かわいい見た目だけど超絶技巧が。
コストを度外視してとにかく究極の時計作りを目指すリシャール・ミル。コンセプトとして「腕時計界のF1」を掲げるだけあって、市販モデルとは一線を画したハイパーなプロダクトを、クルマではなく時計で具現化しているブランドです。
加工の難しい高級素材を贅沢に使い、腕利きの職人でなければ組み立てることのできない複雑機構も当然のように取り入れる。21世紀発の新興ブランドでありながら、すでに時計ファンに一目置かれる存在となっているのは、こうした妥協なき姿勢にあるといえます。
ハイレベルな彫金技術
そんなリシャールの新作「RM-88」はかなりポップなデザインを取り入れています。アイキャッチはフランクリン・ルフラーニが50年前に商標登録したスマイリーマーク。平和の象徴であり、サマーオブラブやアシッドハウスなどのサブカルチャーにも引用されてきたポップアイコンです。
そのスマイリーマークを取り囲むように、パイナップルやサボテン、フラミンゴ、カクテルグラス、虹と雲などの楽しげなデザインが盤面を飾っています。一見楽しげなデザインですが、よく見るとリシャールならではの彫金技術があってこそ可能なハイレベルさ。例えばカクテルグラスのパーツはわずか0.4gのゴールド。このスケールにここまで細やかな彫金を施す技術はさすがですね。
ただでさえ製造が難しいスケルトンのトゥールビヨンムーヴメントですから、配置のバランスも綿密に計算されているはずです。地板やブリッジはマイクロブラスト仕上げによるグレード5チタンにPVD加工を施して、軽量かつ強剛性を実現するなど、パーツも徹底的にブラッシュアップされています。ケースはレッドゴールド製で、ホワイトセラミックのベゼルと裏蓋でサンドイッチしたような構造。設計は堅牢で50mの防水性も備えています。
驚くべきはそのお値段。122万ドル(約1億7600万円)。このブランドらしく庶民とはかけ離れた雲上の世界です。ゴールドケースとはいえ、豪華な宝石を使っているわけでもないモデルでこの値付けというのは、彫金とムーヴメントの技術に自信がある表れでしょう。
だけど、これだけの高額モデルなのに、製造本数50本とかなり多めなんですよね。世の中にはこれが買える人がそれだけいるってことですよ。ふわぁ〜(溜息)。
Source: Richard MIlle