エディー・バウアーがレンタル&リセールプログラムで描く成長戦略:「ブランドを知ってもらう手段になる」

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アウトドア用アパレルを販売するエディー・バウアー(Eddie Bauer)にとって、リセールとレンタルの両方を含む同社の衣服・ギアリサイクルプログラムは、単にサステナビリティの目標を達成するためのツールにとどまらない。同社はこのプログラムを、より多くの人々にブランドを知ってもらうための手段であるとも考えている。

より多くの選択肢を提供する

同社は昨年夏、同社のサーキュラー(循環型)コマース戦略の基盤となるリ・アドベンチャープログラム((Re)Adventure Program)を発表した。このプログラムは当初、買い物客がギアやアパレルをレンタルするオプションを提供するものだった。同社は7月に、このプログラムを拡大してリセールも開始した。

エディー・バウアーのアウターウェアは、定価で約200ドル(約2万8800円)から429ドル(約6万1800円)だ。しかし、リ・アドベンチャープログラムを使うと、この価格が、レンタルなら1日10ドル(約1440円)、リセールなら146ドル(約2万1000円)程度まで価格の壁を低くすることができる。エディー・バウアーは、購入のためのより多くの選択肢があれば、より多くの人々がブランドのことを知り、コストを心配せずに商品を試してもらうことができるようになると、米モダンリテールに語った。

エディー・バウアーのマーケティング担当バイスプレジデントであるクリスティン・エリオット氏は次のように語っている。「すぐに、レンタルの泊数が増えはじめた。人々は最初、ギアを2泊借りていたが、すぐに泊数は4泊を超えた。人々はより多くのギアを、長期間にわたってレンタルするようになり、それからレンタルを利用する人々の数も増えていった。現在までに、レンタルの平均日数は5.6日に伸びた。

レンタルの収益が4倍近くに拡大

1920年創業のエディー・バウアーは、約300店舗を構え、ジャケットやフットウェア、トレッキングポール、キャンプチェアなど、アウトドアウェアやギアを提供している。同社のレンタル数量は今年の2月から8月まで毎月増加を続け、レンタルプログラムの収益は2月から8月までに378%増となった。一方、同社の注文は867%も増え、レンタルしたユニット数も同じ期間に614%の伸びを記録している。

エリオット氏は、同社が何年にもわたり、フルプライスの実店舗とオンライン店舗に加えて、アウトレット店舗も重視してきたと語っている。レンタルまたはリセールブログラムを立ち上げるアイデアは、正式な立ち上げの何年も前に構想されており、技術やリバース・ロジスティクス企業のアライブ(Arrive)と提携したことでようやく実現した。アライブは商品のクリーニングと修理を受け持ち、エディー・バウアーに替わって作業を行う完全なカスタマーサービスチームを運営している。

同氏は次のように述べている。「人々は、できるだけ多くの異なるアパレルやギアを試す機会を望んでいる。当社は、人々がエディー・バウアーでの衣服の入手方法について選択肢を求めていることを認識しており、可能な限り多くの選択肢を提供したいと考えている」。

レンタルの上位カテゴリーには、テントやキャンプ用具がある。もっとも人気のレンタルアイテムは、カーボンリバー6テント(Carbon River 6 Tent)、バックパックチェア(Backpack Chair)、オリンピックエアー10テント(Olympic Air 10 Tent)、コンフォートキャンパー2.0スリーピングバッグ(Comfort Camper 2.0 Sleeping Bag)などがある。

アウトドアブランドと再販・レンタルの相性

エディー・バウアーは、最初にアウトドア用品でリセールのテストを開始し、今年からリセールプログラムを拡大して、アパレルも含めるようになった。リセールで販売した商品の一部は、レンタル商品だったものもあり、また、買い物客がエディー・バウアーの小売店や同社のウェブサイトを通じて返却した商品もある。

エモリー大学(Emory University)のビジネススクール(Business School)の助教授を務めるダン・マッカーシー氏は、レンタルおよびリセールプログラムは、特に買い物客が商品の物価上昇の影響を受けている現在、小売業者のあいだで普及しつつあると語る。

アウトドアの小売業者は、レンタルおよびリセールの市場で特に活発な動きを見せてきた。アウトドアウェアブランドであるパタゴニア(Patagonia)とアークテリクス(Arc’teryx)は独自の下取りビジネスを発表した。同様に、ディックススポーティンググッズ(Dick’s Sporting Goods)とそのパブリックランズ(Public Lands)バナーは、オンラインプラットフォームのアウトアンドバック(Out&Back)を利用して、アウトドア用品専門に特化した買い取りプログラムを店舗内に導入した。

マッカーシー氏は次のように述べている。「アウトドアブランドはたしかに、環境保護主義にアピールする。一般的なアパレルを幅広く販売する企業と比べて、そのポジショニングを重要視する顧客層は相当数存在する」。

自社で運営する利点と課題

デジタルコンサルティング会社のCI&Tの小売戦略ディレクターを務めるメリッサ・ミンコウ氏は、一部のブランドは、自社商品をサードパーティーのマーケットプレイスで購入する買い物客を奪い返すため、自社内でレンタルおよびリセールプログラムをはじめようとしていると語る。社内のレンタルおよびリセールプログラムを保有することで、ブランドは自社の中古商品の位置づけをコントロールできると、同氏は述べる。

しかし、レンタルおよびリセールはフルプライスの販売とはまったく異なるビジネスだと、同氏は語る。レンタルおよびリセールのビジネスを追加することで、運用やロジスティクスの複雑性が増す。さらに、消費者のあいだでブランドの評価が下落しないよう、中古アイテムには厳格な品質管理が必要になるとも、同氏は述べる。

同氏は次のように述べている。「リセールやレンタルのプラットフォームを単に立ち上げるだけでは、消費者から見ていい結果にはならない。この分野でもっとも成功する小売業者は、このほとんど別のビジネスに必要なすべてのリソースを専任で用意し、これを別のビジネスとして扱った業者だと、私は考えている」。

エディー・バウアーのエリオット氏は、同社が現在プログラムの改良に取り組んでいると語る。同社は、たとえばより多くの種類のフットウェアを提供するなど、リ・アドベンチャープログラムの商品について、「幅と深さ」を持たせたいと考えているという。また、将来的には、下取りプログラムの導入も視野に入れている。

リ・アドベンチャープログラムを閲覧しようとする顧客は、現在のところ、エディー・バウアーのメインのウェブサイトから、別のウェブサイトに遷移をするようになっている。エリオット氏は、フルプライスのプラットフォームとリ・アドベンチャープログラムを、オンラインと店舗内の両方でさらに統合する方法を模索しているという。

[原文:How Eddie Bauer plans to grow its rental and resale programs]

MARIA MONTEROS(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Eddie Bauer

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