コーチェラ参加ブランドの変化やゴルフ市場の上昇、ブランド×リセール企業の提携【Glossyブリーフィング】

DIGIDAY

ブランドのマーケティングの焦点がどう変化した?

4月15日金曜日からフェスティバルシーズンがスタート。最初の週末に音楽パフォーマンスを行うのは、2年ぶりに帰ってきたコーチェラ(Coachella)だ。

このイベントで注目されるのは、パンデミックでデジタル化が加速してブランドのマーケティングの焦点がどう変化したかという点だ。イベントがホストするブランドコラボレーションは、パンデミック前とくらべて減っているが、その数は2019年にはすでに減少していた。過去に投資していた企業で、今年は行わないとしているのはイブ・サンローラン・ボーテ(YSL Beauty)、トゥーフェイスド(Too Faced)、パクサン(Pacsun)など。

パクサンの社長ブリー・オルソン氏は「今年はコーチェラで(久々に)アクティベーションを行わない年になる」と、Glossyに語っている。「(ロサンゼルスのナイトクラブの)ブーツィーベローズと提携して実際に大きなパートナーをホストしたこともあるし、数年前は非常にエキサイティングではあったが、コーチェラを祝って人々にリーチするという意味ではTikTokやYouTubeでやれることにもっと価値があると気づいた。本当に大規模なアクティベーションで自分たちの声を届けるのはむずかしい」。

それでもファッションブランドやビューティブランドは十分に存在感を示すはずだ。コーチェラの公式パートナーにはアディダス(Adidas)、H&M、レイバン(Ray-Ban)などがおり、リボルブ(Revolve)は2019年に20億ものソーシャルメディアインプレッションを記録したあのリボルブフェスティバル(Revolve Festival)を復活させる。さらにバッスルデジタルグループ(Bustle Digital Group)のナイロンハウス(Nylon House)や、ゾー・レポート(The Zoe Report)が主催する「ゾーオアシス(Zoeasis)」は、数々のブランドパートナーで賑わうことになるだろう。前者の会場には、ラグジュアリーレザーグッズブランドのMCMとE.l.f.ビューティ(E.l.f. Beauty)が参加する予定。後者では、エクスプレス(Express)、ヨーロピアンワックスセンター(European Wax Center)、アリシア・キーズ氏のキーズソウルケア(Keys Soulcare)がフィーチャーされる。

ニュージャージーの巨大モールが遊園地化

19年前に着工開始したプロジェクトが困難に見舞われ続けるなか、オーナーであるトリプルファイブグループ(Triple Five Group)のアメリカンドリーム(American Dream)に対するビジョンは、ゆっくりではあるが確実に実現しつつある。トリプルファイブグループは2011年にこの開発を引き継いだ。

2019年末にオープン予定だと当時の広報担当者が話していた全長300フィート(約91メートル)の観覧車が、4月6日に一般公開された。ドリームホイール(Dream Wheel)と名づけられたこの観覧車には27台のゴンドラが備わっており、一般料金(27ドル、約3410円)は16人乗り、VIP(55ドル、約6960円)は6人乗りとなっている。また、ビジターは新たにオープンしたディープフライドラブ(Deep Fried Love)で、ファンネルケーキ(大きな揚げ菓子)やフライドオレオなどを味わうことができる。

2019年にプロジェクトのチーフクリエイティブオフィサーだったケン・ダウニング氏は、アメリカンドリームは「顧客に間違いなく喜んでもらうために」作られており、「コミュニティが集まって買い物や食事を楽しみ、映画を見たり観覧車に乗ったりすることもできる」場所だとGlossyに語っている。しかし、それはことごとく障害に直面した。

4月6日水曜日、アメリカンドリームは、5月7日に行われるリュダクリス氏の公演を皮切りに、この空間でのライブコンサートやイベント開催を目的としてライブ・ネイション(Live Nation)と複数年にわたるパートナーシップを結んだと発表した。一方、翌4月7日にはニュージャージー州の複数のニュースメディアが、同モールの2階で単独の発砲事件が発生したことを報じている

マスターズでファッションチェック。ゴルフ市場上昇傾向

4月10日に閉幕したマスターズトーナメント(Masters Tournament)は、観客にとってよいファッションショーも兼ねている。たとえば、ノルウェーのゴルファー、ヴィクトル・ホヴラン氏はジェイリンドバーグ(J. Lindeberg)のピンクのパンツを着用し、Twitterで話題になった。一方ESPNは、タイガー・ウッズ氏のナイキ(Nike)コレクションのシューズを履いている選手がいるが、ウッズ氏自身は履いていないことを指摘している。シューズといえば、カスタムのジョーダン(Jordans)や、まるでワッフル生地のようなアディダス(Adidas)とワッフルハウス(Waffle House)のコラボシューズもグリーン上で目撃されている。

ゴルフとテニスのアパレル市場はパンデミックに後押しされ、ともに上昇傾向にある。結局のところ、初期の頃に何らかの計画を立てるというのは、屋外で行うアクティビティを見つけるという意味だった。創業9年になるゴルフとテニスのアパレル会社レッドヴァンリー(Redvanly)は、今年の売上800万ドル(約10億1100万円)から、2023年には2000万ドル(約25億2800万円)に成長する見込みだと、創業者のアンドリュー・レッドヴァンリー氏が先月Glossyに語っている。

そして、このチャンスに乗り出すリテーラーも増えている。ルルレモン(Lululemon)は3月の第4四半期決算で、初めてテニス・アンド・ゴールドのコレクションを発表、その後、店舗やウェブサイトで販売を開始した。またビル・マーレイ氏のウィリアムマーレイゴルフ(William Murray Golf)は、4月頭にウィメンズアパレルへと製品を拡大している。一方、4月5日付けのポッシュマーク(Poshmark)の顧客向けeメールは「(カントリー)クラブで会おう」という件名で、ラコステ(Lacoste)などの「ゴルフカートスタイル」が中心となっていた。

レント・ザ・ランウェイが決算を発表

レント・ザ・ランウェイ(Rent the Runway)は、4月13日の2021年第4四半期および通期の決算発表で、パンデミック開始以降、同社の事業がどのように落ち込んだかを明らかにする。同社はこの2年間でかなりの高値と安値を記録している。2021年10月にIPOを申請した際、2019年の2億5700万ドル(約324億7800万円)から2020年には1億5800万ドル(約199億6700万円)へと収益が激減したことを明かした。この同じ期間に、アクティブ会員数が13万4000人から5万5000人に減少している。しかしそれ以降は会員数を取り戻し、戦略的な動きで軌道に乗せようとしている。その例として、2021年6月にリセールをローンチし、4月上旬にはメンバーシップを値上げしている。

ブランドとリセール企業との提携はまだ続く

またもや新たなマルチブランドリテーラーが、ラグジュアリーリセール企業との提携を発表し、買い物客に中古品を提供することになる。そうした提携は、6月にヴェスティエール・コレクティブ(Vestiaire Collective)と同様のパートナーシップを結んだマイテレサ(MyTheresa)や、2年前に高級ハンドバッグのリセラーであるファッションファイル(Fashionphile)と提携したニーマン・マーカス(Neiman Marcus)に続くものだ。ラグジュアリーヴィンテージ会社ワット・ゴーズ・アラウンド・カムズ・アラウンド(What Goes Around Comes Around)は、多くのリテーラーとパートナーシップを結んでいる。先月、共同設立者のセス・ワイザー氏は、キス(Kith)、グープ(Goop)、ショップボップ(Shopbop)、ディラーズ(Dillard’s)など、20のリテーラーを通じてひそかにスタイルを販売していると述べた。これらのパートナーシップは、eコマースサイトや3つの実店舗といった同社が所有するチャネルよりも多くの収益を生んでいる。ベイン・アンド・カンパニー(Bain & Company)によると、ラグジュアリーアイテムのリセールは2021年に370億ドル(約4兆6800億円)の市場になっている。

[原文:Weekend Briefing: Coachella’s brand partners and the Masters’ fashion moments]

JILL MANOFF(翻訳:Maya Kishida 編集:黒田千聖)

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