地方再生にはこの手しかない

アゴラ 言論プラットフォーム

最近、東京都の「新規陽性者と死者数」の発表か酷い。たとえば昨日は

みたいにテレビも新聞も報じるわけですが、昨日の詳細は


6人のうち5人が2月・・・・

一昨日は


7人全員が2月と3月・・・・

その前の日も・・・・・・

コロナではいまやもうほとんど死んでない。たまーにぽつんと出るのは老い先短い高齢者・・・・
どうしてこんなことが起きるのか。原因はいろいろあるわけですが、まずコロナの患者を医療機関などでHER-SYSというシステムに入力するわけですが、このシステムがクソのクソで、登録した後の変化をいちいち入れていないところも多い。重複登録も起きてるレベル。

そもそもマイナンバーに紐付ければこんなことは起きないのだが、高齢者施設でたくさんの高齢者がコロナに罹りました。登録はしました。そのあとでいろんな原因で亡くなった人もでました。数ヶ月経って思い立って登録しました的な?

この情報をそのままテレビが垂れ流すから、リテラシー低いブースターまで終わった高齢者は「コロナはまだ終わってない。怖い」と叫ぶわけです。テレビも報道するときは「今日報告された死者は5人ですが全員が2月に亡くなった人です」くらい付け加えろと。枕詞に「新たに」って付いているから完全にミスリードされるだろ。

4630万円ネコババで露わになった田舎の問題

先日このエントリーを書きました。

4630万円をガメられた阿武町は日本の縮図であり、極近い未来である
田舎の高齢者に忖度して滅び行く日本
みなさんはご存じですか。東京の重症者はたった1人です。第5波までは感染者数は少ないのに重症がこんなに多かった。いまは感染者数がこんなに多いの重症は1400万人の東京でたった1人。グラフを見れば一目瞭…

テレビで見ていて「こんな他人事の」「こんなずさんな」「こんな時代遅れの」「こんな適当な」対応に驚いた方も大勢いるようです。

しかし↑のエントリーに書いたように、これは阿武町に限ったことではなく全国の田舎で起きていることです。たとえば北海道の歌志内市。市です。町ではありません。市の基準は通常は人口が5万人以上。

人口46000人 → 2864人の市!!!

人口 2,864人(性別内訳 男1,361人 女1,503人)
65歳以上 人口 1,527人(全人口に占める割合 53.32%)
世帯数 1,751世帯

市長交際費は公開されていて

葬式の香典ばっか・・・・市長の給料はかなり高いほうで74万7000円!!

2864人の市民でなんと市役所職員は


133人!!

阿武町と同じ人口で職員は2倍以上!!!ひとりの職員あたりの住民数21.7人。一般職の平均給与349,041円!!

ちなみにわたしの住む調布市は人口243,372人で市役所職員は1206人。ひとりの職員あたりの住民数201人ですから、歌志内市の市政は10倍以上割高です。

市民は3000人もいないのに市の予算は40億円。

予算の6割近くが東京からの地方交付税です。予算の25%が民生費!!!なんと北海道の生活保護受給費第1位で88.4千円です。男性就業率は30%台。65歳以上が過半数・・・・・。

普通なら村の人口規模なのにどうして市のままなのか。市役所という以上、職員の数は村役場より多いし、市議会の方が村議会より議員の介護は多いし報酬も高いだろう。市議会議員の報酬平均は全国平均 42.1 万円で、村議会は21万5万円で倍も違う。これではいくら人口が減ろうが市議会は村にしようとは言わない。

現在の日本では「市」や「町」になるには一定の条件があるが、逆に人口が激減しても既得権はそのまま残る。これじゃあどこの自治体も本気で少子化対策などやらず、既得権益者である高齢者向けの施策一辺倒になるわけですね。人口5万人に満たない市は全国で数えても相当数ある。

しかしこれでもかなり減少したのです。

そして


人口1万未満の自治体は1人あたり30万の自治体の2.5倍のコスト

がかかる。つまり小さな自治体は非常に効率が悪い。そしてそのコストは大きな自治体、具体的には東京都民だけが負担するという構造です。地方交付税は貰っていないのは東京都だけなので、つまり東京以外の自治体はすべて東京都民の税金で回っています。特に人口が激減しているような自治体では地方交付税の比率が過半数を超えます。
いい方が悪いかもしれないが、こうした自治体は生活保護受給世帯のようなものです。他の自治体と合併するなり吸収しれるなりしてもらわないと、東京や大都市圏の現役の負担が大きすぎる。つまり

田舎にもっていかれる税金と社会保険料で手取りが全く増えない

という悪循環になっています。

地方再生の本当のあり方

地方再生という言葉が良く聞かれますが、その大半は戦略ではなく戦術でしかない。

観光に力を入れるとか、若者を無料で住まわせるみたいなのは些末な戦術に過ぎず、だからこそ本当に再生した地方なんてほとんどないのです。

金はもらえる。自分はとりあえず食うには困らない。将来のことはしらんがな、という首長や田舎議員の下では、再生なんてするわけがナイ。
本当の意味で地方再生するには

地方にも企業と同じ競争原理を採り入れる

しかないのです。明石市が良い例で、

9年連続人口増、明石市の泉房穂市長「子ども予算3倍必要」と考える理由

9年連続で人口を増やし、2020年の国勢調査では人口30万人を突破した兵庫県明石市。とくに子育て層が増加しており、18年には出生率が1.7と政府目標1.8に近づいた。中核市人口増加率1位(※)、「全国戻りたい街ランキング2021」1位(ウェイブダッシュ調べ)、「SUUMO住みたい街ランキング2022 住みたい自治体ランキング<関西版>」6位(リクルート調べ)と、人気の上昇が続く。

と、本気で自治体を運営すれば、人口も増えるということを見事に証明している。要するに

甘えている自治体は無くなれ

という企業の経済論理を採り入れれば良いだけの話です。
具体的には

1 人口100万を切ったら県は市に、5万で市から町に、5000で町から村に自動ランクダウン

サッカーと同じです。

2 ランクダウン場合は隣接の自治体との吸収合併を念頭に
※引き受け手があるなら吸収合併。ないのなら役場とサービスは人員整理して縮小

3 いけてる市はどんどん大きくなって県にランクアップ

という

自治体戦国時代の導入です!!

自治体の長の強いリーダーシップのもと、少子化対策や産業振興に切磋琢磨し、弱いとこは食われ、強いところが伸びる。元々日本の県は戦国時代から江戸時代に移行した名残なのですから、また戦国時代に戻す。こうなると首長選挙も自分たちの自治体が生き残れるかどうかの最も重大な選択ですから、縁故だの、頼まれたからだの、前の助役だからだのという馬鹿げた理由では誰も投票しない。

どうやったら生き残れるかを具体的に示せるリーダーに投票するでしょう。ましてや高齢者は自分たちの土地に強い執着を持っているわけで、若者のように「隣の自治体の首長がいけてるから合併して貰いたい」など考えない。要するに日本の田舎は甘やかされていた。だからお荷物になってしまった。ハングリー精神取り戻し、なんなら田舎の村が勢力を拡張して県に登り詰めるくらいの下剋上で日本を活性化するのです。

まあ、その前には自民党の田舎議員に切腹して貰わないとだめですかね。

わたしと音喜多君、立憲の中谷さん、自民の藤末さんの新刊がでました。


編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2022年5月23日の記事より転載させていただきました。

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