ついにファイザーの新型コロナ経口治療薬をFDAが承認へ

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アメリカで医薬品を規制するアメリカ食品医薬品局(FDA)が、ファイザーの開発する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)経口治療薬「PAXLOVID(パクスロビド)」の緊急使用許可を発行したと発表しました。ファイザーの経口治療薬は12歳以上かつ体重40kg以上のCOVID-19重症化リスクが高い患者に、発症から5日以内に処方されます。

Coronavirus (COVID-19) Update: FDA Authorizes First Oral Antiviral for Treatment of COVID-19 | FDA
https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/coronavirus-covid-19-update-fda-authorizes-first-oral-antiviral-treatment-covid-19


FDA gives emergency authorization to Pfizer’s COVID-19 pill | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2021/12/fda-gives-emergency-authorization-to-pfizers-covid-19-pill/

ファイザーが開発するパクスロビドは、新型コロナウイルスが自己複製するために必要な酵素の活性をブロックする「ニルマトレルビル(PF-07321332)」と「リトナビル」を組み合わせた治療薬です。ファイザーは2021年11月に「COVID-19による入院あるいは死亡リスクが89%低下した」という第II/III相臨床試験の中間報告を発表し、FDAに緊急使用許可の申請を行っていました。

ファイザーが新型コロナ治療薬「パクスロビド」投与で入院・死亡リスクが89%低下したと発表 – GIGAZINE


パクスロビドはCOVID-19発症初期の患者に対して効果が高く、ニルマトレルビル2錠・リトナビル1錠を1日2回、5日間にわたって合計30錠を服用する決まりになっているとのこと。また、パクスロビドを5日以上連続して使用することは認められていません。

副作用としては味覚障害・下痢・高血圧・筋肉痛などが報告されているほか、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)に感染した人が使うとHIV-1の薬剤耐性につながる可能性があるとのこと。また、リトナビルが肝障害を引き起こす可能性があるため、肝疾患や肝炎の患者に投与する場合は注意が必要だとFDAは述べています。

FDAの医薬品センター責任者であるパトリツィア・カバッツォーニ医師は「パクスロビドの承認により、経口摂取できる錠剤という形式では初となるCOVID-19の治療法が導入されました。これは新型コロナウイルスの世界的大流行との戦いにおいて大きな前進です。今回の承認が、パンデミックの重要な時期にCOVID-19と戦うための新しいツールを提供し、新しい変異株が出現する中でCOVID-19重症化のリスクが高い患者に抗ウイルス治療を施しやすくすることを約束します」とコメントしています。

ファイザーは年末までに利用できるようになるのは20万回分に満たないと述べており、2022年末までに1億2000万回分の投与量を生産するとしています。

なお、製薬会社のメルクが開発するCOVID-19経口治療薬「モルヌピラビル」は、2021年11月にイギリスとEUでの緊急使用が認められていますが、アメリカではまだ審査が行われている状態です。

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