ハイブリッド勤務 の管理には「 ホテリング 」ソフトウェアを : コロナ後を見据えたソリューション

DIGIDAY

メディア企業がオフィスを開放し、従業員に自宅以外の場所で働く選択肢を与えるなか、経営者はハイブリッド勤務者の出入りをどのように調整するかを考える必要がある。

パブリッシャーたちは、エンボイ(Envoy)やコンデコ(Condeco)のような職場用ソフトウェア会社を、デスク予約、オフィス利用に関するデータ収集、場合によっては従業員のワクチン接種状況のトラッキングのためのプラットフォームとして利用している。

従業員をオフィスに呼び戻すことは、一部のパブリッシャーたちにとって困難な作業であることがわかっている。特に、従業員のオフィス復帰を義務付けているパブリッシャーたちにとってはそうだ。しかし、希望者対象でオフィス勤務を可能にした会社にとっても、従業員がスムーズに、かつ安全に出社できる方法を見つけることが課題だ。

「ホテリング」とはなぶか?

クオーツ(Quartz)のITディレクター、ジョーダン・スコギンズ氏は、オフィスに入ってくる従業員を管理するシステムがあることは「従業員の体験に大きな違いをもたらす」と述べている。スケジュールを調整するために従業員がメールをやり取りするよりもはるかに良い、と彼は付け加えた。

エンボイ、コンデコ、ティーム(Teem)、ロビン(Robin)、オフィススペース(OfficeSpace)などの職場用ソフトウェア企業は、割り当てられたデスクがなくなったときに、従業員が利用可能なデスクスペースを予約できるようにしている。多くの職場スペースは、パンデミックの最中にソーシャル・ディスタンシング、そしてすべての従業員が週に5日オフィスに来るわけではないという事実に基づいて再設計された。

そこで、ホテルの部屋のように事前にデスクスペースを予約したりする「ホテリング」と呼ばれるソリューションが必要になった。これは、オフィスで、まだ割り当てられていないスペースを予約することを指す(しばしば先着順で利用可能なデスクを見つけることを意味する)「ホットデスク」と似た概念だ。これらの用語は同じ意味で使われることもある。

これらのソフトウェア企業はまた、職場に関するデータや洞察を経営陣に提供しており、経営陣は、オフィスが従業員によってどれだけ頻繁に使われているかを知ることができる。これは、企業がオフィススペースの将来的な役割を考える際に注目すべき重要な指標だ。

スコギンズ氏は、「これは、オフィスが将来のオフィス利用について決めごとをする際に役立つ」と述べた。たとえば、夏の金曜日にはクオーツのオフィスに「ほとんど誰も来ない」ことが明らかになったため、同社はその週のその日はオフィスを閉じておくことにした。

ポリティコとBuzzfeedも採用

ポリティコ(Politico)は、3月1日に予定されているハイブリッド勤務モデルの開始時に、ホテリング・ソフトウェアを稼働させると、今月初めに発表した。ポリティコの広報担当者は、どのようなホテリング・ソフトを使うのかという質問には答えなかった。

Buzzfeedはチェックインやデスク予約などのサービスにエンボイを利用している。エンボイは同社とは2017年から提携している、とBuzzfeedの広報担当者は語った(エンボイは2021年6月にデスク予約機能を追加した)。クオーツも同様で、昨年夏に希望する従業員対象のオフィス勤務を再開した際にエンボイを使い始めた。

約250人の従業員を抱えるエンボイは、従業員がデスクスペースを予約し、ワクチン接種やCOVID検査の結果をアップロードできるモバイルアプリを提供している。後者は、2021年10月にエンボイがプラットフォームに追加した新機能だ。

クオーツでは、オフィスを利用したい従業員がスマートフォンにエンボイ・アプリをダウンロードし、ワクチン接種の証明書を提出すると、クオーツの管理者によって審査され、承認される、とスコギンズ氏は説明した。その後、従業員はオフィスへの訪問をスケジュールできる。

オフィスへ入る前に、従業員はチェックインの手続きをして、アプリ上で3から4つの健康に関する質問に答えなければならない。それがクリアされると、オフィスに入るためのエントリー・パスが提供される。

スコギンズ氏によると、アプリは自動的に机を割り当てることも、ユーザーが選ぶこともできるという。同アプリにはバーチャルマップ機能があり、従業員はその日誰がオフィスで働いていて、どこに座っているかを確認できる。チームがお互いの近くのスペースを予約して、直接協力し合うことができる。

需要高まるソリューション

エンボイのカスタマーサクセス部門を統括するレミントン・ウー氏はeメールのなかで、2020年6月にはこのアプリを利用するメディア企業の数が「最初の増加を見せた」と述べた。「パンデミック以来、我々の職場用ソリューションに関心を持つ企業が確実に増加している。一部の企業は従業員のオフィス復帰を歓迎しており、ほかの企業はその過程にある」と、ウー氏は述べた。

エンボイの広報担当者は、100カ国以上にある1万4000のオフィスに「数千人の顧客」がいると述べたが、正確な顧客数は明らかにしなかった。今月発表された同社の最新の資金調達ラウンドの発表によると、同社は2021年に、2019年と2020年を合わせたよりも多くの新しい収益を追加している。

ウー氏によると、エンボイはHulu、パンドラ(Pandora)、ライオンズゲート(Lionsgate)といったメディア企業とも提携しているという。従業員50人未満の企業向けには無料プランも用意されている。それ以上の価格は月額99ドルから299ドル(約1万1000円から約3万4000円)で、月額が高くなるほど企業はより多くの機能を追加することができる。

またエンボイは、職場の収容人数と、新型コロナウイルス感染症の検査で陽性となった従業員の接触者追跡も管理している。また、オフィスの容量が限界に達したときに管理者に警告し、混雑を防ぐために、それ以上の人が登録やサインインをできないようにすることもできる。コロナウイルスのアウトブレイクが発生した場合、アプリは感染した従業員のすぐ近くにあるデスクを予約した人物に基づいて、その人物と密接に連絡を取っていた人物を追跡するのに役立つ。

従業員の判断を後押し

ホテリング・ソフトウェアは、従業員が特定の日にオフィスに入るかどうかを判断するのに役立つ情報を提供できる。「もしコロナウイルスに関して非常に警戒している人物が、その日にあまりにも多くの人がいるのを見ると、彼らは 『別の日に行く』と判断するかもしれない」とスコギンズ氏は言う。あるいは、出勤している人が非常に少ない場合、従業員はわざわざオフィスに通勤することを望まず、より多くの同僚がいる日に出勤することを選ぶかもしれない。

「テクノロジーは、従業員が自分にとって最善な判断を下すことを後押ししている」とスコギンズ氏は言う。

[原文:Why publishers are using hoteling software to manage their hybrid workforces

LIsa Keltjes(翻訳:塚本 紺、編集:黒田千聖)

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