マーケターが注目すべき狭間世代、「 ゼニアル世代 」の価値観とは

DIGIDAY

マーケターは、ミレニアル世代でもZ世代でもない世代の消費者を見逃しているかもしれない。

1995年~2005年に生まれた、いわゆる「ゼニアル世代」のことだ。この狭間世代はユニークな消費習慣を持っていると考えられており、詳しく検討してみる価値がある。

世代はさらに細分化される

米DIGIDAYがエクスベラス・メディア(Exverus Media)とブランデッド・リサーチ(Branded Research)から入手した最新のホワイトペーパーによれば、この年代の人々はミレニアル世代と比べて、オンラインで過ごす時間が短く、ブランドロイヤルティが高いことが調査で明らかになったという。社会に出てから時間が経っている人もいれば、社会に出たばかりの人もいる「ゼニアル世代」は、ブランドロイヤルティや買い物の習慣を確立し始めたところにいる。

エクスベラス・メディアの推定によれば、米国には現在、約4000万人~4800万人のゼニアル世代が存在する。「ひとつの世代が20年にわたって続くことはもはやない。今や、状況はより急速に変化している。1995年生まれの人と2005年生まれの人の差は、以前より広がっているのだ」と、同社のマネージングディレクターで、このリポートの著者でもあるタリア・アーノルド氏は述べている。

「私たちがこの世代に興味を持ったのは、新しく社会人となって可処分所得を急速に増やしながらも、依然として文化のトレンドを生み出しているという、極めて重要な特質を兼ね備えているからだ」と、アーノルド氏は話す。「これまでミレニアル世代やZ世代とひとまとめにしていたが、この2つの世代との違いは驚くほど大きい」。

オーディエンスを世代で区切る見方は限界か

インフルエンサーエージェンシーのビリオンダラーボーイ(Billion Dollar Boy)でCEOを務めるエド・イースト氏も、ゼニアル世代については議論する価値があるとの意見に同意し、その理由として「オーディエンスを世代で区切る見方には大きな限界がある」ことを挙げた。

同氏のエージェンシーでは、ゼニアル世代を1993年~1998年生まれの人と定義し、クライアントに対してデモグラフィック(人口層)よりもサブカルチャーやマイクロカルチャーについて考えるようアドバイスしている。

「世代の幅は一般的に15年前後であるため、幅広い年齢層を同じように扱っていては、消費者が求めるパーソナライズされたアプローチを提供し、ブランド価値を向上できるようにはならない」と、同氏はいう。「もっと多くのサイコグラフィックデータに目を向ける必要がある。デモグラフィックよりも多くのことを学べるだろう。ブランドは自由に使えるデータをたくさん持っているわけだから、十分にできるはずだ」。

ミレニアル世代、Z世代とは異なる価値観

エクスベラスの調査は、米国の1200人以上の回答者を対象としたもので、その3分の2がミレニアル世代、3分の1がゼニアル世代だった。

ミレニアル世代とZ世代はデジタルネイティブとみなされているが、ゼニアル世代はデジタル技術を受け入れながらも、リアル体験やアナログ体験に価値を置いていることが、今回の調査で明らかになった。

また、ミレニアル世代と比べて、モバイルアプリを定期的に利用する割合が10%高い反面、ソーシャルメディアを利用する割合は10%低いことも判明した。この結果は、ゼニアル世代のソーシャルメディアへの投稿頻度が低いとする過去の調査結果と一致するもので、Z世代やミレニアル世代の回答者とは異なる点だと、エクスベラスは指摘している。

一方、ゼニアル世代はこの1年間でビデオゲームの利用時間が増えており、ミレニアル世代より77%も多かった。興味深いことに、AM/FMラジオを聴く時間もほかの世代より長く、ミレニアル世代と比べてラジオの聴取時間が29%長いとの結果が示されている。

調査対象のほぼすべてのカテゴリーで、ゼニアル世代はミレニアル世代と比べて、今後1年間に好みのブランドを変える可能性が低かった。飲料やパーソナルケアのブランドについては16%、ペット関連ブランドについては24%低い。ゼニアル世代は「家族を養うというプレッシャー」をまだ感じていないため、こうしたブランドを利用する時間が長くなっている可能性があると、リポートは指摘している。彼らはライフスタイルの劇的な変化をまだ体験していないためか、自身の環境にとって最適な製品を探す努力ができていない段階なのだ。

ゼニアル世代がZ世代の架け橋に

つまり、このゼニアル世代の消費者は価格に影響されにくく、「高品質と判断した」製品やサービスにより多くの金額を払ったり、購入前に製品レビューをチェックしたりすることをいとわない可能性が高いことが、この調査から見て取れる。

また、彼らは長期的な目標に備えた貯金への関心が高いようだ。自分でビジネスを始めることに関心がある人の割合はほかの世代より64%多く、退職やそのほかの投資について考えている人も多かった。ゼニアル世代の4人に1人は車を買うために、3人に1人は家を買うために貯金していると述べている。

イースト氏によれば、とくに若いオーディエンスにアピールするためのインフルエンサーコンテンツに関して、ゼニアル世代は「よりオーセンティックで(本物らしく)、社会的意識が高く、クリエイティブなコンテンツ」へのシフトを進めているという。その結果、彼らはキュレーションされ、手を入れられたコンテンツを好まないZ世代への架け橋になっているのだと、同氏は説明した。

「彼らが求めているのは、演出されておらず、意図が感じにくく、ありのままに近い姿を見せてくれるコンテンツだ」と、同氏は付け加えた。「彼らはコンテンツがあまりに洗練されているインフルエンサーよりも、誠実で気取らないインフルエンサーに引かれている。(中略)しかも、オーセンティックさ以上に、心理的なつながりを求めている。自分の人生が反映されているようなコンテンツを見たがっているのだ」。

次の若い世代であるアルファ世代を対象としたエージェンシーの調査については、こちらの記事を読んでほしい。

[原文:What marketers need to know about ‘Generation Zennial,’ from social media to buying habits

Antoinette Siu(翻訳:佐藤 卓/ガリレオ、編集:島田涼平)

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