TikTok はソーシャル&教育チームの役割をどう変えたか【ビューティ&ウェルネスブリーフィング】

DIGIDAY

TikTokが広告にとって重要であることは、疑う余地がない。その重要性を語ることにさえ、もはや感慨はない。それよりも興味深いと思うのは、個人として、ブランドとして、そして個人とブランドとのあいだのパラソーシャルな関係としてのソーシャルメディアプラットフォームと私たちの関係性だ。

11月14日~16日に開催されたGlossyビューティ&ウェルネスサミット(Glossy Beauty & Wellness Summit)では、幾人ものブランドの創業者やエグゼクティブがTikTokの大きな影響について、つまりそれがソーシャルとビジネスの風景をどのように変えたかについて触れた。私は過去にも、TikTokがどのようにしてニッチなパーソナリティタイプの美のジェネレーターやプロデューサーになったかという8月の記事などでその一端を報告している。ビューティサミットでは、TikTokには独自の用語(「セックス(sex)」を「セッグズ(seggs)」、「デッド(dead)」や「ダイ(die)」を「アンアライブ(unalive)」とするなど、検閲を避けるための用語もいくつかある)やサウンド、トレンドがあるということが何度も言及されていた。以前、私はブランドの音のアイデンティティに関連する音声について探っている。

TikTokでのインフルエンサーの活用法

「TikTokには独自の専門用語、トレンド、音声がある。TikTokは動きがあまりに速いので、トレンドについては、事前に多くのコンテンツを制作することはできない」。サマーフライデーズ(Summer Fridays)の共同創業者マリアンナ・ヒューイット氏は、Glossyの西海岸特派員リズ・フローラ氏が司会を務めたセッションでそう述べた。「TikTokがすばらしいのは、まったく新しい世代のインフルエンサーやクリエイターがいることだ。インフルエンサーの活躍の場が広がり、すぐれたニッチなアカウントも非常にたくさんある」。

2022年の初めに、サマーフライデーズは日焼け止めをローンチし、日焼け止めを特に取り上げているインフルエンサーと協働したいと考えていた。TikTokは多くの意味で新たな検索エンジンとなり、チームはそのトピックを扱っているインフルエンサーを容易に見つけることができた。だが、課題は、うまくいきそうな複数の動画にブランドが分散して賭けることで損失を避けることだった。人は一夜にして有名になることもあるため、要するにブランドは、特にTikTokのインフルエンサーを雇うコストが上昇しているときに、単に最大かつもっとも注目すべき人物を選んで成功を収めるということができない。サマーフライデーズは原則として、あらゆる人のリーチは異なるため、さまざまなフォロワーがいる人々に無料の製品を送る。多くの場合、サマーフライデーズはすでに投稿されているオーガニック動画を検索し、その動画のクリエイターにその動画の使用料をオファーしたり、TikTokの有料ブースト機能を使って動画をブーストすることを提案する。これはブランドにとって、オーセンティックな動画を見つけつつ、予算内でリーチを拡大するためのハイブリッドな方法だ。

キャロルズドーター(Carol’s Daughter)を含むロレアル・マルチカルチュラルビューティ(L’Oréal Multi-Cultural Beauty)のグループマネージャー、エリカ・カルペッパー氏は、チームがTikTokのコメントをもとに新製品やソーシャルコンテンツのアイデアを開発してきたと話す。さらに、チームはTikTok用に独自の用語を開発し、男性用脱毛ブランドのマジック(Magic)のために独自のインフルエンサーをインキュベートしている。マジックは、パッケージに黒人男性向けの処方と書かれているが、黒人以外の女性がその使用を宣伝しているのがわかり、TikTok上でセンセーションとなった。その結果、マジックの売上は2021年に4倍になったという。

Z世代はTikTokとYouTubeを通じて教育されている。

このような小さいが力強い変化は、組織の運営方法の輪郭に影響を与えるが、TikTokが消費者とその行動を変えるという、より大きな影響も忘れてはならない。一方では「TikTokに買わされた」というような楽しいトレンドがあり、これは商品のバイラリティを加速させている。また他方ではより悪質な問題もある。たとえば、そのアプリで学んだことをもとに精神疾患について自己診断したり、さらには他の動画から浴びたチックを脳が模倣して、身体的にチックを発症したりするケースもあるのだ。

「ミレニアル世代は(テレビの)チャンネルで成長するにつれ、すべてのコンテンツを消費したが、一方、Z世代はTikTokとYouTubeを通じて教育されている。TikTokやYouTubeが何であるかを考えるなら、それらは本質的に人々やクリエイターが自分の主観的な経験をもたらすためのプラットフォームだ」と、サミットで述べたのは、スキンケアのバブル(Bubble)の創業者でCEOのシャイ・アイゼンマン氏だ。

アイゼンマン氏は、多くの主観的な体験は、そうでない場合でも、しばしば客観的な真実として喧伝されることがあると述べた。バブルがTikTokで顧客とコミュニケーションを取る上でナビゲートしなくてはならない課題だ。アイゼンマン氏によれば、バブルを開発中の2018年、消費者やインフルエンサーのあいだでは、まだメイクアップがトップに君臨していた。しかし、2020年春にスキンケアが優位にとってかわる大転換が起きた際、バブルはeコマースサイトにスキンスクール(Skin School)というセクションをローンチし、自分の肌やニキビ、バブルの製品について学ぶよう人々を促した。

「私たちは常に、非常に消化しやすく、しかし低レベルにならないように人々を教育する方法を創造している」と彼女は言う。「わかりやすいが、非常に単刀直入に語りかけたい。なぜなら、真実はときにグレーであり、白でも黒でもないからだ。消費者が理解できる手助けをすることが非常に重要だ」。

Z世代とミレニアル世代にとって重要なのは本物であること

子供たちがいかに心身相関のエコーチェンバーの中で生きているかを認識したところで、もっと軽い話題に話を移そう。TikTokが変えないものがひとつある。それは、本物であることだ。Huluが「広告体験」(と書くと呆れてしまうが)を選択させようとどんなに賢く立ち回っても、私たちは皆、広告を嗅ぎ分けることができる。そして、Z世代と若いミレニアル世代は、自分たちが本物でない、あるいは魅力的でないと考えるブランドや人々を批判する姿勢に特に誇りを持っている。

それをもっともよく表しているのは、カルペッパー氏の「市場は競争が激しく、私はブランドに対して情熱を持って関わっていない人にお金を払う余裕はない」という発言だ。

そして彼女は次のように付け加えた。「そうした関係性が違いを生む。なぜなら、彼らや彼女たちがコンテンツを作るとき、意義があり、情熱をもって気にかけている場所からそのコンテンツが生まれるからだ」。

[原文:Beauty & Wellness Briefing: How TikTok changed the role of social and education teams]

EMMA SANDLER(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

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