「Apple Watch Ultra」海外レビューまとめ、プロアスリート向けモデルもより本格的な競合製品の存在を指摘

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スマートウォッチとしては圧倒的なシェアを誇るApple Watchに、高耐久・大型ディスプレイ搭載でバッテリー持ちも長くなったハイエンドモデルのApple Watch Ultraが登場しています。Apple Watch Ultraは2022年9月23日発売予定となっているのですが、発売前のタイミングで海外メディアが続々とレビューを公開していたので、一体どんな評価の端末になっているのかまとめてみました。

Apple Watch Ultraはチタニウム製の高耐久49mmケース、タッチディスプレイでは操作が難しいシチュエーションでも確実に端末の操作ができるようになる新しいアクションボタン、最大36時間というApple Watch史上最長のバッテリー駆動時間、アスリート向けさまざまなワークアウト機能を備えた端末です。Apple Watch Ultraでどんなことができるのかは、以下の記事にまとめられています。

チタニウム製の高耐久ケース&大型ディスプレイ搭載でバッテリー駆動時間はSeries 8の2倍となる「Apple Watch Ultra」が登場 – GIGAZINE


Apple Watch Ultraの実機写真や実際に動作している様子を収めた動画は以下の記事からチェック可能です。

Apple Watchシリーズ初の高耐久モデル「Apple Watch Ultra」をApple本社現地で触ってみた動画&写真まとめ – GIGAZINE


そんなApple Watch Ultraについて、The Vergeは「野心的なデビュー」と評し、一般的な人々が日常生活で必要としないであろう機能に力を入れていると指摘。それでも中級レベルのアスリートにとっては素晴らしい選択肢になるとThe Vergeは記しています。

Apple Watch Ultra review: an aspirational first attempt – The Verge
https://www.theverge.com/23363948/apple-watch-ultra-review-rugged-smartwatch-gps


ケースサイズが45mmを超えるスマートウォッチは一般的に一日中着用するには不快であるものの、49mmのApple Watch Ultraは「見た目よりも小さく感じる」とThe Vergeは記しています。これは写真では伝わりづらいものの、「Apple Watch Ultraはケースサイズが45mmや47mmの丸時計よりも着用していて小さく感じます」とThe Verge。Apple Watch Ultraのサイズは縦49mm×幅44mm×薄さ14mmで、Apple Watch Series 8よりも3mm以上厚くなっています。この厚みの増加により、ジャケットなどを着用する場合には「袖口が引っ掛かる」そうです。


また、Apple Watch Ultra専用バンドのひとつであるアルパインループを使用した場合、Apple Watch Ultraは手首よりもかなり幅広くなるとのこと。ただし、「それでもApple Watch Ultraは個人的にはそれほど大きく感じません」とThe Vergeは記しました。

その一方で、ディスプレイが大画面化したことで文字が非常に読みやすくなった点を高評価しており、大き目な時計の見た目が好きな人には「Apple Watch Ultraがピッタリです」とも記してます。サイズは大きいものの、チタニウム製のケースのおかげで本体部分の重量は61.3gと非常に軽量で、「Galaxy Watch 5 Proほど酷いものではない」と評価しています。


Apple Watch UltraはS8チップ、新しい皮膚温センサー、高重力加速度センサー、改良版ジャイロスコープなどを搭載していますが、これらはすべてApple Watch Series 8も搭載しています。Apple Watch UltraとSeries 8のハードウェア面の相違点は、スイマーやダイバーにとって非常に有用な水温センサー、直射日光下での視認性を向上させるためにディスプレイ輝度が最大2000ニトに増加、音声通話品質を向上させる3マイクアレイ、緊急サイレンや通話の音量を上げる2スピーカーなどです。

Apple Watch UltraはSeries 8の2倍の耐水性となるWR100ベースで設計されており、EN13319というダイブコンピューターとゲージの国際的に認められた技術標準規格に準拠しています。Appleは水深40メートルまでのスキューバダイビングやウォータースポーツでの使用を推奨していますが、それでも「本格的なダイバー向けダイブウォッチに取って代わるものではない」とのこと。

Apple Watch Ultraはディスプレイを保護するための縁が設けられていますが、これはGalaxy Watch 5 Proと比べると「はるかに浅い」そうです。また、Apple Watch Ultraは他のApple Watchとは異なりディスプレイが完全にフラットになっているため、何かに本体をぶつけてもディスプレイを破損しづらくなっており、The Vergeは「手首に小さなiPhoneを取り付けているかのよう」と表現しています。


公称だと「最大36時間のバッテリー駆動時間」となっていますが、The Vergeが実際に低電力モードをオフにしてさまざまなシチュエーションで使用し、どの程度バッテリーが減ったかを報告しています。

・100%の満充電状態で2時間15分ハイキングを行い、コンパスアプリやGPS機能を多用し、睡眠時には睡眠トラッキングを実施。それでも翌日にはバッテリーが50%残っている状態だった。
・100%の満充電状態で30分間のGPS機能を用いたランニングを行い、20分間のローイングワークアウトを実施し、短い電話を数本かけたところ、1日の終わりにはバッテリー残量が84%になっていた。
・1度の満充電で56時間Apple Watch Ultraを利用し、その段階でもまだ14%もバッテリーが残っていた。ただし、スマートフォンのデータ通信やGPS機能はほとんど使っていません。

長時間のバッテリー駆動時間と急速充電機能を備えているため、The Vergeは「間違いなく睡眠追跡に最適なApple Watch」と評しました。そのため、日常使いする場合は日々のトレーニング時に低電力モードをわざわざオンにする必要もないとしています。

アクションボタンについては「すべてのApple Watchに必要」としており、運動中の操作の信頼性を高めてくれるとして高く評価しています。なお、アクションボタンは初期設定時、もしくは設定メニューからワークアウト、ストップウォッチ、ウェイポイント、バックトラック、ダイブ、懐中電灯、ショートカットといったアプリのどれを起動するためのボタンとして使用するかを設定することが可能です。ただし、アクションボタンに設定できる項目は非常に限られているとのこと。


Apple Watch UltraはマルチバンドGPSに対応しており、L1とL5という2つの周波数のGPSを利用可能です。L5周波数は都市や密集した樹木に覆われた環境などでも精度の高いGPSが利用できるというもの。以下はApple Watch Ultraを用いてマルチバンドGPSに対応したアプリ(左)とマルチバンドGPSに非対応のアプリ(右)で着用者の移動経路をトラッキングした様子を撮影したスクリーンショットです。左のマルチバンドGPS利用時の移動経路のトラッキングが非常に高精度であることは明らか。


ただし、Apple Watch Ultraは少なくともまだ本格的なアスリート向けのマルチスポーツフィットネスウォッチに取って代わるものではないそうで、「スタミナ消耗のリアルタイム確認」や「オフラインマップやターンバイターン形式のナビゲーション機能」など、足りない要素が複数あるとThe Vergeは指摘。それでも、Apple Watch Ultraは接続性やシンプルさといった点で他のフィットネスウォッチを圧倒的に上回っており、他にはないApple Watchとしての機能まで持ち合わせています。

マルチスポーツ向けのスマートウォッチの競合としてThe VergeはGarminのfēnix 7を挙げています。こういった高価なマルチスポーツ向けスマートウォッチとしてApple Watch Ultraを見た場合、「Apple Watch Ultraは屋外と同じように屋内でも日常生活でも使用できる優れた時計であり、そういったものを必要としている人にとっては最適な選択肢となる」と記しています。

なお、The VergeはApple Watch Ultraの優れた点として「サイズの割に快適」「Apple Watchの中では最高のバッテリー駆動時間」「包括的な安全機能」「アクションボタン」「大きなディスプレイは非常に読みやすい」「耐久性の向上」「すべてのモデルにセルラー機能が付属している」を挙げており、悪い点として「回復指標がない」「オフラインマップやターンバイターン方式ナビゲーションの欠如」「野心的過ぎる」「細い手首にとってはサイズが大きすぎる」という点を挙げました。


CNBCは「Apple Watch Ultraは真剣なアスリートにとっては販売価格(税込12万4800円から)以上の価値がありますが、それ以外の人にとっては不必要な散財となるでしょう」として、一般ユーザーにはオーバースペックなモデルであると指摘。それでも、Apple Watch Ultraの「著しく改善されたバッテリー寿命」「高い耐水性」「スキューバダイビングコンピューター」「再設計されたコンパスアプリ」「正確に位置をトラッキングできるマルチバンドGPS」といった機能はスマートウォッチにとっては非常に優れた技術的偉業であるとしています。

Apple Watch Ultra review: Serious $799 device for serious athletes
https://www.cnbc.com/2022/09/21/apple-watch-ultra-review-serious-799-device-for-serious-athletes.html


ウォール・ストリート・ジャーナルはApple Watch Ultraについて、長いバッテリー寿命を必要とするApple Watchユーザーにはエキサイティングなアップデートであるとした上で、Garminのマルチスポーツ向けスマートウォッチにはApple Watch Ultraにない「より本格的なアスリート向けの機能」が複数存在するとして、Apple Watch Ultraは本格的なアスリート向けのスマートウォッチとしては機能が物足りないと指摘。それでも、Apple WatchはUI面で非常に優れており、新しく搭載された複数のセンサーが今後サードパーティーのアプリ開発者向けに解放されることとなるため、最適化されたアプリが登場することに期待しつつ、「山登りしたり定期的にスキューバダイビングをしたりするようなアクティブなアスリートには最適なモデルだと思います」と本格的なアスリート向けのモデルであるとしました。

Apple Watch Ultra Review: Better Battery Life, but Not Quite Extreme – WSJ
https://www.wsj.com/articles/apple-watch-ultra-review-better-battery-life-but-not-quite-extreme-11663721615


TechRadarは「あなたに余裕があるなら、これはあなたが待ち望んでいたApple Watchそのものです」と指摘。Apple Watch Ultraは大きく明るいディスプレイ、ランニングやワークアウトを簡単に開始・終了できる新しい物理ボタンのアクションボタン、より長いバッテリー寿命などを備えており、「Appleがこれまでに作成してきたスマートウォッチの中で最高のモデルであることは明らか」「Apple Watch Ultraは間違いなく現時点で最高のスマートウォッチであり、ほとんどのAppleユーザーが喜ぶであろう方法で機能性・安全性・セカンドスクリーンを融合させることに成功しました」と記しました。なお、TechRadarはApple Watch Ultraの長所として「大きくて見やすいディスプレイ」「最高のGPS」「アクションボタン」の3つを挙げ、短所として「バッテリー寿命の短さ」「ナビゲーション機能の奇妙な欠如」の2点を挙げました。

Apple Watch Ultra review: what took so long, Apple? | TechRadar
https://www.techradar.com/reviews/apple-watch-ultra-review


Men’s JournalはApple Watch Ultraが「GarminとSuuntoの信奉者を引き付ける5つの機能を持ち合わせている」と指摘。Men’s Journalが挙げる5つの機能は、「1:手首で動作する電話」「2:より大きなサイズを有しており物理的なコントロールも可能」「3:マルチスポーツ向けのワークアウト機能」「4:マルチバンドGPSとビームフォーミングマイク」「5:バッテリー寿命」の5つであるとして、より極端なマルチスポーツ向けにはよりバッテリー寿命が長くアスリート向けのトラッキング機能も豊富なGarminのスマートウォッチを推奨しています。しかし、プロレベルのアスリートではない場合はApple Watch Ultraが優れた選択肢になるとしました。

Apple Watch Ultra Review: Top 5 Features | Men’s Journal
https://www.mensjournal.com/gear/apple-watch-ultra-review/


一方で、Women’s Healthは「Apple Watch Ultraは究極のスポーツパフォーマンスウォッチでありすべてを備えている」と評しています。また、トレイルループ、アルパインループ、オーシャンバンドという3つの新しい専用バンドについて、「特定環境下での動作を念頭に設計されおり、非常に機能的でApple Watch Ultraと同じくらいハイテク」としました。Women’s Healthは「あなたがダイバーや非常に本格的なハイカーでない限り、Apple Watch Ultraは必要以上に多くの機能を備えたモデルであると言えます。あなたがすでに新しい時計の購入を検討しているなら、Apple Watch Ultraの素晴らしさにノーと言うことは難しいです」「Apple Watch Ultraは必要ですか?おそらくそうではありません。それでも欲しいかと言われれば、はいと答えます」と記しています。

Apple Watch Ultra Review: The Ultimate Sport Performance Watch
https://www.womenshealthmag.com/fitness/a41265366/apple-watch-ultra-review/


CNETはApple Watch Ultraについて、「ここ数年で最もエキサイティングな時計」と評しました。CNETはApple Watch Ultraの長所として「アクションボタン」「明るく大きなディスプレイ」「Apple Watchの中で最高のバッテリー持続時間」「マルチバンドGPSはこれまでの時計よりもはるかに正確」という点を挙げ、短所として「一部の手首には大きすぎる」「60時間のバッテリー駆動時間を最適化することは記事作成時点ではできない」「限られた回復指標しか表示できない」という点を挙げました。

Apple Watch Ultra Review: The Most Exciting Watch in Years – CNET
https://www.cnet.com/tech/mobile/apple-watch-ultra-review-most-exciting-watch-years/


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