「 キャンディークラッシュ は次の10年も驚きや喜びを与える」:キング プレジデント チョドルフ・ソメスタッド氏

DIGIDAY

世界で最もインストールされているモバイルゲームのキャンディークラッシュ(Candy Crush)は11月14日、リリースから10周年(iOS版)を迎えた。これを記念し、新しいオーケストラのサウンドトラックやスタイルなど、大幅なブランド刷新が進められている。

Facebook向けのブラウザゲームとしてスタートした同ゲームは、これまでに30億回以上ダウンロードされている。全世界の3分の1を超える人が、中毒性の高いこのマッチ3ゲームに慣れ親しんでいるということだ。無料でプレイできるゲームだが、長く遊べば、最終的に、ほぼ確実にお金を支払うことになる。そうすることでフリクションレスになり、それがサービス全体の魅力でありポイントとなっている。

しかし、スウェーデンのストックホルムに拠点を置くキング(King)のクリエイターたちにとって、ゲーム内購入は唯一の収益源ではない。2016年にアクティビジョン・ブリザード(Activision Blizzard)に買収されてから、キングは少しずつゲーム内広告を導入してきた。最近では、有料のブランドアクティベーションや有名人のタイアップの舞台としてキャンディークラッシュを利用し始めている。

Appleのデータトラッキングポリシーの変更やマイクロソフト(Microsoft)によるアクティビジョン・ブリザードの買収など、さらなる激動が待ち受けるなか、米DIGIDAYはキングのプレジデント、チョドルフ・ソメスタッド氏を取材し、最初の10年を難なく乗り切ったキャンディークラッシュがこれらの嵐をどう乗り切るかについて話を聞いた(編集者注:本記事の記者は2日間のプレスツアーとしてキングの本社を訪問。アクティビジョン・ブリザードが旅費と宿泊費を負担した)。

なお、読みやすさを考慮し、以下のインタビューには編集を加えている。

◆ ◆ ◆

――ゲーマーでない人のためのゲームという評価は、妥当だと思うか?

私たちは非常に多様なオーディエンスを抱えており、おそらくほかの多くのゲームより多様だ。そのような観点では、妥当な評価だと思うが、ゲーマーの定義とは何かという疑問はあるかもしれない。子どもを学校に迎えに行くときも、職場から帰宅するときも、定義としては、ゲームをしている限りゲーマーだ。ただし、ゲームをしていても、必ずしも自分のことをゲーマーだとは思っていないかもしれない。

幸運にも、私たちには両方のオーディエンスがいる。本当に熱狂的で、ほかのゲームをたくさんプレイしている人もいる。そのような人はハードコアゲーマーといえるだろう。しかし、キャンディークラッシュは、ほかのゲームはしないがキャンディークラッシュはプレイするという人たちにもリーチしている。

――ブランド刷新は既存プレーヤーの維持が目的? それとも、新しいプレーヤーを取り込むためのもの?

二者択一ではないと思っている。大ざっぱにいえば、キャンディークラッシュのインストール数は30億回を超えており、世界中の多くの人が体験している。そして、プレーヤーにとって、新しく、新鮮で、これからの10年も関わり続けてくれるような心躍るものが必要だと私たちは考えている。1年前、10年前と同じゲームだと感じさせてはいけない。つまり、私たちは両方のプレーヤーをターゲットにしている。忠実なプレーヤーにゲームの進化を楽しんでもらいながら、一度離れて戻ってきた人や初めての人に驚きと喜びを与えたい。

――最近行われたAppleのATT(App Tracking Transparency)のルール変更は、ビジネス面にどのような影響を与えた?

当然ながら、業界だけでなくあらゆる場所で変化が起きているため、ゲームの運営方法に影響が出ており、そこから学ぶこともある。しかし、ビジネスモデルへの影響はあまりない。キャンディークラッシュはいつも同じゲームだ。無料ゲームとして提供するモデルはこれまでと同じで、お金を支払うかどうかの選択肢はプレーヤーに与えられている。ここ数年は、広告を見る機会も提供している。そのため、ATTをはじめ、業界で起きている変化から学び、適応を試みることはあっても、キャンディークラッシュのゲームやビジネスモデルの中核が大きく変わることはない。

――マイクロソフトが独自のゲーム内広告プラットフォームの構築を検討していると報じられている。同社によるアクティビジョン・ブリザードの買収が進むなか、キャンディークラッシュはそれらの計画にどう組み込まれるのか?

正直なところ、私たちは独立した会社として活動している。私たちは5年ほど前に広告を始めた。独自の技術スタックを構築し、キャンディークラッシュをはじめとするキングのゲームに広告を導入する方法を見つけた。それはプレーヤーにとって有効なアプローチだと思っているし、現在の技術スタックにとても満足している。将来的にマイクロソフトと何らかの形で提携することになれば、それを学んで変化することになるが、今の時点では気にしていない。

――ここ数年で優先的に開発したマネタイズの形態はあるか?

端的にいうと、答えはノーだ。私たちは無料プレイを続けながら、ゲーム内でプレーヤーが関わるかどうかを選択できる製品をベースに、プレーヤーに適切なものを提供する方法を進化させ続けている。この1年は、代替モデルのようなものとして、ゲーム内に広告を導入している。そして、それにかなりの時間を費やしてきた。いくつかのイノベーションを実行し、技術スタックを進化させながら、それを洗練させ、プレーヤーから学ぶことを続けている。そのため、この1年は広告体験を洗練させ、増強することに注力しているが、現在の環境にはとても満足している。

――キャンディークラッシュのブランドについて、ゲーム以外で行っていることを教えてほしい。同ゲームのIP(知的財産)は「絵文字の国のジーン」などの映画にも登場している。自社のIPをアクティビジョン・ブリザードのほかのゲームに組み込むことについて、開発者などと話をしているか?

ファミリーの一員として、アクティビジョン・ブリザードとはさまざまな話し合いを行っており、長年にわたってパートナーシップを結んできた。IP関連のパートナーシップについて、もうすぐ何かが実現するということはできないが、私たちはさらに多くの機会を見据えているという意味では、質問の答えはイエスだ。

明らかに、キャンディークラッシュはとても健全な状態だ。キャンディークラッシュのIPを活用する相手はますます増えている。私たちはさまざまな形でそれを実現する方法を考え、キャンディークラッシュのIPをゲームの外に存在させながら、外の世界をゲームの中に取り込もうとしている。そして今、いくつかのパートナーシップを模索している。最近の例はメーガン・トレイナー氏との提携だ。映画などのパートナーシップも過去に何度か行っており、これから増えていくと思っている。

[原文:How Candy Crush wants to expand even more on its 10th anniversary

Alexander Lee(翻訳:米井香織/ガリレオ、編集:島田涼平)

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