50年近い歴史があり、頑丈なブーツで知られるフットウェアブランドのティンバーランド(Timberland)は、最近パンガイア(Pangaia)やジミーチュウ(Jimmy Choo)といったファッションブランドとともに革新的なスタイルを展開、コラボレーションに力を入れている。
2013年1月から、ティンバーランドは節目となるアニバーサリーを祝って、アクティベーションの1年を展開する。近年、ティンバーランドは、デザイン志向の高い若い世代の買い物客をターゲットにしたコラボレーションを推進し、より成功を収めている。
Advertisement
「デザイン主導のブランドとして、当社はコラボレーションを有意義な方法で考えている」とティンバーランドのCMOドリーケ・レンクネグト氏は述べた。「このパートナーシップはどのように当社をよりよくすることができるか、パートナーとして当社はどのように新たな空間を創造できるのか。そして、どのように製品を前進させ、消費者にインスピレーションを与えることができるのか、と私たちは自問している」。
コラボはカルチャーを消費者に近づけるための手段
ティンバーランドは年に少なくとも4回のコラボレーションに参加しており、2022年のパートナーはジミーチュウ、シュプリーム(Supreme)、パンガイア、ジュエリーブランドのヴェネダ・カーター(Veneda Carter)だ。「フレッシュで先進的な新たなアプローチを試し、カルチャーを消費者に近づけるための手段としてコラボを活用している」とレンクネグト氏は言う。「KPIに関しては、短い時間のなかでリーチ、インプレッション、エンゲージメント、セルスルーといったパフォーマンス向上を目指す」。9月に発売されたヴェネダ・カーターのコラボレーション・コレクションは、最初の24時間で80%が売れている。
「パートナーとコラボレーションするのは、自分たちだけではできないことを一緒にやれるからだ」とレンクネグト氏は言う。「ブランドを拡張し、定番商品を超えたものを築くことができる。1プラス1イコール3の効果だ」。
ティンバーランドをはじめ、VANS(バンズ)やディッキーズ(Dickies)を所有するVFコーポレーション(VF Corporation)は、10月に第2四半期の売上が3ブランド全体で前年同期比4%減となったと発表している。VANSは創業56年、ディッキーズは創業100年のブランドである。
人気ブーツをラグジュアリーなルックに
ティンバーランドはラグジュアリーフットウェアブランドのジミーチュウと協働し、5つのウィメンズスタイル、ふたつのメンズスタイルのコレクションを11月30日に発売した。ひとつのスタイルは、ティンバーランドのクラシックな6インチブーツにジミーチュウのシグネチャーであるキラキラしたデザインが特徴である。もうひとつは、ティンバーランドのハーネスブーツにブラックパテントレザーを組み合わせたスタイルとなっている。ジミーチュウのクリエイティブディレクター、サンドラ・チョイ氏と、ベッド・オン・ウォーター(Bed on Water)の創業者でハーレムファッションロウ(Harlem’s Fashion Row)のパートナーでもあるシャネル・キャンベル氏がデザインを考案した。その目的は、ティンバーランドの人気ブーツをラグジュアリーなルックにするというものだ。
「ハーレムファッションロウとシャネル・キャンベル氏と提携したことは、コラボレーションに新たな次元をもたらした」とチョイ氏は言う。「シャネルは真のニューヨーカーであり、この活気ある街の鼓動を生きており、その息吹をコレクションに吹き込んだ。私たちは、(3つのブランドの)DNAを組み合わせて、美しく、驚くべき作品を作り出した」。このコラボレーションは、ティンバーランドとジミーチュウの第二弾で、第一弾は2020年にローンチしている。
今回の新しいコラボレーションは、両ブランドのウェブサイトやインスタグラムとTikTokのアカウントで宣伝された。このコレクションは、世界中のジミーチュウとティンバーランドの小売店で購入できるほか、セルフリッジズ(Selfridges)、マイテレサ(Mytheresa)、ファーフェッチ(Farfetch)などのラグジュアリー小売など、同ブランドの販売業者でも取り扱われている。
レンクネグト氏いわく、ジミーチュウは女性向けのもっとも有名なラグジュアリーフットウェアブランドのひとつであり、理想的なコラボレーターである。ジミーチュウを所有するのはカプリホールディングス(Capri Holdings)で、同社のブランドポートフォリオの中でジミーチュウはもっとも小さいブランドである。4月2日に締め切られた同社の昨年度決算では、ジミーチュウの売上高は前年比46.5%増の6億1300万ドル(約811億円)だった。
完全な循環性を目指したコラボレーション
ティンバーランドは、会社を新しい方向へと推進する革新的なブランドとも手を組んでいる。10月には、素材科学企業のパンガイアとコラボレーションを行った。「パンガイアは、ファッション界をリードするエコ・イノベーターのひとつであり、私たちはどちらも、より環境に優しい未来へのビジョンに牽引されている」とレンクネグト氏は述べた。「当社の文化的アイコンであるオリジナルイエローブーツ(Original Yellow Boot)を、責任を持って育てられたゴムやアバカ植物の繊維などの再生可能な素材と、パンガイアのすばらしい色使いで実現した。また、ティンバーループ(Timberloop)のデザインプラットフォームを通じて、完全な循環性を考慮してデザインされたミュールのシルエットを作り出した」。現在も販売中のこのコラボレーションでは、「ギャラクシーピンク(Galaxy Pink)」、「パームグリーン(Palm Green)」、そしてティンバーランドのシグネチャーである「ウィート(Wheat)」のブーツがフィーチャーされている。
パンガイアにとって今回のコラボレーションは、使用されている素材に注目を集め、より広い買い物客層に素材の革新性をアピールするのに貢献している。このコラボレーションは、両ブランドのサイトやソーシャルメディアチャネルで宣伝され、パンガイアは売り上げの一部を草の根NGOを支援するトゥモローツリーファンド(Tomorrow Tree Fund)に寄付する予定だ。「私たちの目標は、再生可能な素材と傑出した配色を用いつつ、アイコニックなシルエットのクラシックなDNAに忠実であることだった」と、レンクネグト氏は述べている。
[原文:Inside Timberland’s collaboration strategy]
ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)