未だにC-2は傑作機で、世界売れるとかいうファンタジーを広めるのは大変問題です。
失敗作であり、そもそも輸出は夢物語であるという事実を認めないと、テクノナショナリズムを煽って他国が悪い、見る目がないとか政治家まで思い込んでしまいます。
C-2はクズです。しかも高いので空自が採用するほど、防衛力と国力を削ぐだけです。即座に調達を中止すべきです。
国産ジェット機C-2輸出に黄信号か 有望株UAEが韓国の輸送機開発に参画 日本見限った?
韓国の尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は2023年1月15日、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビにおいて同国のムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン大統領と首脳会談を実施。その後、両国で出した共同声明のなかで、UAEが韓国に対して総額300億ドル(日本円で約3兆8000億円)にも及ぶ投資を行うと発表しました。
UAEはかねて、日本が独自開発したC-2輸送機に大きな関心を寄せ、同機の有力な輸出先(日本では防衛装備移転と呼称)として見込まれていました。日本はUAEで隔年開催される「ドバイ・エアショー」に実機を持ち込んでのPR活動や、UAE側の運用要求に合わせた未舗装地での離着陸試験などを実施してきました。しかし、その後はUAE側からC-2導入に関する続報は伝わっていません。
UAEから、「これ不整地で運用できないよね?」と言われて、慌てて不整地テストして失笑を買いました。そもそも空幕の要求仕様で不整地運用が入っていない。有事に滑走路が破壊されて、応急処置で離着陸したり、PKOで有用といいつつ、PKOで舗装滑走路のないところでは運用できないわけで、空幕の完全な平和ボケですよ。当時は滑走路補修なんて形だけでした。バンカーも作る気は無かった。
不整地運用をするためには足回りを強化しないといけない。当然重くなります。ところがジェット旅客機と同じように飛べま~す、他の国にはありません~、というセールスポイントをアピールした国産が必要ですという「言い訳」があったわけです。より重たい機体でそれを実現することは無理でしょう。
頭の悪そうな軍オタが、「C-2は不整地でも使える!」とかいっておりましたが、「こんなこともあろうかと」川重が先回りして勝手に不整地運用能力付加したその分重量もコストもかさみます。そんなことはできるわけがないでしょう。子供でもわかる理屈が「事情通の軍オタ」さんたちには理解できません。ホレてしまえば痘痕もエクボとか、アイドルはウ○コしないの類の話です。
そしてご案内のようにコストもバカ高い。
C-2のCPFHはC-130Jの4.4倍、C-17の1.8倍にもなる。ペイロード1トン当たりのCPFHは、C-2は10.5万円(26トン)、C-130Jは3万円(20トン)C-17(77トン)は1.96万円である。C-2のペイロード1トン辺りのCPFHはC-130Jの約3.5倍、C-17の5.4倍と、比較にならないほど高い。
因みに1機あたりのLCC(ライフ・サイクル・コスト)はC-2が 約635億円、C-130Jが 約94億円、C-17が 約349億円である。C-2の1機あたりのLCCはC-130Jの6.8倍、C-17の1.8倍である。これがペイロード1トン当たりのLCCになるとC-2は24.4億円、C-130Jは4.7億円、C-17が4.5億円であり、C-2の1機あたりのLCCは、C-130Jの5.2倍、C-17の5.4倍となり、これまた比較にならないほど高い。
こんなバカ高いコストの輸送機買う軍隊はありませんよ。
しかも今は調達コストが300億円以上です。しかもカヤバや島津の撤退で、代用コンポーネントも調達しなけりゃならないから、調達&運用コストは更に上がります。それに巨額で何度も払われている初度費も加えれば調達コストはもっと上がるはずです。
ペイロード辺のコストは他国の輸送機の10倍以上になる可能性もあるでしょう。
民間転用もはじめかから詐欺みたいな話です。そもそも競合機よりも何倍もコストが高い上に、他国の機体のように耐空・型式証明を開発と同時に行っていないので、新たに取る必要があるわけで数百億円はかかるでしょう。で、何機売ったら元がとれるんでしょうか。
川重が海外の航空ショーで展示していたのは防衛省に対するアリバイ工作です。それを頭の悪い自民党国防部会のセンセイ方が騙されて「おらが輸送機は世界一!」とか信じ込んでしまう。
C-2輸送機の輸出構想は、「画に描いた餅」
川崎重工業は耐空証明を取るための作業を行っていない。同社には耐空証明をとった実績がないので、作業に慣れたエアバスやボーイングなどよりもより多くの時間とコストがかかるだろう。実際にMRJを開発している三菱航空機と、その親会社である三菱重工業にとっても、これは大きな苦労だ。しかもC-2はMRJとは異なり、国内で開発した専用のコンポーネントが多く採用されており、これらも個別に証明を取る必要がある。
C-2の耐空証明を取るためのコストは機体の2機程度分のコスト(およそ400億円)を要する可能性がある。コンポーネントを実績のある外国製に置き換えれば、その分コストを抑えることができるが、事実上、別の機体となるので再設計と各種試験なども必要であり、これまた大きなコストがかかる。
幸いってはなんですが、ヤルヤル詐欺です。
「良品は黙っていても売れる」の幻想で既に述べたようにC-2は明らかな失敗作です。ですが国産=高性能とこのような見出しをつける媒体が誤った国産神話を作っています。良さがわからないのは外国が悪いのだ、と被害者妄想を膨らませます。
こういうインチキな大本営発表みないた報道をいい加減やめるべきです。
現場を変えた! 国産ジェット輸送機「C-2」初飛行-2010.1.26 “装輪戦車”載せても「あれ、重くない…」
最大積載量はC-1が約11.9tだったのに対し、C-2では約36tに拡大、機体もC-1の1.5倍ほどまで大型化したことで広いカーゴスペースが確保されているため、道路運送車両法の制限内にある装輪車ならば自走で搭載することができます。ゆえに、陸上自衛隊の戦闘車両についても戦車は無理ですが、重量約26tの16式機動戦闘車であれば搭載可能です。
後にこれら強度不足に対応した量産型胴体が製造されたことで、C-2量産型では問題が払しょくされたほか、試験機XC-2も2016(平成28)年にこの胴体へと換装され、いまでは強度的に問題ないようです。
未だに最大ペイロード36トンという妄想を書き散らすのは大変問題です。不具合の改修のために構造強化を行ったので、まずはその分重たくなっています。当初のペイロードは実現できません。
空幕は最大ペイロードを偽装している可能性があります。空自のサイトにも明示されていません。そして燃料の搭載を著しく減らしてのペイロードを公開したりしています。それは世間では「インチキ」といいます。
その何よりの証拠は19式や16式です。C-2の最大ペイロードが謳い文句の通りであれば、30トンで搭載可能はなずです。ところが19式は重量軽減のために、クルーの5人乗りのキャブを諦めました。で、あのように中央に幌付き座席という無様なレイアウトを採用しました。装甲キャビンなんてもっと無理です。そして試作では搭載した12.7ミリ機銃すら外してしまいました。
C-2のペイロードは26トン程度、それも燃料搭載量ギリギリまで減らして、という可能性があり、普通の基準でいえば20トンを切る可能性もあります。以前のライフサイクルコストの報告書ではペイロードは8トンのC-1の約3倍とありました。であれば24トン程度ということになります。
この低いペイロードが16式や19式まで駄目兵器にした可能性があります。そもそも当初でも30機、現在は22機の機数で相応の部隊の16式や19式を運べる余裕はないわけです。
ペイロードが大幅に下がることがあきらかになった段階で、C-2の調達は中止すべきでした。ところが不具合の改修も終わらない段階で、量産機を発注しかも、あろうことか東日本大震災の復興特会でも2機400億円で発注しています。
空軍が被災者のポケットに手を突っ込むような真似をしたわけです。C-2よりも優先される被災者救済の政策は多々あったはずです。400億円もあればもっと被災者が助かったでしょう。こういう「国軍」が国民に信頼されるでしょうか。
C-2輸送機の開発遅延は人災②〜調達コストが高く・性能も中途半端・外国に売れる見込みの無い機体を「国産機だから」と調達すべきではない
【本日の市ケ谷の噂】
陸自の他国の10倍の値段で調達する新対人狙撃銃は間抜けにもFMSで調達していたM24A2が在庫切れになってしまい、仕方なく急遽調達が決まった、との噂。
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2023年1月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。