コマース機能拡張するにあたり、 ピンタレスト 最高ショッピング責任者は顧問役に異動

DIGIDAY

ピンタレストは、1月17日の朝、最高ショッピング責任者のジュリー・ボーンスタイン氏が顧問の役割に異動することを社員に向けて発表した。その前日、同社の広報担当者は、ピンタレストがコマース機能を強化し、ピンタレスト上の「すべて」をショッパブルにする計画が進んでいるなかでこの異動が決定されたと、Glossyに語った。

ピンタレスト(Pinterest)は、1月17日(火曜日)の朝、最高ショッピング責任者のジュリー・ボーンスタイン氏が顧問の役割に異動することを社員に向けて発表した。その前日、同社の広報担当者は、ピンタレストがコマース機能を強化し、ピンタレスト上の「すべて」をショッパブルにする計画が進んでいるなかでこの異動が決定されたと、Glossyに語った。

顧問への移行は「自然な流れ」

ボーンスタイン氏が2020年5月にローンチしたAIを活用したファッションマーケットプレイス、ザ・イエス(The Yes)が2022年6月にピンタレストに買収された際、同氏はピンタレストに加わった。当時、ピンタレストは「この買収によって好み重視のショッピングの拠点になるというビジョンが加速される」と述べていた。ボーンスタイン氏はショッピングのビジョンと戦略を主導する責任を負っていた。約4週間後にピンタレストは新しいCEOのビル・レディ氏の就任を発表、これはコマースへのフォーカスの強化を示唆していた。レディ氏はGoogleのコマース・ペイメント部門のプレジデント、ペイパル(Paypal)とベンモ(Venmo)の経営幹部を務めた経歴を持つ。

ボーンスタイン氏は1月16日に自分の異動を「自然な流れ」と呼んだ。ザ・イエスの従業員はピンタレストでの仕事を割り当てられ、ピンタレストの「すべてのサーフェス領域においてショッピングを統合する」というミッションを支援していると述べている。ボーンスタイン氏は自分のリテール中心の経歴を考えると、ザ・イエスの長所が認識されてピンタレストから学ぶ機会が与えられたことに「感謝している」という。ボーンスタイン氏はこれまでにスティッチフィックス(Stitch Fix)のCOOとセフォラ(Sephora)のCMOを務めた。

アナリストの予想を上回ったピンタレストの収益

ソーシャルプラットフォームが最近不快なポリシーリーダーシップの変更を経験したり、ショッピングの目的地としての地位の確立に苦労しているなかで、ピンタレストは依然として異例の存在である。ピンタレストによると、ユーザーの大半はショッピングのためにピンタレストにアクセスするという。ほかのプラットフォームが行っているように専用のショッピングエリアを導入するのではなく、ピンタレストの戦略はホームフィードからの検索や関連ピンなど既存のユーザーエクスペリエンス全体にショッピングを埋め込むことだとボーンスタイン氏は述べている。また、同時に「インターネット上のポジティブな場所」であり続けることにも注力している。10月下旬に報告された第3四半期の収益では前年同期比で8%の収益増加が明らかにされたが、これは競合他社が広告の削減によって大きな打撃を受けているなかでアナリストの予想を上回っていた。

「ピンタレストには十分な余裕があるが、それは、FacebookやTwitterの状況があり、ブランドや小売業者が顧客を獲得して売上を伸ばす新しい方法を模索しているからだ」とボーンスタイン氏。「マーチャントコミュニティ全体からはピンタレストが成功と成長を続けることが熱望されている。そして(ピンタレストは)もっと多くのユーザーエンゲージメントを促進して、またそれが可能になる広告製品を構築し続けている」。

昨年の買収後、ザ・イエスはさまざまな価格帯のファッション商品で購入客のフィードをパーソナライズしていたアプリを廃止した。アルゴリズムにフィードされていたのはクイズへのユーザーの回答や自発的な「はい」や「いいね」、購入行動だった。ボーンスタイン氏によると、以来ピンタレストでローンチされたザ・イエスのパートナーブランドには、ゴールデングース(Golden Goose)、ラダブルジェイ(La DoubleJ)、マッカージュ(Mackage)、A.L.C.などがあるという。

人材を活用し、ショッピング機能を拡張するピンタレスト

ボーンスタイン氏は、ザ・イエスがピンタレストに与えた影響について、ザ・イエスの人材をもっとも誇りに思っていると語っている。その人材は製品やエンジニアリングからコンテンツやマーケティングに至るまでピンタレストの部門で起用されている。ザ・イエスのクリエイティブ・ファッションディレクターだったテイラー・トマシ・ヒル氏は、現在ピンタレストのグローバルプログラミング責任者だ。ボーンスタイン氏いわく、「(ザ・イエスからの人材が)現在(ピンタレストの)ピナーエクスペリエンス内でショッピングを担当している製品チームを構成している」。同氏はまた、「広告主とマーチャントからリアルタイムのデータを取り込む」ザ・イエスのマーチャントデータシステムと、現在「(ピンタレストの)パーソナライゼーションの基盤」となっている独自の分類法の統合についても注視している。

ピンタレストが2015年から展開しているショッピング機能には、小売業者がピンをショッパブルにできる商品のタグ付け(Product Tagging)、ユーザーが商品画像をアップロードして類似商品を見つけられるビジュアルサーチ技術であるレンズ(Lens)、アプリ内で化粧品家庭用品を試すことができるARトライオン(AR Try-On)などがある。2018年にはスキントーンレンジ(Skin Tone Range)が、2021年にはインクルーシビティとパーソナライズの促進という名目でヘアパターン検索(Hair Pattern Search)機能が開始されている。

Glossyに最初に共有された声明のなかで、CEOのレディ氏は次のように述べている。「当社は6月にザ・イエスを買収して、その技術と業界の専門知識を統合して、ピンタレストのビジョンを加速し、ショッピングの主要な目的地になることに尽力している。当社はあらゆる主要な面で世界クラスのショッピング体験を構築し、ショッピングについての深い専門知識を持つチームを構築するために投資を継続している。ジュリー(・ボーンスタイン氏)はこのプロセスに貢献してくれており、これからも信頼できる顧問として彼女と協力するのが楽しみだ」。

[原文:Breaking: As Pinterest expands commerce features, chief shopping officer Julie Bornstein moves to advisory role

JILL MANOFF(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)


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