Amazon が自社プラットフォーム上の偽造品への責任を負う日が近いかもしれない

長年、多くのラグジュアリーブランドがAmazonでの販売に抵抗していたが、その理由は単純だ。ブランドが求めているのは、みずからコントロールできる独占的な体験であり、ショッピングに対するAmazonの無法地帯のような統制のないアプローチは、よい結果をもたらすものではなかったのだ。

だが、クリスチャンルブタン（Christian Louboutin）がAmazonを相手取って起こした訴訟の12月22日の予備判決のおかげで、その状況が強制的に変わるかもしれない。2019年に提起されたその訴訟は、ルブタンのトレードマークである赤いソールが付いた偽物の靴のスポンサード投稿が氾濫していることに対し、Amazonは責任を負うべきだという訴えだ。現在でも、Amazonで「クリスチャンルブタン」を検索すると、赤いソールの靴を販売している他のブランドや、既存の靴に付ける赤いソールを販売するブランドのリスティング広告が何十件も表示される。

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販売者だけでなく、プラットフォームにも責任を求める方向へ

これは何年も前から知られている問題だった。2020年にGlossyは、Amazonで「グッチ（Gucci）」と検索すると、赤と緑のストライプや大きなGのロゴといったグッチのシグネチャーのあるスポンサープロダクトが何十も表示されると報じている。この状況はいまだに変わっていないが、変化はすぐそこまで来ているのかもしれない。

Amazonで「グッチ」を検索した際に表示された、ふたつのスポンサードプロダクト。

ベルギーとルクセンブルクで起こされた訴訟は、いまもEUの裁判所による判断を待っているところだ。しかし予備判決で法廷は、広告主がプラットフォームに載せるものに対して、Amazonは責任を負うべきであるという考えに賛同を示しているように思える。ベルギーとルクセンブルグの裁判所は、ルブタンに有利な判決を下したEUの最高裁判所である欧州連合司法裁判所に指導を求めていた。これによって、ふたつの国の法廷がルブタンの主張を支持する道が開かれた。

「我々は判決を検討する」とAmazonの広報担当者は述べている。「Amazonは、顧客が我々の店舗で買い物をする際、販売者情報を表示することで、誰から購入するのかを顧客に対して明確にしている」。

判決次第ではキーワード広告のルールが変更される可能性も

ルブタンがAmazonに求めているのは金銭的な補償ではなく、偽造を終わらせることだ。もし裁判所がルブタンに有利な判決を下した場合、Amazonはキーワード広告の取り扱い方法を変更せざるを得なくなるだろう。現在Amazonでは、ほかのブランドの名称をターゲットキーワードとして使用することを認めている。このような行為は、広告ハイジャックまたはブランドの権利侵害として知られている。

反偽造テック企業のインコプロ（Incopro）で法律顧問を務めるマイク・スウィーニー氏は、通常、Amazonおよび同様のマーケットプレイスは、商標権侵害の規則を回避できると話す。それは免責条項によって、そのマーケットプレイス上の販売者による行為に対する責任からマーケットプレイスが保護される場合が多いからだ。つまり、Amazonのストア上で販売者がラグジュアリーブランドの著作権を侵害していても、Amazonは責任を負わないということだ。

「だが、特にヨーロッパではそれが変わりつつある」とスウィーニー氏は言う。「一部の国、特にベルギーでは、プラットフォームが『我々の責任ではないので、販売者と話してくれ』というような司法判断があった。だが、ヨーロッパでは『いや、ここでもプラットフォームには責任がある』という方向にシフトしている」。

[原文：Amazon may soon be held liable for counterfeits on its platform]

DANNY PARISI（翻訳：Maya Kishida 編集：山岸祐加子）