2021年元旦、カリフォルニア州で7人の子どもを含む9人が死亡する衝突事故が発生しました。事故を起こしたドライバーはアルコールを飲みスピード違反をしていたことがわかっています。アメリカ国家運輸安全委員会(NTSB)は「技術はこうした事故を防ぐことができるはず」として、すべての新車にアルコール検出システムを搭載するよう求める考えを明らかにしました。
NTSB Calls for Alcohol Detection Systems in All New Vehicles
https://www.ntsb.gov/news/press-releases/Pages/NR20220920.aspx
NTSB wants alcohol detection systems installed in all new cars in US | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2022/09/ntsb-wants-alcohol-detection-systems-installed-in-all-new-cars-in-us/
The NTSB wants all new vehicles to check drivers for alcohol use : NPR
https://www.npr.org/2022/09/20/1124171320/autos-drunk-driving-blood-alcohol-system-ntsb
問題のきっかけとなった事故は2021年1月1日午後8時ごろ、カリフォルニア州アベナル近郊で発生したもの。事故を起こした運転手は新年の集まりで飲酒したあと、1人でSUVを運転し、州道33号線を南下していました。州道33号線は各方向1車線ずつの2車線道路で、制限速度は時速55マイル(約88km)でしたが、この運転手は時速88マイル(約142km)から99マイル(約160km)で走行していました。
SUVの運転手は、車が車線右側の舗装されていない路肩に入ったところで左にハンドルを切りましたが、これによりSUVは制御不能になりセンターラインを越え、対向車線を北上していたピックアップトラックに正面衝突しました。トラックには運転手のほかに6歳から15歳の子ども7人が乗車していて、時速64マイル(約103km)から70マイル(約113km)で走っていたとみられます。トラックは衝突直後に炎上、州道33号線を走行していた他のドライバーが乗員の救助に向かいましたが十分な時間がなく、SUVの運転手、トラックの乗員8人全員が死亡しました。
SUVの運転手の血中アルコール濃度は、カリフォルニア州の法定制限値である1デシリットルあたり0.08gを2倍以上上回るものでした。また、NTSBの要請により行われた検査では大麻使用の証拠も見つかりましたが、大麻の使用が運転に影響を与えたかどうかは判断できなかったとのこと。
NTSBは、アベナルでの交通事故の原因は、SUVの運転手が重度のアルコール障害の状態に陥って車を制御できなかったことにあり、衝突の激しさはSUVの運転手がスピードを出しすぎたことによる影響であると結論づけて、運輸省道路交通安全局(NHTSA)に対して「すべての新車に車両一体型のアルコール検知システム、先進的な運転手監視システムを搭載すること」を勧告。また、自動車業界がこの重要な安全対策に取り組むよう、アメリカで販売される新車の98%を製造するアメリカ自動車イノベーション協会の会員社向けにアベナル事故について告知し、高度な飲酒運転防止技術の開発を加速させて優先的に配備すること、および運転手監視システムなどの既存技術を飲酒運転対策に適応させる革新的手法を模索することを奨励しました。
また、スピード違反による衝突事故を防ぐための速度適応システムを自動車メーカーと消費者が採用するためのインセンティブを与えることも、NHTSAに対して再度勧告したとのことです。
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