女性は人と仕事をするのが好きで男性はモノと仕事をするのが好き

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世界42カ国で働く人々のアンケート結果を分析した結果、女性は男性より人と接する仕事や活動を好む傾向があることや、男性は女性よりモノを扱う仕事を好む傾向があることが確かめられました。また、女性はアイデアを扱う仕事や、名声のある仕事が好きなことも判明しています。

Are Gender Differences in Vocational Interests Universal?: Moderating Effects of Cultural Dimensions | SpringerLink
https://doi.org/10.1007/s11199-022-01318-w

Women like working with people, men like working with things, all across the world
https://www.psypost.org/2022/12/women-like-working-with-people-men-like-working-with-things-all-across-the-world-64485

これまでにも、女性は男性より人との関わりが好きで、男性は女性より機械や乗り物が好きだということを示す研究が発表されてきましたが、そのほとんどは1つの国での調査で行われたものでした。中には、国境をまたいだ研究もありますが、そうした研究では男女平等が進んだ豊かな国であるほど、性差が大きいように見える傾向があります。これは、研究者の間で「男女平等のパラドックス」と呼ばれ、長年の謎でした。


男女平等のパラドックスの実態を探るべく、アリゾナ州立大学の心理学者であるChun Tao氏らの研究チームは今回査読付き科学誌・Sex Rolesで発表した研究で、世界的に読まれている英文誌「Time」が実施したオンライン調査のデータを分析しました。データには、193の国および地域に住む8万4393人が答えた職業に関する意識調査の結果が含まれていました。

研究チームはまず、最低でも男女30人以上が回答している国のデータを抽出しました。その結果、42カ国7万908人分の回答が残されました。次に、研究チームは仕事上での関心事を人・モノ・アイデア・データ・名声に分類して採点した上で、国連開発計画が作成したジェンダー不平等指数や、文化・国民性の違いを定量化したホフステッド指数を用いて各国の文化的な背景との関係を分析しました。

その結果、男女間の最も顕著な違いはやはり「女性は人と一緒に仕事をするのが好き」と「男性はモノと一緒に仕事をするのが好き」という違いとなって表れたとのこと。この傾向は国によって異なり、差が最も小さかったのはグルジア、最大だったのはベネズエラでした。


他にも、フィンランドとポーランドを除くすべての国で、「女性は男性に比べてデータよりアイデアを扱う仕事が好き」だということが判明しています。分析にかけた項目の中で最も男女差が小さかったのは名声で、総じて女性は男性よりも名声のある仕事に関心を持つ傾向があったものの、カナダ・チリ・フランス・ギリシャ・マレーシア・パキスタン・韓国・シンガポールの8カ国には当てはまりませんでした。

男女不平等の文脈では、「男女で不平等な国では、女性がモノより人との仕事を好む傾向は小さかった」と研究チームは報告しています。しかし、文化的な側面を考慮するとこの差はなくなってしまいました。

男女不平等より大きな影響があったのは、「不確実性回避」という要素です。これは、新しいことやそれまでなかったことをその文化のメンバーが嫌う度合いのこと。この不確実性回避の特性が強い文化の国ほど、人やモノに対する男女間での傾向に差が生じました。

今回の研究には、国によってはサンプル数が不十分なことや、回答者はその国の平均より高学歴で経済的にも裕福であることなど、いくつかの制限があります。その上で研究チームは、「この研究で得られた知見は、キャリアカウンセリングの専門家にとって重要な実践的示唆をもたらすでしょう」と述べました。

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