「 ボディポジティブ なシェイプウエア」という矛盾に新規ブランドはどう取り組んでいるのか?

DIGIDAY

シェイプウェア(補正下着)分野が活況を呈している。キム・カーダシアン氏のブランド、スキムズ(Skims)が30億ドル(約3850億円)の評価を受けたニュース、リゾ氏のイッティ(Yitty)のローンチ、昨年にD2Cシェイプウェアブランドが多く登場したことなどを考えるとこのカテゴリーが巨大なビジネスであることは明白だ。

世界のシェイプウェア市場が成長を続けるにつれ(2027年までに33億ドル(約4240億円)に達すると予想されている)、ブランドの表現方法にも変化が起こりつつある。伝統的に補正下着というのは体を細くスムーズに、引き締まって見えるようにするのが目的だった。たとえば、スパンクス(Spanx)は今でも「スキニーブリッチ(Skinny Britches)」コレクションを販売している。しかし、シェイプウェアを扱う新規ブランドの多くはボディポジティブで(あらゆる体型やサイズを含む)ボディインクルーシブの動きと結びついている。たとえば、インクルーシビティはイッティのローンチにおいて大きなセールスポイントだった。ホームページでは、イッティは「あらゆる体のためにデザインされた」「再定義されたシェイプウェア」と謳われている。

そのままの体型を受け入れるのか、理想体型を目指すのか

リゾ氏は「ボディニュートラル」という言葉のほうが好きだというが、これまでボディポジティブについて頻繁に語っている。

このテーマには本質的な矛盾が存在する。11月、オンラインファッション雑誌『スティッチ(Stitch)』の記事が指摘したのは、スキムズのマーケティングはありのままの身体を受け入れようというメッセージを発信し、オンラインストアでは「あらゆる身体のためのソリューション」と自称しているにもかかわらず、スキムズはウエストトレーナー製品を依然販売しており、製品の説明文では「理想的なシルエット」を実現するということが謳われている。

いまの補正下着デザイナーのなかには矛盾を感じていない人もいる。社歴3年のシェイプウェアブランド、カーヴウェア(Kurvwear)の創設者であるアリーシャ・アスレア氏によると、重要なポイントは、シェイプウェアを自分の意図に関係なく押し付けられているように感じるのではなく、着用する本人が望む外見を演出できるようにするのがベストであるという。

「いまでは、美しさにはさまざまなサイズやシェイプ、色があるという事実が社会的に讃えられている」とアスレア氏。「もはや『理想的な』体型はない。個人の選択や意識による。社会が決めた理想に基づいてデザインされ事前に決められている補正下着に体を押し込めるのではなく、自分の美意識に基づいて外見を選ぶ力を人々は与えられているのだ」。

スリムに見せることを目的としないシェイプウェア

ブランドがシェイプウェアとボディポジティブの矛盾を解消して調和する方法のひとつには、スリミングを重視しないことがある。

「従来のシェイプウェアは、着用する人をできるかぎりスリムで痩せて見せるようにする圧縮性のある製品だ」とアスレア氏は述べている。しかし、カーヴウェアではふくよか体型の曲線を抑えるのではなく、それを強調する製品に注力している。たとえば、ショーツは人気のあるブラジルのバットリフト施術(豊尻手術)に言及して、「施術料金もかからず、リスクや術後の回復も不要なブラジリアンバットリフト」と謳って販売されている。

アスレア氏によると、標準に従うのではなく顧客が自分のために着飾ることにフォーカスしているカーヴウェアはトランスジェンダーの人々やドラァグパフォーマーから支持されているという。

シェイプウェアへの偏見を取り除くブランドの試み

また、シェイプウェアブランドらは顧客にその着用を隠したり恥じたりしないように奨励して、この分野を発展させている。2019年設立のシェイプウェアブランド、シェイプLLX(Shapellx)は16.7万人のフォロワーを抱えるインスタグラムに着用方法のインスピレーションを定期的に投稿しては、同社の製品を下着として、また服として見せて着用する方法の両方を教示している。

同社のマーケティングマネージャーであるヴィタ・ツェン氏によると、シェイプウェアを着ることへの偏見を取り除く目標があるという。

「シェイプウェアを着るのを恥じる必要はない」とツェン氏。「自分の気分をアップする自由と力は誰にでもある。シェイプウェアはもはや隠すものではない。Tシャツのように毎日着られる普通の服のひとつだ」。最近目にするシェイプウェアのトレンドはこの新しい受容を裏付けるものだ。

[原文:How new brands are reconciling the contradiction of ‘body-positive shapewear’

DANNY PARISI(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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