RFIDタグ を義務付ける小売店が増加中。TikTokで店頭での模倣品への注意喚起

DIGIDAY

米国のラグジュアリー小売店の店頭に偽造品が出回るようになり、ブランドと小売業者は、セキュリティとトラッキングにますます大きな関心を寄せるようになっている。その解決策となるのは、商品にあらかじめRFIDタグやNFCタグ、あるいはデジタルツインを装備することだと言う人もいる。

デジタルIDで商業モデルが変わる

8月下旬、いくつかの小売業者が店舗で模倣品を販売していると、ソーシャルメディア上で注意喚起があった。8月22日にはラグジュアリーのライブ販売のインスタグラムアカウントXOshopperを運営しているユーザー@xogabbyelle(本名ギャビー氏)が、ラグジュアリー小売店やeコマースサイトに偽造のデザイナーアイテムが出回っており、おそらく買い物客が本物を購入して、代わりに偽物を返品した結果ではないかというスレッドをTwitterに投稿、バイラルになっている。

ギャビー氏はTikTokからふたつの事例を投稿した。ひとつめの動画で彼女は、Bloomingdales.comで購入した、ブランドのロゴがある内ポケット付きのバッグが偽物だと思うと主張している。その動画はその後、削除されている。ふたつめの動画はTikTokユーザーの@thisischreylkによるもので、ビバリーヒルズのニーマン・マーカス(Neiman Marcus)にディプレイされている偽物らしきYSLのハイヒールを映し出している。この小売業者はGlossyの取材には応じなかった。認証が小売業者やブランドの責任としてより大きな比重を占めるようになるにつれて、ファッション業界はGmoney氏のようなWeb3ブランドの物理的タグだけでなく、デジタルIDの注目すべき点からも多くを学ぶ必要がある。

「ラグジュアリーブランドにとって(偽物が)店頭に並ぶというのは悪夢のようなシナリオだ」と話すのは、ラグジュアリーとメタバースの専門家キャシー・ハックル氏だ。「ラグジュアリーは非常に長いあいだ、来歴を追跡するためにRFIDに注目してきた。現在、それがブロックチェーンで手に入る。これは特に再販価値がある場合やそれが本物のアイテムであることを立証する場合に、別次元のセキュリティと来歴になる」。ハックル氏によれば、デジタルIDを持つアイテムは偽造がより難しくなるため、そうしたアイテムの価値が高まれば、ラグジュアリーブランドの商業モデルが変わる可能性があるとブランド側も考えている。

デジタル偽造品に対抗するソリューション

Gmoney氏のようなWeb3ブランドは、文化資本の検証にも重点を置いている。同ブランドの最初のコレクションとなるイテレーション01(ITERATION-01)では、すべてのアイテムにNFCパッチがついており、これをスキャンすると、その衣服の来歴を特定するNFTにアクセスすることができる。

NFTのインフルエンサーであり、ブランドオーナーのGmoney氏はGlossyの取材に対し、次のように語った。「デジタル画像、音楽、ソフトウェアの複製が容易になったいま、デジタル偽造品に対抗するソリューションが非常に重要になってきた。ブロックチェーン技術は、デジタル資産が誰によって作成されたかをタイムスタンプで示し、検証し、オンチェーンで証明することができ、また取引上の証明も示すことが可能だ。文化はいつ、誰が、何をしたかというのがすべてであって、デジタルネイティブなブランドは、これらの要素をオンチェーンデータで証明することができる」。

あるデザイナーがオフレコで語ったところによると、小売業者はいま、商品にRFIDを付加することをブランドに要求しており、その料金を払いたくないブランドともめる原因になっているという。それは店員が現在、RFIDを活用するためのトレーニングを受けているかどうかという疑問を提起している。ブルーミングデール(Bloomingdale)はこの記事へのコメントを拒否し、ノードストローム(Nordstrom)はコメントの要請に返答しなかった。

NFCやRFID、デジタルIDやNFTを偽造対策に活用

デジタルIDはまだ黎明期にある。デジタルIDを提供しているイオン(Eon)、プラダ(Prada)、バーバリー(Burberry)、英国の小売業者セルフリッジス(Selfridges)、リセールサイトのヴェスティエール・コレクティブ(Vestiaire Collective)といった、サステナブルマーケットイニシアチブ・ファッションタスクフォースのメンバーは、昨年10月から、サステナビリティ対策として、デジタルIDがどのように販売後の商品の流れを示すのかブランドに認識を深めてもらうべく力を入れている。今年初めにタグを追加した最初のブランドに、英国の革製品メーカーのマルベリー(Mulberry)やドイツの小売業者ザランド(Zalando)などがある。

ブランドにとってデジタルIDやNFTトークンは、偽造品が店頭に持ち込まれないようにするのに役立つ。参加証明プロトコル(POAP:Proof of Attendance Protocol)でセルフリッジスやサザビーズ(Sotheby’s)と提携しているPOAP.frの創業者セバスチャン・オレラノ氏は、このタグはユーザーとブランドにとって3つのメリットがあると話す。「トークンは所有権を表し、製造過程に透明性を与え、偽造を避けることができる。トークンは特定のスマートコントラクトから特別に鋳造された唯一のものなので、ブランドが行うべきことはそのNFTがどこから来たかをブロックチェーン上で読み取るだけであり、その製品が偽物でないことを即座に検証できる。またブランドは、そのNFTを一度鋳造すれば、そのアイテムが本物かどうかを確認するためにNFTウォレットを自社のウェブサイトにつなぐこともできる」。

ほとんどのラグジュアリーブランドやハイストリートファッションブランドは、バリューチェーンにおける偽造品を排除するために、すでに近距離無線通信(NFC)や無線周波識別(RFID)を自社製品に取り入れている最中だ。マンゴー(Mango)、ヒューゴボス(Hugo Boss)、アディダス(Adidas)、ナイキ(Nike)、ラルフローレン(Ralph Lauren)、AZファクトリー(AZ Factory)などが、この技術を導入している。プラダは昨年からLVMHのブロックチェーンコンサルタント会社であるオーラ・ブロックチェーン・コンソーシアム(Aura Blockchain Consortium)と提携し、全商品にRFIDとNFCタグを追加している。ターゲット(Target)のようなブランドも、2017年の時点で、エイブリー・デニソン(Avery Dennison)との大きなパートナーシップのもとで、RFIDタグを活用している。

[原文:More retailers are requiring RFID tags, as TikTok calls out counterfeit products in stores]

ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

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