Z世代向けの健康マーケティングに Roblox を活用するフィリップス・ノレルコ

DIGIDAY

美容ブランドやグルーミングブランドがTikTok上の誤った情報に対処するなか、フィリップス・ノレルコ(Philips Norelco)はプラットフォームを活用して、男性の健康に関する真実を広めている。

11月初旬、フィリップスのテクノロジーコングロマリット消費者部門であるフィリップス・ノレルコは、Robloxで男性の心身の健康を促進するアクティベーション「Movember(モベンバー)」をローンチした。同時に、同社のソーシャルメディアチャネル全般を通じてメンズヘルスの医師による健康アドバイスや情報の提供も展開している。このキャンペーン開始以来、RobloxのShavetopia(シェーブトピア)と名付けられたワールドには100万人のプレイヤーが集まり、4万3838時間を過ごしている。Robloxによれば、同プラットフォーム上でメンタルヘルスに焦点を当てたブランドアクティベーションとしては、これまででもっとも急速に成長しているもののひとつとなっている。またこれは、ブランド主導のもっとも人気のあるフィランソロピー・ブランドアクティベーションでもある。

医師と協働でメンズヘルスにまつわる正しい情報を提供

フィリップス・ノレルコは今回のキャンペーンで、同社が単なるグルーミングブランドではないというメッセージを押し出したいと考えている。フィリップス・ノレルコのグルーミング・マーケティングディレクター、ラファエル・ビエステル・ダ・シルバ氏によると、同社は主として技術のブランドだ。2022年の第3四半期決算報告では、グルーミングを含むパーソナルケア事業の売上が前年比4%増となり、第4四半期と2023年に向けてイノベーションに改めて注力すると報告している。同社は、1カ月にわたるMovemberキャンペーンに先立ち、10月27日にRobloxにShavetopiaワールドをローンチした。このキャンペーンへの正確な投資額については、同ブランドは言及を避けた。Robloxによると、プレイヤーの51%は男性で、60%はZ世代となっている。

「物理的な世界を超えてデジタルな世界へと、Movemberをめぐる社会的な会話を広げるためにShavetopiaをローンチした」と、ビエステル・ダ・シルバ氏は語る。「当社の使命は、人々の健康と幸福を向上させることだ。Movemberはメンズヘルスの様相を変え、自分自身を大切にすることの意義について広く話題を作り出している」。

フィリップス・ノレルコはテキサス大学サウスウェスタン・メディカルセンター泌尿器科腫瘍学フェローで公衆衛生学修士のジェイク・テイラー医学博士(インスタグラムのフォロワー数6万3000人)と提携し、キャンペーンのインスタグラムの部分に含まれる言語の開発を博士に依頼している。テイラー博士は男性の心身の健康に関する情報を提供し、誤情報と闘うことでソーシャルフォロワーを増やしてきた。ブランドは健康に関連したマーケティングに取り組む際、医療業界の専門家に頼る必要がある、と博士は言う。

若い世代が安心して自分の健康について語れるように

英国に拠点を置くナンバーセブン・ビューティカンパニー(No7 Beauty Company)などのブランドは、TikTok上の誤った情報に対処するための教育プログラムをローンチしており、一方で専門家は日焼け止めについてなど、より科学的なトピックに関する誤情報に取り組んでいる。

「私たちは未来のために、よりよい健康の世界を創り出している。メンタルヘルスであれ、糖尿病や心臓病などの疾患であれ、若いうちから早めの習慣を身につけておかなくてはならない」とテイラー博士は語る。「医師として、そしてひとりの父親として、若い世代が安心してこうした会話ができるような習慣を形成することは大切だ。これまでは多くのスティグマがあった」。

「特に最近の若い男性にとって、メンタルヘルスに関する会話は非常に重要であり、自殺などの問題にまつわる最新の統計によると、男性の自殺率は女性よりも4倍も高い」とビエステル・ダ・シルバ氏は指摘した。「男性の顧客が毎日使うブランドとして、その会話のなかで影響力を持つことも重要だ」。

RobloxのアクティベーションでZ世代にリーチし、資金と寄付を調達

Shavetopiaでは、Robloxの訪問者はいくつかのミニゲームを選択できる。それぞれのゲームでは、フィリップス・ノレルコの独自のパワーアップアイテムやゲームのエンハンスメントのほか、同ブランドでもっとも多用途なツールであるワンブレード(OneBlade)のビジュアライゼーションがフィーチャーされている。Shavetopiaのプレイヤーは性別に関係なく、アバター向けのさまざまな「ヒゲ」デザインを選択・購入できる。Shavetopiaには、Robloxで多くのファンをもつほかの4つの人気ゲーム、リテールタイクーン2(Retail Tycoon 2)、エマージェンシーレスポンス(Emergency Response)、リバティカウンティ(Liberty County)、タワーディフェンスシミュレーター(Tower Defense Simulator)へのポータルも用意されている。

さらに、フィリップス・ノレルコは、メンズヘルスの様相を変えることに取り組む非営利団体、モベンバーファウンデーション(Movember Foundation)に40万ドル(約5463万円)を寄付する予定だ。10月1日から12月31日の間に米国のCVSおよびウォルマート(Walmart)で販売されたすべてのフィリップス・ノレルコやワンブレードのハンドル1本につき、フィリップスは0.50ドル(約70円)、最大合計10万ドル(約1365万円)の寄付を行う。

フィリップス・ノレルコにとってRobloxが魅力となったのは、慈善団体との提携の人気が高まっている点と、Z世代をターゲットにする機会があったことだった。ヴィクトリアズ・シークレット(Victoria’s Secret)のティーン向けブランド、ハッピー・ネーション(Happy Nation)も、6月にRobloxのアクティベーションを通じて資金調達と寄付に力を入れている。ハッピー・ネーションがRobloxの「BayView(ベイヴュー)」ワールドに初めて参加したインテグレーションでは、開始から6週間で、貧困の中で暮らす子どもたちに下着を提供する慈善団体アンディーズ・フォー・エブリワン(Undies for Everyone)に1万500件の寄付が集まった。また、フットウェアブランドのレッドウイング(Red Wing)は、11月にRobloxを通じてホームレスのための住居改善チャリティプロジェクトをローンチしている。

「インスタグラムのような従来のメディアチャネルではZ世代にリーチしにくいため、当社ではZ世代にアピールする方法を見つけようとしている。Robloxのようなさまざまな手段を活用し、男性の心身の健康をめぐる会話をより有機的な方法でもたらすことが重要だ」とビエステル・ダ・シルバ氏は述べている。

[原文:Philips Norelco is using Roblox to market health to Gen Z]

ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

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