「顧客への丁寧で役に立つ 接客 サービスは事業拡大へつながる」:ノードストローム 社長兼最高ブランド責任者ピート・ノードストローム氏

DIGIDAY

ノードストローム家の第4世代にあたるピート・ノードストローム氏は、現在ノードストロームの社長兼最高ブランド責任者を務めている。Glossy編集長ジル・マノフ氏と対談し、ノードストロームがカスタマーサービスやイノベーション、運営に対してどのような独自のアプローチを取っているかについて語った。

ノードストローム家の第4世代にあたるピート・ノードストローム氏は、現在ノードストローム(Nordstrom)の社長兼最高ブランド責任者を務めている。

ノードストローム氏はシューズ売り場からノードストロームでの仕事をスタートして昇進してきた。同氏によると、接客を担当することで得た経験は現在でも自分の仕事をうまく進めるのに役立っているという。「(シューズ売り場で働くことは)顧客と接することが多く、あるレベルのコミットメントとサービスが不可欠だ」とノードストローム氏は最新のGlossyポッドキャストで語っている。「その経験から学べる謙虚さも役立っている」。

役員としての責務のほかに、ノードストローム氏はノードストローム、小売、ファッションのあらゆることに関してインサイダーの視点を同社のファンに提供するノーディポッド(The Nordy Pod)というポッドキャストのホストも務めている。ポッドキャストは2月に開始された。

2022年12月21日、ノードストローム氏はGlossyの編集長であるジル・マノフ氏と対談し、ノードストロームがホリデーシーズンに向けてどのような準備を行ったか、また、カスタマーサービスやイノベーション、運営に対してどのような独自のアプローチを取っているかについて語った。

以下に、読みやすさのために若干編集してポッドキャストのハイライトを紹介する。

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質の高いカスタマーサービスの重要性

「丁寧な接客は顧客に気に入ってもらえる。これは当たり前のように思えるが、(当社のモットーは、私の曽祖父がノードストロームを創業したときには)あまり洗練されてはいなかった。時が経つにつれて我々が学んだのは、好意的で優れたカスタマーポリシーを持って丁寧に接客することは報われるということだった。そのおかげで事業を拡大でき、顧客のロイヤルティを生み出すことがきる。(CEOのエリック・ノードストローム氏と私が)関与するようになったときにはすでにこれは取り入れられていた。(当社の)大きな差別化要因は顧客へのサービスの提供方法だ。秘密でもなんでもない。どの小売業者もサービスが非常に重要な要素であることを知っている。

私の父の世代がカスタマーサービスの概念を取り入れ活用して定着させ、(ノードストロームにおける)共通の目的と目標にした。それが素晴らしいのはシンプルな点だ。また、当社のどこにいようと何をしようと誰もがそれに従うことができる。皆が自分のすべきことを理解している。顧客が最高の気分と外見を得るためにサービスを提供する。それだけのことだ。すべてはその目的のためだ。それによって当社はメリットを受けてきた。寛大な返品ポリシーを維持することに伴って問題が生じると思うかもしれないが、(その代わりに)得られるものはとても貴重だ。どんなにマーケティングやほかのことをしたとしても、(優れたカスタマーサービスから生じる)善意や口コミ、ロイヤリティは生まれない。(適切な接客サービスを提供すると)その顧客から財布内シェアがもっと得られるという点からわかる。つまり、これは純粋なビジネス戦略なのだ。我々が気づいて長年学んできたのは、優れた接客サービスをすると顧客はもっと商品を購入してくれるということだ」。

小売トレンドを常に把握する

「当社の条件ではなく、顧客の条件に合わせてカスタマーサービスを提供する複数の方法がなければ、小売業での成功は想像しがたい。当社が試みたのは、事業のオンライン部分を物理的な部分である店舗とシームレスに統合するように設定することだ。これは、実質的には当社の物理的資産のすべてをデジタルと組み合わせて活用するということで、それは非常に利便性が高く選択肢もあり、顧客にとっては素晴らしい。それには多くの運用ロジスティクスが投入されている。(当社は)そのすべてを解決したわけではない。(フィジカルとデジタルの統合が)どうあるべきかは明確に理解しているが、尽力は続けていかなければ。基準は大幅に高くなっており、当社はその業界にいるので競合していかなければならない」。

ホリデーシーズンに自社ブランドに忠実であり続けること

「ホリデーは極めて重要な時期であり、ずっとそうだった。だが、これまで以上にこれは当てはまっているようだ。この重要なシーズンで成功を収めるためには多くの計画と準備がいる。当社ではホリデーをひとつずつ祝うという長い伝統がある。たとえば、サンクスギビングが終わるまでは、徹底的なクリスマスやホリデー向けディスプレイで店舗を装飾しないということがある。これは顧客から好評を得ているようだ。(それでも)早めにプレゼントやクリスマスの飾りを買いたいという客はいる。長期にわたって考えなければならなかったのは、「どうすれば10月や11月に素晴らしいギフト用の品揃えを提供できるか」ということだ。(また、我々が考えているのは)『ひどい、ノードストロームは9月にクリスマス展開をしている。一体どうなっているんだ』と顧客に思わせることなく、ホリデー用の商品を販売することだ。それにはある程度の手腕が必要だが、最終的には顧客が望むものや選択肢を提供することに尽きる。クリスマスの買い物を早めに終わらせたいと思っている人々にとって当社が素晴らしいリソースだと思われたい。ホリデー直前に買い物に来て、素晴らしいプレゼントを見つけるのに多くのサポートを必要とする人々だけではなく。結局、ポイントは『プレゼントを贈ることを考えている人々に対して、どうすれば当社はもっと重要になれるだろうか?』ということなのだ。(当社は、消費者が購入を)考えるときに最初に思い浮かべてもらえるようになり、ノードストロームがプレゼントを買うのに素晴らしい場所だということを伝えたい」。

[原文:Pete Nordstrom on loyalty: ‘Being helpful and kind to customers pays off’

TATIANA PILE(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)


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