沖縄初のアマゾン配送拠点「豊見城DS」を現地取材–沖縄県内で翌日配送が可能に

CNET Japan

 アマゾンジャパンは11月4日、8月末に豊見城市(とみぐすくし)で稼働を開始した沖縄県初の配送拠点「豊見城デリバリーステーション(DS)」を、メディアに初めて公開した。

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 アマゾンのDSは、注文された商品を全国のフィルフィメントセンター(FC)などから集約して配送する、ラストマイルデリバリーの起点となる場所だ。豊見城DSは那覇空港から5kmほどの距離で、那覇自動車道 豊見城の名嘉地ICにも近い、大和ハウスが建設した沖縄県最大規模のマルチテナント型物流施設内にある。全国で45カ所あるDSのうち、2022年に新設された18カ所の1つで、最南端のDSとなる。

豊見城DSが入居するマルチテナント型物流施設(提供:アマゾン)
豊見城DSが入居するマルチテナント型物流施設(提供:アマゾン)
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建物の1階で荷卸しや商品スキャンなどの作業を行う
建物の1階で荷卸しや商品スキャンなどの作業を行う

 従来のフェリー便に加えて羽田空港から荷物を空輸できるようになり、700万点以上の商品で翌日配送が可能になる。独自配送サービス「Amazon Flex」も開始され、これまで注文から5〜7日以上ほどかかる場合もあった配送時間が翌日になるなど、大幅に短縮。さらに置き配サービスの利用も始まる。

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2階は配送エリアでAmazon Flexのドライバーはここで荷物の受取りや積み込み作業を行う
2階は配送エリアでAmazon Flexのドライバーはここで荷物の受取りや積み込み作業を行う

 対応エリアは注文の時点で置き配がデフォルトになり、玄関先に荷物を置くほか、宅配ボックス、ガレージなどの場所を指定可能。対面での手渡しを含む6つの配送方法を選ぶことができる。利用者の利便性が高まるだけでなく、多くの通販サービスで課題とされている再配達による配送ドライバーの負担を軽減し、CO2の排出削減などのサスティナブルにも貢献する。

 日本のアマゾンロジスティクス(AMZL)のトップであるディレクターのAwanish Narain Singh氏は、沖縄にDSを新設した理由として「今後の需要拡大が見込まれ、物理的に土地が見つかったこと」を挙げている。さらに「私たちは何よりもまず安全を重視しながら、迅速で効率的なサービスの提供を目指す」ことを強調し、「そこで必要となる多様でやりがいのある仕事の機会を数百人の方々に創出する」と述べた。

「沖縄は市場として見込みがあることが豊見城DS進出の理由」と話す、AMZLの日本トップであるディレクターのAwanish Narain Singh氏
「沖縄は市場として見込みがあることが豊見城DS進出の理由」と話す、AMZLの日本トップであるディレクターのAwanish Narain Singh氏

 具体的な従業員数や施設の規模は公表されなかったが「これから年末にかけて利用が増える時期でもあり、DSの開設で利用者が伸びれば、規模の拡大やDSを別の地域に新設することも検討する」とコメントしており、その中には、全国2000カ所にあるアマゾン・ロッカーを設置することも含まれる。

 強調する安全性について、AMZLで西日本エリアを担当するリージョナルオペレーションズのディレクターを務める舟木潤田氏は「沖縄は年を通じて気温が高いので熱中症対策を重視し、空調ベストを着用するなどしている。ドライバーには台風が接近した時の対応などを含め、Amazon Flexアプリを通してさまざまな情報を提供する」と話す。

AMZLで西日本エリアを担当するリージョナルオペレーションズ ディレクターの舟木潤田氏
AMZLで西日本エリアを担当するリージョナルオペレーションズ ディレクターの舟木潤田氏

 Amazon Flex は、20歳以上で黒ナンバーを取得した軽貨物自動車を所有し、貨物経緯自動車運送業者として各運輸局に登録され、必要な保険に加入しているなどの条件を満たし入れば誰でも応募できる。発表会ではドライバーが荷物を積み込む様子も公開された。

 仕分けされた荷物はあらかじめ配達先別に、同じサイズで色が異なる専用バッグに入れられており、ドライバーはバッグにあるコードをアプリで読み込み、配達車両に積み込む。バッグは出し入れしやすく、配達する商品も見つけやすいので、それだけでかなり効率が高まるという。

デリバリーのバッグをはじめ配送効率とスピードを高める工夫が取り入れられている(提供:アマゾン)
デリバリーのバッグをはじめ配送効率とスピードを高める工夫が取り入れられている(提供:アマゾン)
ドライバーの作業の様子もメディアに初公開した
ドライバーの作業の様子もメディアに初公開した

 ほかにも、DS内の作業効率も高めるためのさまざまな技術が導入されている。また、FCで導入されているロボティクス技術やオートメーション化などの最先端技術についても、今後必要があれば状況に応じて採用するとしている。

 現時点でAmazon Flex が対応するエリアは那覇市をはじめ、豊見城市、宜野湾市(ぎのわんし)など10の市町村で、それ以外のエリアでの配送は佐川や日本郵政など既存のデリバリープロバイダーでの対応を継続する。Singh氏は「実際にどのようなニーズがあるかは運用を始めなければわからないところもあるので、DS内の運用も含めて今後も細かく見直しをしていく」と延べた。

置き配のニーズなど実際に始めてみなければわからないこともあるので、状況を見ながら今後の運営を見直していくという(提供:アマゾン)
置き配のニーズなど実際に始めてみなければわからないこともあるので、状況を見ながら今後の運営を見直していくという(提供:アマゾン)

 豊見城市は国が沖縄で進める国際物流拠点産業集積地域の1つであり、特区として産業集積を図るため豊見城DSの周囲では大規模な整備工事が行われている。国内を中心に多くの企業進出が進むエリアで、アマゾンの進出がどのような影響を与えるのかも気になるところだ。

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