかの顧客に再販できるように委託する。そして、売れたアイテムに応じて、顧客はクレジットを獲得し、プログラムを主催したブランドでそのクレジットを消費できる。

また当社は、再販ショップも運営している。再販ショップでは基本的に、完全に当社が提供するホワイトラベルの再販ショップを構築し、各ブランドは、それぞれのeコマースサイト内で再販ショップを持つことができる。つまり、顧客はjcrew.comを訪問してから、「Jクルー・オールウェイズ(J. Crew Always)」(同社がスレッドアップ経由で販売している再販商品ライン)に行くことで、中古品のJクルーのアパレルを買い求めることができる。

バックエンドの物流がどのように働くのか、もっと詳しく説明してほしい。

当社は基本的に、米国で数カ所ある当社の配送センターにクリーンアウトキットを持ち込み、送られてきた衣服を処理して写真を撮影し、計測して、ブランドやサイズなどをチェックしてから、オンライン販売のリストに登録する。衣服はThredUp.comに掲示され、再販ショップのパートナーサイトにも掲載できる。当社はこれをクロスリスティングと呼んでいる。当社は実際に受け取ったすべての衣服を調べているため、作業工程は少なくはない。

再販ストアを開始するにはどの程度の期間が必要か?

一部のプログラムではごく短期間に開始できる。よりカスタマイズされたストアの場合は数カ月を要することもある。しかし、これはプログラムの範囲次第だ。

このプログラムにより、ブランド商品の再販において何がうまく働き、何が働かないかについて、どのようなことを学んだか?

我々にとって最終的に重要なのは、インパクトを与えることができるかだ。したがって、ブランド商品の再販は、大量のアパレルやアクセサリーを入手して、新しい顧客に循環させることができれば、最大の可能性を発揮すると考えている。

当社が真剣に取り組んでいることのひとつは、再販ショップを設置するとき、そのショップに十分な量の在庫があるようにすることだ。ブランド商品の再販ショップで買い物をするとき、自分のサイズでフィルター検索したら、ズボンが3着しか見つからなかったと想像してみてほしい。これは楽しくもないし、刺激的でもない。はっきり言えばがっかりする結果だ。おそらく、自分のスタイルに合った商品は見つからないだろう。

そのため、当社が注力している目標はいくつかあるが、そのひとつは、プログラムの規模を大きくして、インパクトがあり、ロイヤルティを生み出せるようにすることだ。ショップを訪れるたびに新しい在庫があり、毎日、さらには毎時間更新され、自分のサイズやスタイルに合った衣服が大量に見つかるなら、非常に刺激的であり、再販が、より大きく急速に成長していくことにつながるだろう。

[原文:How ThredUp is growing its retailer resale business]

JULIA WALDOW(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via ThredUp

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